新時代が始まる、今季のフィギュアGPシリーズ 五輪に向かう4年間のスタート

沢田聡子

ロシア勢不在、グランプリファイナルは3年ぶりの開催

ロシア勢が不在となる今回のGPシリーズ。世界王者宇野昌磨は、初のファイナル優勝を目指す 【写真は共同】

 2022年北京五輪が終わり、2026年ミラノ・コルティナダンペッツォ五輪に向けた4年間のスタートとなる今季が、グランプリシリーズの開幕でいよいよ本格的に始まる。中国で行われる予定だった第4戦は新型コロナウイルスの影響のためイギリスで、ロシアで行われる予定だった第6戦はロシアのウクライナ侵攻のためフィンランドで行われる。ウクライナ侵攻に伴う措置で国際大会から除外されているロシアとベラルーシの選手は、今季のグランプリシリーズにも出場できない。

 トップ6のスケーターが進出するグランプリファイナルは、コロナ禍により2020・21年と2年連続で中止になった。3年ぶりの開催となるファイナル(イタリア・トリノ)を目指す選手達が、各地を転戦しながら熱い戦いを展開する。

男子は勢力図が変化、宇野とマリニンが有力か

 男子は、2014年ソチ・2018年平昌と五輪を連覇した羽生結弦がプロに転向、北京五輪金メダリストのネイサン・チェン(アメリカ)も今季の試合を欠場する意向を明らかにしており、勢力図に変化があった。

 北京五輪銀メダリストの鍵山優真はファイナル優勝候補の一人だったが、グランプリシリーズ開幕直前、欠場という残念なニュースが入ってきた。夏に怪我をした左足の回復が遅れているためで、全日本選手権に万全の状態で臨むよう準備するという。一日も早い完治を願ってやまない。

 男子の中心的な存在になりそうなのは、北京五輪で銅メダルを獲得、世界選手権では初めて世界の頂点に立った宇野昌磨だろう。世界王者となっても成長に主眼を置く宇野は、シーズンオフは課題であるコンビネーションジャンプに取り組んできた。また世界王者となった自信と余裕によるものか、表現とスケーティングには24歳ならではの成熟が感じられる。ファイナルでは 2017・18年と2回銀メダルを獲得しており、今季は優勝候補と目される宇野は、第2戦スケートカナダに続き、昨季制した第5戦NHK杯に出場する。

 一方、高難度ジャンプを武器に急浮上してきたのは、今季が本格的なシニアデビューシーズンとなるアメリカの17歳、イリア・マリニンだ。昨季の世界ジュニア王者であるマリニンは、9月のUSインターナショナルクラシックにおいて、世界で初めて4回転アクセルを成功させた。その他の4回転も安定して決める高い能力を持ち、ジャンパーとしては既に世界最高レベルにある。フリーだけで競った10月のジャパンオープンでは僅差で敗れたものの宇野に肉薄しており、表現面が洗練されれば手がつけられない存在になるかもしれない。母国開催の第1戦スケートアメリカから旋風を起こしそうなマリニンは、第6戦フィンランド大会にもエントリーしている。

 他にも、昨季世界選手権4位のモリス・クビテラシビリ(ジョージア)、4回転ルッツを跳ぶダニエル・グラスル(イタリア)、名門・クリケットクラブで磨いた美しいスケーティングを持つチャ・ジュンファン(韓国)など、優れたスケーターが参戦する。エンターテイナーとしての才能豊かな友野一希、スピードとジャンプに優れた三浦佳生、怪我による雌伏の時を経て飛躍の予感が漂う山本草太、左肩の手術後本来のジャンプを取り戻しつつある佐藤駿など、日本勢の活躍も見逃せない。

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著者プロフィール

1972年埼玉県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業後、出版社に勤めながら、97年にライターとして活動を始める。2004年からフリー。主に採点競技(アーティスティックスイミング等)やアイスホッケーを取材して雑誌やウェブに寄稿、現在に至る。

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