開幕8試合で5敗と苦しむ宇都宮ブレックス 新戦力マブンガの状態は?

大島和人

マブンガの不調がチーム全体に影響

会見に出席した佐々宜央HC 【©B.LEAGUE】

 ただしマブンガは中規模以下のクラブで、常に“主役”としてプレーしてきた選手。宇都宮は個より組織を重んずるカルチャーが強く、その適応に若干の時間がかかることは皆が想定していた。

 もっとも今のマブンガはチームに「合っていない」という以前の段階に見える。22日は8得点を挙げたものの14分44秒のプレーにとどまった。23日に至っては4分36秒のプレータイムで無得点に終わり、後半は1分もコートに立っていない。

 そのような起用も当然と感じられる出来で、この試合で放った3本の3ポイントシュートはすべてエアボール。DFも足の運びが明らかに重く、相手のドライブに付いていけていなかった。

 マブンガがほとんどプレーしなかったため、その影響でプレータイムの伸びた他のビッグマンが疲弊して、終盤の劣勢を招いた――。それはシンプルな現実だろう。

「見切っているつもりはない」

 ただし選手や指揮官のコメントに、そこまでネガティブな空気はなかった。竹内はこのようにチームメイトをかばっている。

「彼は夏に手術をして、チーム練習に加わるのが遅かった。新しく来た選手なので、どちらかと言ったら一緒に出るときは自分がもっと気を利かさないといけない」

 佐々HCは「一選手を攻撃するつもりもありません」と前置きした上で、こう口にする。

「本当にどうしても勝ちたかったですし、オン・ザ・コート2でありながらも(日本人の)竹内公輔も頑張っていて、そこを評価しないで外国人だから試合に出すのも変な話です。アジア特別枠のヤン・ジェミンも貢献できています。チームのバランスがうまく取れていないのは見て分かると思うんですけれど、第2クォーターの途中で厳しい判断を自分はしたということです」

 一方で指揮官は「今の時点で見切っているつもりはまったくありません」とも強調していた。

マブンガの状態が戻れば

 昨季の宇都宮も開幕からの8試合は4勝4敗で、やはり好調とは言い難いスタートだった。外国籍選手のチェイス・フィーラーは当初フィットしていなかったが、時間をかけて強みを引き出しつつチームと融合させ、フィーラーはチャンピオンシップで主役級の活躍を見せた。

 竹内や田臥勇太のような頼もしいベテランがチームを影から支えて、状況が悪くても踏みとどまる、建て直すのがブレックスのカルチャーでもある。マブンガのコンディションが戻れば、時間は少しかかっても新しいケミストリーは生まれていくだろう。宇都宮がここからどう反攻するか――。そこは今季のB1における注目ポイントの一つだ。

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著者プロフィール

1976年に神奈川県で出生し、育ちは埼玉。現在は東京都北区に在住する。早稲田大在学中にテレビ局のリサーチャーとしてスポーツ報道の現場に足を踏み入れ、世界中のスポーツと接する機会を得た。卒業後は損害保険会社、調査会社などの勤務を経て、2010年からライター活動を開始。取材対象はバスケットボールやサッカー、野球、ラグビー、ハンドボールと幅広い。2021年1月『B.LEAGUE誕生 日本スポーツビジネス秘史』を上梓。

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