開幕8試合で5敗と苦しむ宇都宮ブレックス 新戦力マブンガの状態は?

大島和人

富山から宇都宮に移籍したジュリアン・マブンガ(右) 【©B.LEAGUE】

 2021-22シーズンのBリーグ王者・宇都宮ブレックスが苦しんでいる。開幕から8試合を終えて、ここまで3勝5敗。10月22日と23日のアルバルク東京戦は田中大貴を体調不良で欠く相手に対して、いずれも終盤に競り負ける展開で連敗している。

 今季の宇都宮は安齋竜三ヘッドコーチ(HC)が退任して佐々宜央・新HCと交代したものの、主力がほぼ全員残留している。佐々コーチは琉球ゴールデンキングスのHC経験があり、なおかつアシスタントコーチとして宇都宮で複数の指揮官を支えてきた人材。昨シーズンが東地区4位からの“下克上”によるリーグ制覇だったとはいえ、2022-23シーズンの東地区ではA東京や千葉ジェッツに並ぶ優勝候補だ。

「手応えのある展開」もA東京に連敗

 23日のA東京戦は第4クォーター残り4分29秒にオフィシャルタイムアウトを迎えた時点で、53-45とリードしていた。しかしそこから15点を奪われ、58-60で敗れる悔しい展開だった。

 センターの大ベテラン竹内公輔はこう振り返っている。

「ずっと重たい展開でしたけど、残り5分まではゲームプラン通りだったと思います。クロージングの仕方が、今日はちょっと良くなかったかもしれないですけど、アルバルク相手に80分間、昨日も今日も手応えのあるバスケットはできた」

 佐々HCはこう述べていた。

「2日続けてイニシアチブを取れるいい入りをしたけれど、なかなか(いい流れが)続かず、うまくそこを保ちきれなかった」

 A東京を60点に封じた守備はもちろんだが、確かに宇都宮の強みは出た展開だった。指揮官は続ける。

「前半にリバウンドでやられたところも、後半しっかり修正できている。最終的にアルバルクにリバウンドで勝っているのは非常に評価できるところです。あとベテランの(竹内)公輔、遠藤(祐亮)、ナベ(渡邉裕規)がつないでくれたのも評価できるところ」

セカンドユニットの得点が伸び悩む

 加えて新加入の韓国人SFヤン・ジェミンも、果敢なドライブやリバウンドへの飛び込みなど、印象的なプレーを見せていた。宇都宮に望みがない、何もかもが機能していない……ということでは断じてない。

 ただ明確な課題も見て取れる。佐々HCは試合後にこう口にしていた。

「ベンチポイント(控え選手の得点)が伸びていない。そこで(A東京に対して)10点の差があるので、そこをどうやって作り上げていくかが大きな課題だと思います」

 今季の宇都宮は、昨シーズンの主軸が丸ごと残っている。鵤誠司、比江島慎、遠藤祐亮、アイザック・フォトゥ、ジョシュ・スコットの主力組5名は“鉄板”の顔ぶれだ。入れ替えがあったのはセカンドユニットで、テーブス海が滋賀レイクス、チェイス・フィーラーは佐賀バルーナーズに移籍している。一方で前述のヤン・ジェミンが信州ブレイブウォリアーズから、ジュリアン・マブンガが富山グラウジーズから宇都宮に加わった。個々の能力に関しては、昨シーズンと同等以上に思える。

 マブンガは2015-16シーズンに滋賀ヘ加入し、日本の3クラブに計7シーズン在籍している32歳のパワーフォワードだ。206センチのビッグマンながら卓越したパスセンスや得点力を持ち、ポイントガードとしてもプレーできる。Bリーグの「ミスタートリプルダブル」といえば彼で、2020-21シーズンはBリーグのベスト5にも選出された。コンディションが少々悪くてもコートに立ち、全力プレーを見せるファイターでもある。

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著者プロフィール

1976年に神奈川県で出生し、育ちは埼玉。現在は東京都北区に在住する。早稲田大在学中にテレビ局のリサーチャーとしてスポーツ報道の現場に足を踏み入れ、世界中のスポーツと接する機会を得た。卒業後は損害保険会社、調査会社などの勤務を経て、2010年からライター活動を開始。取材対象はバスケットボールやサッカー、野球、ラグビー、ハンドボールと幅広い。2021年1月『B.LEAGUE誕生 日本スポーツビジネス秘史』を上梓。

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