【福西崇史のスコア予想】日本vs.スペイン「勝利のカギを握るアンカー潰しと三笘の“壊す力”」

吉田治良

福西氏が挙げるスペイン戦のキーマンは、遠藤。怪我の状態が心配されるが、ピッチに立てればブスケッツ封じとともに、攻撃面でも存在感を示してほしい 【Getty Images】

 運命のスペイン戦のキックオフが迫ってきた(日本時間12月2日の早朝4時キックオフ)。グループリーグ第2戦のコスタリカ戦に敗れ、難しい状況に追い込まれたのは確かだが、それでもこの最終戦に勝てば、自力で決勝トーナメント進出を決められる。元日本代表MFの福西崇史氏に、強豪スペインの攻略法と、スコア予想を訊いた。

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メンバーやシステムが問題ではなく……

──まずは、グループリーグ第2戦のコスタリカ戦から振り返ってください。ずばり、福西さんの考える敗因は?

 敗因は1つではないですけど、一番はやはり、予想していた以上に前に出てこなかったコスタリカの堅い守備を、最後まで崩し切れなかったということでしょう。

──引き分け狙いという選択肢ができて、かえって戦い方が難しくなった?

 あの選手交代とか3バックへの変更を見れば、攻撃的に行く、勝ちに行くっていうことが優先されていたとは思います。ただ、ある程度は相手の出方も見なくてはいけませんが、あそこまで出てこないのであれば、最初からもっと行くというのも1つの選択肢ではあったのかもしれません。前半の途中から3バック気味になりましたが、森保一監督の意図が伝わり切らなかったのか、「さあ、行こう」という感じにはなりませんでしたね。

──ドイツ戦からスタメンを5人も入れ替えた点については?

 僕は別に悪くなかったと思います。これが日本の強みというか、4年間積み上げてきたものですから。誰がピッチに立っても力は出せるチームを作ってきたわけで、そこまで大きな影響はなかったと。確かに負けてしまったら元も子もないんですが、それでも多くの選手を休ませることができて、少なくとも次につながるという側面はあったはずです。コスタリカ戦は相手が守備的なチームだから、1トップにはボールを収められる上田綺世選手を起用した。ただ残念ながら、それが機能しなかったというだけなんです。

──戦略的には間違っていなかったと?

 そうですね。完全な3バックにした後半にしても、チャンスの数自体は増えましたが、崩し切れなかった。結局、どういうメンバーだろうが、どんなシステムだろうが、決め切る精度や、どこを攻めるのがベストかという戦術眼が足りなかったということに尽きると思うんです。

スペイン対ドイツ戦から得たヒント

グループリーグ第2戦のスペイン対ドイツ戦は1-1のドロー。ドイツは70分のザネ(写真左)の投入で流れを変えたが、同じ役割を三笘に期待したい 【Getty Images】

──これで次のスペイン戦は、引き分けでもベスト16進出が厳しい状況になりました。強敵スペインを相手に、どう戦いますか。

 もう、一生懸命に走るしかないですね(笑)。スペインが徹底的に相手を揺さぶってくるチームであるというのは、すでに分かっているわけじゃないですか。あのドイツに対しても、あそこまでパスを回してくる(スペイン対ドイツ戦は1-1のドロー)。だとすれば、やはりドイツがやったのと同じくらいのハードワークが求められるし、言うまでもなくコスタリカ戦以上のインテンシティで向かって行かなくてはならない。そのための準備はできていると、僕は思っています。もちろん、そうは言ってもかわされる場面はたくさんあるでしょうから、やはり全員で走って、どこまでカバーし合えるかがポイントになるはずです。

──ドイツが終盤に追いついて引き分けたスペイン戦から、何かヒントは見つかりましたか?

 スペインに対してはドイツも守備の局面が多くなりましたが、「詰めていく」というか、恐れず前からの守備を実践し始めてからリズムが出てきたし、それをスペインも嫌がっていましたね。ただ、日本も最初の10~15分は思い切って行った方がいいと思いますが、それを90分間は続けるのは難しいので、どこかで落ち着きどころを作ることも大切です。肝心なのはそのメリハリでしょうね。

──ドイツは1点ビハインドの70分にレロイ・ザネ選手を投入してから、だいぶ雰囲気が変わったように感じました。

 めちゃくちゃ変わりましたよね。ボールを運べて時間を作れるザネのような選手がいるだけで、チームはあそこまで落ち着ける。日本で言えば、鎌田大地選手や守田英正選手がボールを運べる選手だし、そこにスピードのある三笘薫選手やコスタリカ戦で良かった相馬勇紀選手なんかを上手く絡められれば、ある程度はペースを握ることも可能だと思います。

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著者プロフィール

1967年、京都府生まれ。法政大学を卒業後、ファッション誌の編集者を経て、『サッカーダイジェスト』編集部へ。その後、94年創刊の『ワールドサッカーダイジェスト』の立ち上げメンバーとなり、2000年から約10年にわたって同誌の編集長を務める。『サッカーダイジェスト』、NBA専門誌『ダンクシュート』の編集長などを歴任し、17年に独立。現在はサッカーを中心にスポーツライター/編集者として活動中だ。

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