特集:Bリーグ2022-23月間MVP

シュート成功率100%でトリプルダブル… 島根のペリン・ビュフォードが今季最初の月間MVP受賞

大島和人

10月の「月間MVP」を受賞した島根スサノオマジックのペリン・ビュフォード。オールラウンドな活躍でチームをけん引した 【(C)B.LEAGUE】

 Bリーグの月間MVPに相当する「B.LEAGUE Monthly MVP by 日本郵便」は、2022-23シーズンから5人の選考委員による合議で決定されることになった。今シーズン1人目、2022年10月の月間MVPには島根スサノオマジックのペリン・ビュフォード選手が選出されている。

 ビュフォードはアメリカ生まれの28歳で、198センチ・100キロのスモールフォワード。キャプテンの安藤誓哉とともにチームのハンドラーを任され、オールラウンドなスキルを見せている選手だ。10月の9試合では平均19.8得点、11.1リバウンド、7.7アシストと見事なスタッツを残し、島根の好調な戦いに貢献した。10月22日のサンロッカーズ渋谷戦では11本のフィールドゴールと6本のフリースローをすべて沈めてトリプルダブル(30得点・17リバウンド・10アシスト)を達成している。

 試合を見ればビュフォードの驚異的なスキル、常に全力を尽くす姿勢は伝わってくるだろう。加えて今回のインタビューは彼の思慮深さや、競技への真摯(しんし)な姿勢が伝わる内容となった。

――ちょうど10月22日のSR渋谷戦を取材していました。その場で他の試合のスタッツも確認して「今月の月間MVPはビュフォード選手で決まりだな」と思いました。

 そう思ってもらえたことは、個人的にはすごくうれしいです! 昨シーズン、もう一歩届かないことが何回かあったので、やっと月間MVPを取れることができてとてもうれしいです。

――島根は10月の9試合を7勝2敗という上々の結果で終えました。チームとご自身のパフォーマンスを振り返っていかがですか?

 負けた2試合に関しては、しっかり勝たなければいけない、落とすべきでない試合でした。個人の出来は「OK」です。まだやらなければいけないことがたくさんあります。反省点を11月に生かせたらなと思っています。

――「まだやらなければいけないこと」はどういう部分ですか?

 まず試合に関しては「激しくプレーする」ことです。もう一つは「お手本になる」ことです。

 チーム内外から大きな期待をしてもらっていることはわかっています。だから試合だけでなく、みんなが見ていないところ……例えば練習中に、周りの模範にならなければいけないとも考えています。人として、ミスを犯してしまうのは仕方のないことであっても、チーム内の立場を受け入れている以上、できるだけミスを少なくしてみんなのお手本となるように心がけています。

――ビュフォード選手はハンドラーで、スコアラーで、プレーメーカーでもあります。さらにチームからリーダーとしての役割も期待されているということですね?

 自分からやっている部分と、チームから期待されている部分の両面があります。こちらの意欲と周囲の期待がお互いいいように作用しています。

――今シーズンを迎えるにあたって、島根は金丸晃輔(三遠ネオフェニックス)選手の移籍、津山尚大選手と谷口大智選手の加入がありましたが、昨シーズンから編成にあまり変化がないチームです。そのような中でも変化を感じる部分はありますか?

 今シーズン変わったのは、周りから「常勝軍団」として見られることです。内外から「勝って当たり前のチーム」として見られているように感じています。私が島根に加入して3シーズン目ですけど、1年目は今振り返ると基礎を構築するシーズンでした。昨シーズンはいろいろな人の予想を超えるような、期待をいい意味で超えたシーズンだったはずです。そこからの今シーズンなので、昨シーズン以上のものを求められます。昨シーズンが期待以上だったからこそ、もっと高い期待がきます。それに応える、自分たちの実力を証明することに重きを置くシーズンだと思っています。

――相手チームからの「警戒度」が増している、より徹底的に分析されているということは感じますか?

 素直に「イエス」で、周りからの警戒はより厳しくなっています。しかしそれと同時に、相手の警戒を上回ることができる個が充分にそろっていると思っています。セイヤ(安藤誓哉)やニック・ケイ、リード(トラビス)、ショウタ(津山尚大)……とリストはまだ続くのですが、島根にはたくさんのいい選手がいますよね? どんな研究や分析に対しても、それを上回れると信じています。

――10月の9試合の中で、一番印象に残っている試合はどれですか? やはりトリプルダブルを決めた22日のSR渋谷戦ですか?

 翌日23日の試合です。残念ながら負けてしまったのですが、その試合がとても印象に残っています。多くの選手は自分の成功、名誉をうまく扱えません。23日の試合は負けてしまったんですけど、自分が勝利に導こうと最後まで努力した、できた試合だったなと思っています。(※23日の試合も32得点、9リバウンド、6アシストと大活躍だったが、チームはオーバータイムの末に95-102でSR渋谷に敗れた)

――負けはしたけれどベストを尽くせたという意味ですか?

 数字がどうとか、負けたけれど自分がうまくできたということでは全くないんです。自分は「自分がどうプレーするか?」より、チームの結果がすべてだと思っている選手です。それを踏まえた上で、前日にああいった結果を出して、チーム内外で騒がれてメディアでも取り上げられていましたけど、それに左右されずに翌日の試合に臨めた。そこに関して、自分の中で大きな試合だったという意味です。「負けたけど自分が良かったから」でなく、前日の偉業に左右されずにしっかり自分のメンタルで試合に臨めたという意味で、印象的な試合になりました。

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著者プロフィール

1976年に神奈川県で出生し、育ちは埼玉。現在は東京都北区に在住する。早稲田大在学中にテレビ局のリサーチャーとしてスポーツ報道の現場に足を踏み入れ、世界中のスポーツと接する機会を得た。卒業後は損害保険会社、調査会社などの勤務を経て、2010年からライター活動を開始。取材対象はバスケットボールやサッカー、野球、ラグビー、ハンドボールと幅広い。2021年1月『B.LEAGUE誕生 日本スポーツビジネス秘史』を上梓。

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