男子の有力チームが応募せず ハンドボールの次世代型プロリーグが“割れた”背景と影響
日本ハンドボールリーグは24年9月に次世代型プロリーグを発足させる予定 【写真は共同】
彼らが次世代型プロリーグと位置づける構想に対して、各チームがどう反応するのか?それを確かめる最初の機会が「参入審査申請」の発表だった。
新リーグへの応募チームを発表
申請を行ったのは下記のチーム(および団体)だ。
【男子】 9チーム
富山ドリームス(富山県)
福井永平寺ブルーサンダー(旧北陸電力/福井県)
大同特殊鋼Phenix(愛知県)
トヨタ車体ブレイヴキングス(愛知県)
豊田合成ブルーファルコン(愛知県)
TeToTeおおさか堺(大阪府)
トヨタ紡織九州レッドトルネード(佐賀県)
琉球コラソン(沖縄県)
【女子】 10チーム
北國銀行ハニービー(石川県)
飛騨高山ブラックブルズ岐阜(岐阜県)
HC名古屋(愛知県)
三重バイオレットアイリス(三重県)
大阪ラヴィッツ(大阪府)
イズミメイプルレッズ(広島県)
香川銀行GiraSol(香川県)
オムロンピンディーズ(熊本県)
ソニーセミコンダクタマニュファクチャリングブルーサクヤ(鹿児島県)
男子は「12分の5」が応募を回避
新リーグのチーム数は未確定で、ここから“落とされる”チームもあるだろう。参入審査委員会はこの9月にスタートし、10月21日に参入チームの発表を予定している。審査委員長はJHLの理事で、公認会計士の米田恵美氏が務める。
新リーグは1,500人以上を収容するホームアリーナの確保、11名以上のプロ契約などを参入条件に掲げている。一方で社業と競技の“兼業プロ”は認められていて、キャリアの安定化や人件費負担の抑制が可能だ。サッカー、バスケのプロでは必須とされているチームの独立法人化も義務づけられていない。
なおスポンサーセールス、チケット販売などのビジネスサイドは、リーグが一括して引き受ける制度設計だ。リーグの年会費は3000万円に値上げされるものの、それを大きく上回る配分金が予定されている。アリーナの確保、地域との関係づくりなどは相応に高いハードルだが、実業団でも受け入れやすい参加要件だ。
協会会長のチームが応募せず
また湧永製薬は日本ハンドボール協会の湧永寛仁会長がオーナーを務める名門。湧永会長はJHLの法人化、外部人材招へいを主導した当事者でもある。宮崎大輔(現アースフレンズBM選手兼監督)を輩出し、6回のリーグ優勝を誇る大崎電気も応募がなかった。大崎電気は日本ハンドボール協会の渡邊佳英・前会長(現名誉会長)を輩出した企業。協会の“現会長”と“前会長”のチームが新リーグへの応募を足踏みした。
JHLの葦原代表理事は野球、バスケでキャリアを積んできたプロスポーツの専門家だが、ハンドボール界においては新参者だ。彼に対してハンドボール界の“権威”が一線を画した構図も透けて見える。
男子バスケでは実業団がプロ化に抵抗し、リーグの分裂や混乱の一因となった。しかしハンドボール界は「プロvs.実業団」の対立構図は見えない。2021-22シーズンの“二強”だった豊田合成ブルーファルコン、トヨタ車体ブレイヴキングスや、通算18回のリーグ優勝歴を持つ大同特殊鋼などの実業団も新リーグに応募している。むしろプロ側の筆頭にいるジークスター東京が同調しなかった。