「DAZN Jリーグ推進委員会」月間表彰2022

J1月間MVP 川崎F・家長昭博の達観「自分がおっさんだと受け入れている」

林遼平

8月で特に印象深い試合が、第24節の横浜FM戦だという。アディショナルタイムの自身の決勝アシストで首位チームを倒し、優勝戦線に踏みとどまった 【Getty Images】

 8月度の「2022明治安田生命Jリーグ KONAMI 月間MVP(J1)」に、川崎フロンターレの家長昭博が選出された。8月はリーグ戦4試合で2ゴール・3アシストの活躍で4連勝に貢献。首位の横浜F・マリノスを猛追するチームの、文字通りのけん引車となった。36歳の現在も衰えを知らないベテランに、コンディショニングの極意、若手への要望、そして逆転でのリーグ3連覇への意気込みなど、さまざまな話を聞いた。

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運を引き寄せられるモノを積み重ねる

ーー8月度の明治安田生命J1リーグKONAMI月間MVP受賞、おめでとうございます。まずは受賞の感想から聞かせてください。

 率直にうれしいですし、また次の月も頑張ろうというモチベーションにもなるので、ありがたく思っています。

ーー8月のリーグ戦は全4試合に出場して2ゴール・3アシストの活躍でした。特に印象に残っている試合やプレーはありますか?

 8月7日の横浜F・マリノス戦(第24節/2-1で勝利)ですね。自分がアディショナルタイムに(ジェジエウの)決勝点をアシストして、首位チームとの勝ち点差を少し縮めることができました。

ーー横浜FMとの上位対決を制したことは、大きな弾みになりましたか?

(F・マリノスは)優勝を狙う上でのライバルですし、もしあの試合に負けていたら、だいぶ差を広げられてしまっていた。首の皮一枚つながった感じでしたが、勝てたことは良かったと思います。

ーーリーグ3連覇を目指すシーズンは、ここまで優勝を狙える位置につけています(9月12日現在、首位の横浜FMと勝ち点3差の2位)。ただ、あらためて振り返ると、良い時期も悪い時期もあったと思います。チームとしての歩みを、家長選手はどのように感じていますか?

 まさに言われたとおり、良い時も悪い時もありましたが、なんとかここまで踏ん張ってこられました。優勝も射程圏内と言えますし、大事なのはここからですね。もう1つ上に行けるのか、この位置で終わってしまうのか。そこが結局、一番大事になってきます。

ーー近年、多くのタイトルを取ってきたなかで、シーズン終盤の戦いが大きな意味を持つことを十分に理解されていると思います。この先、これまで以上に意識することはありますか?

 特別、必要なことはないと思います。ただ、やはりシーズンが進むにつれてチームの疲労感も出てきますから、できるだけ良い状態で試合に臨めるようにチーム全体で持っていくことが大事です。いろいろな要素が必要になってくるでしょうが、最後は“運”と言いますか、それを引き寄せられるくらいのモノを積み重ねていけるかどうか。本当に一つひとつの細かいことが重要になってくるのかなと思います。

状況に応じて選手主体で変化する

「失敗をしてもいいから、もっと主体性を出してチャレンジしてほしい」。日々の努力は認めながらも、若手に対してあえて厳しい言葉も口にした 【スポーツナビ】

ーーチームとしては、後方からの組み立てに序盤戦から難しさを感じていたように思います。

 良い試合もありましたが、逆にまだまだ自分たちの思っていたとおりの展開に持ち込めない試合もありました。そこが言ってしまえば、今の自分たちの伸びしろでもあるのかなと。チーム全体でいかにスムーズにボールを運べるかは、残りの試合で試されてくるはずですし、そこが安定してくると、自分たちの強さがより出てくると思います。

ーーシーズン途中には、「一人ひとりの個性、キャラクターみたいなものをもう少しはっきりしていかないと」という話をされていましたね。

 ゲームの状況に応じて、もっと各々がやるべきことを感じてプレーを変えていかないといけません。監督からの指示もありますけど、選手主体でどんどん変化していく必要がある。ボールがある時、ない時に(応じて)、結局各々の判断で局面は変わっていきますが、「こういう場面ではこんな風にやっておけばいいか」というような感じでプレーしている部分が、今年は結構あったと思います。そこはもっとそれぞれが成長し、自分で判断して、打開したり、変えていったりしないといけない。自分たちは高いところを求められていると思うし、求めていかないといけないと思いながら、あの時は話しましたね。

ーーそこは一人ひとりのメンタリティや、自信の部分が重要になってくると。

 チームのコンセプトはありますし、やり方や戦い方のベースもあります。ただ、そこからさらに上に行くには、各々の経験や個性、考え方、人それぞれ違うと思いますけど、そういうものをどんどんグラウンドの上で出していかないと、面白いチームにはならない。成功体験を含めて自信をちょっとずつ付けていき、失敗をしても、みんなで少しずつ前に進んで行けたらいいなと思っています。

ーー失敗してもいいからトライする、チャレンジする必要がありそうですね。

 サッカーには失敗がつきものですし、練習の中でどれだけ自分を感覚的に上げていったり、技術的に上げていけるかが大事。それを試合の中でどんどんチャレンジしながら表現してほしいし、若い選手にはもっと伸び伸びやってほしいなとも思っています。

ーー近年、若手の台頭が著しい川崎フロンターレですが、今年は若手が少しおとなしいように感じます。

 もっとやってほしいというのは率直な感想としてありますけど(笑)、でもみんな本当に一生懸命練習していますし、切磋琢磨しています。これからどんどん良い選手がグラウンドに出て、川崎を勝たせてくれると思っています。

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著者プロフィール

1987年生まれ、埼玉県出身。東日本大震災を機に「あとで後悔するならやりたいことはやっておこう」と、憧れだったロンドンへ語学留学。2012年のロンドン五輪を現地で観戦したことで、よりスポーツの奥深さにハマることになった。帰国後、サッカー専門新聞『EL GOLAZO』の川崎フロンターレ、湘南ベルマーレ、東京ヴェルディ担当を歴任し、『Number Web』などにも寄稿している。

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