連載小説:I’m BLUE -蒼きクレド-

[連載小説]I’m BLUE -蒼きクレド- 第21話「玉城、丈一に会う」

木崎伸也 協力:F
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舞台は2038年。11月開催のインド・ワールドカップに向けて、日本代表は監督と選手たちの間に溝が生じていた。
日本代表の最大の弱点とは何か?
新世代と旧世代が力を合わせ、衝突の中から真の「ジパングウェイ」を見いだす。
木崎伸也によるサッカー日本代表のフィクション小説。イラストは人気サッカー漫画『GIANT KILLING』のツジトモが描き下ろし。
 千葉県浦安、大正十三年創業の老舗蕎麦屋――。
 玉城迅がのれんをくぐって入ると、若女将が奥の座敷に通してくれた。
「ジョーさんはひいきにしてくれていましてね。帰国のたびに顔を出してくれるんですよ」
 店内はまだ11時前だというのにすでに席が8割がた埋まっていた。職人がそばを打つのを横目に通路を抜けると、障子戸の奥で上原丈一が座布団を重ねてあぐらをかいていた。
 玉城は軽く会釈をしてから座敷に上がり、右手を伸ばした。

【(C)ツジトモ】

「はじめまして、玉城です。今日は時間をつくって頂きありがとうございます」
 丈一は中腰になって右手を差し出す。
「いやいや、こちらこそ。グーチャンと話していて、ちょうど君に会いたいと言っていたんだ」
 玉城はバックパックを下ろしながら、丈一の座布団をちらっと見た。座布団3枚。まるで殿様だ。すると丈一はその視線に反応した。
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著者プロフィール

1975年、東京都生まれ。金子達仁のスポーツライター塾を経て、2002年夏にオランダへ移住。03年から6年間、ドイツを拠点に欧州サッカーを取材した。現在は東京都在住。著書に『サッカーの見方は1日で変えられる』(東洋経済新報社)、『革命前夜』(風間八宏監督との共著、カンゼン)、『直撃 本田圭佑』(文藝春秋)など。17年4月に日本と海外をつなぐ新メディア「REALQ」(www.real-q.net)をスタートさせた。18年5月、「木崎f伸也」名義でサッカーW杯小説『アイム・ブルー』を連載。

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