連載:2004年・新人監督落合博満

近藤真市が明かす「新人監督落合博満」 初めて落合監督に謝られた日本シリーズ第3戦

菊地高弘
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落合監督と考えが一致した岩瀬投手の抑え起用 【写真は共同】

 北海道日本ハムのBIGBOSS、中日の立浪和義監督。プロでのコーチ経験を持たない2人の監督就任は大きな話題を呼んだ。しかし、新人監督が結果を残すことは容易ではなく、両チーム共に前半戦は苦しい戦いが続いている。

 だが過去には同じようにコーチ経験を経ず、就任1年目からリーグ優勝を果たした監督もいた。その一人が『嫌われた監督』のヒットも記憶に新しい、2004年の中日を率いた落合博満監督だ。

 そこで、当時の関係者たちの声を聞き、改めて2004年の「新人監督・落合博満」を振り返ってみたいと思う。第5回目は落合監督の在任期間中、8年間ずっと投手コーチを務め、現役時代も共にプレーした近藤真市さんにお話を伺った。

クローザーを岩瀬にすれば抑えてくれる

落合監督の信頼も厚かった近藤さん 【写真は共同】

――近藤さんは投手コーチとして8年間、落合政権に仕えましたが、現役時代はどのような関係だったのでしょうか。

 僕がプロに入った年と落合さんがトレードで中日に来た1年目が一緒でしたけど、野手と投手はあまり接点がないので、会話はあまりなかったですね。

――近藤さんはプロ1年目に高卒ルーキーながら、史上初のプロ初登板ノーヒットノーランの快挙を成し遂げています。

 落合さんは2ランホームランを2本打ってくださったんですが、当時は自分が投げるのが精いっぱいで、「ありがたい」と思う余裕すらなかったです。

――現役時代の落合さんとの関わりで覚えていることはありますか?

 僕は肩・ヒジの手術を経験しているのですが、1軍に戻ってきた時に、落合さんから「やっと戻ってきたな」と言われたんです。短い言葉でしたけど、いまだに忘れられません。落合さんは一言、一言に重みがあるんです。

――近藤さんは現役引退後、打撃投手、スカウトを経て2003年から投手コーチに就任しています。同年秋に落合さんの監督就任が発表されるわけですが、その時はどんな印象を抱きましたか?

 ビックリしたのが第一印象ですね。落合さんが記者会見で「補強をせずに10%の底上げをして優勝する」とおっしゃいましたよね。普通の監督ならするような補強をしないんだな、それが落合さんのやり方なんだなと感じました。

――前年にクローザーだった大塚晶則(現・晶文)がパドレスに移籍し、エディ・ギャラードも首脳陣との確執から退団。投手陣を預かるコーチとしてはリリーフ陣に不安があったのではないですか?

 僕は「クローザーを岩瀬(仁紀)にすれば、きちっと抑えてくれるはず」と考えていました。落合(英二)や平井(正史)もいたので、セットアッパーもカバーできるだろうと。結果的に落合監督とも同じ考えだったんですけど。

――近藤さんはスカウト時代に岩瀬投手を担当しています。もともとクローザー向きだと感じていたのでしょうか?

 いえ、僕はアマチュア時代の岩瀬を見て「先発で10勝できる」と報告していましたので(笑)。1年目の監督である星野仙一さんによってセットアッパーにされて、結果的に本人の力を発揮できる場はリリーフだったのでしょうね。

突然の配置転換で2軍から1軍へ

近藤さんのデビュー戦では落合監督はサードを守っていた 【写真は共同】

――落合政権1年目は2月1日のキャンプイン当日に紅白戦をするなど、前代未聞の施策が話題になりました。コーチとしてどう感じていたのでしょうか?
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著者プロフィール

1982年生まれ、東京都育ち。野球専門誌『野球太郎』編集部員を経て、フリーの編集兼ライターに。元高校球児で、「野球部研究家」を自称。著書『野球部あるある』シリーズが好評発売中。アニメ『野球部あるある』(北陸朝日放送)もYouTubeで公開中。2018年春、『巨人ファンはどこへ行ったのか?』(イースト・プレス)を上梓。

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