連載:2004年・新人監督落合博満

山本昌が明かす「新人監督落合博満」 落合政権での“先発投手隠し工作”の内幕

菊地高弘
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若手時代から落合監督とは共にプレーした経験を持つ山本昌さん 【Timely!編集部】

 北海道日本ハムのBIGBOSS、中日の立浪和義監督。プロでのコーチ経験を持たない2人の監督就任は大きな話題を呼んだ。しかし、新人監督が結果を残すことは容易ではなく、両チーム共に前半戦は苦しい戦いが続いている。

 だが過去には同じようにコーチ経験を経ず、就任1年目からリーグ優勝を果たした監督もいた。その一人が『嫌われた監督』のヒットも記憶に新しい、2004年の中日を率いた落合博満監督だ。

 そこで、当時の関係者たちの声を聞き、改めて2004年の「新人監督・落合博満」を振り返ってみたいと思う。第2回目は若手時代から選手としての落合監督の顔も知るレジェンド左腕、山本昌さんにお話を伺った。

「落合さんらしいな」と思った開幕投手

監督一年目の開幕戦、誰もが驚く開幕投手を起用した落合監督 【写真は共同】

――大ヒット書籍『嫌われた監督』(鈴木忠平著)によると、山本昌さんは2004年シーズン前のロッカールームで「開幕投手は誰なんだ?」とチームメートに聞いて回ったそうですね。

 僕は最後まで川上憲伸だと思っていましたから(笑)。

――サプライズ起用された川崎憲次郎さんは山本昌さんから開幕投手か問われ、落合博満監督との約束とはいえ仲間を欺くことに葛藤があったと『嫌われた監督』で描写されています。山本昌さん自身、裏切られたという思いはなかったのですか?

 それはまったく思わないですね。チーム内にはいろいろと事情がありますから。監督、コーチから口止めされていれば、当然言えませんよ。

――開幕投手が川崎さんだと知ったのは、当日ですか?

 当日、憲次郎がスーツを着て球場入りしたんです。それを見て、「憲次郎だったのか……」と察しました。別に先発投手がスーツを着る決まりがあったわけじゃないんですけど、雰囲気でわかりますから。

――率直にどんな感想を抱きましたか?

「落合さんらしいな」と。監督に就任した時だって、補強はせずに現有戦力の10%の底上げで優勝するとぶち上げましたよね。現役時代から意表を突くのが好きなのは変わらないなと思いました。

――不満はなかったのですか?

 監督が変わればやり方が変わるのは当然ですから、不満なんてまったくないです。ましてや僕は監督に使ってもらっている立場ですから。しこりも何も残っていません。

先発投手と故障者の情報は完全シークレット

中日投手陣も「先発投手隠し」を半ば楽しんでいたという 【写真は共同】

――予告先発がなかった時代、落合政権では「先発投手隠し」が行なわれていたそうですね。
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著者プロフィール

1982年生まれ、東京都育ち。野球専門誌『野球太郎』編集部員を経て、フリーの編集兼ライターに。元高校球児で、「野球部研究家」を自称。著書『野球部あるある』シリーズが好評発売中。アニメ『野球部あるある』(北陸朝日放送)もYouTubeで公開中。2018年春、『巨人ファンはどこへ行ったのか?』(イースト・プレス)を上梓。

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