連載:2004年・新人監督落合博満

宇野勝が明かす「新人監督落合博満」 1年目から徹底された「低めは振るな」

菊地高弘
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打撃コーチとして5年間落合政権を支えた宇野さん 【Timely!編集部】

 北海道日本ハムのBIGBOSS、中日の立浪和義監督。プロでのコーチ経験を持たない2人の監督就任は大きな話題を呼んだ。しかし、新人監督が結果を残すことは容易ではなく、両チーム共に前半戦は苦しい戦いが続いている。

 だが過去には同じようにコーチ経験を経ず、就任1年目からリーグ優勝を果たした監督もいた。その一人が『嫌われた監督』のヒットも記憶に新しい、2004年の中日を率いた落合博満監督だ。

 そこで、当時の関係者たちの声を聞き、改めて2004年の「新人監督・落合博満」を振り返ってみたいと思う。第4回目は落合監督とは現役時代から共にプレーし、打撃コーチとしても5年間従えた宇野勝さんにお話を伺った。

1球もバットを振らない“オレ流調整”

現役時代から打撃談義を交わす間柄だった二人 【写真は共同】

――落合さんの中日監督時代を描いたベストセラー書籍『嫌われた監督』(鈴木忠平著)では、宇野さんも描かれていますがお読みになりましたか?

 まだ本は読んでないんですけど、取材はよくしてもらっていました。

――同書では打撃コーチの宇野さんが思い描くロマンと、堅実な落合野球の現実との狭間で葛藤する姿が描かれていました。

 50年経っても日本の野球は大きくは変わってないじゃないですか。たしかに送りバントをしたり、細かな野球が必要な時代もありました。でも、今は食べ物もよくなって、鍛えれば鍛えるほどパワーがつくようになりました。MLBでも背の低い(ホセ・)アルトゥーベ(アストロズ)があんなに打つじゃないですか。日本人だってパワーはついているのだから、新しい野球を新しい監督に打ち出してもらいたいですね。5回まで送りバントはいらないんじゃないかな。

――そんな思いを念頭に、落合さんについてお聞きしていきます。宇野さんは現役時代から、落合さんと打撃談義を交わす仲だったそうですね。

 落合さんは現役時代からみんなとつるむタイプではなかったんですけど、僕は選手会長を務めていたこともあって話す機会が多かったんです。年齢的にもチーム内で近い方だったので、落合さんとしても話しやすかったんじゃないかな。食事に行って、いろいろと打撃論を話すこともありましたよ。1988年に星野監督の下でリーグ優勝した時は、歓喜の輪に向かう途中で最初に落合さんと握手をしたことを今でも覚えています。僕からすれば、三冠王を3回もとった大先輩として尊敬の眼差しで見ていました。

――現役時代の落合さんについて、印象深いことはありましたか?

 キャンプから開幕までの調整は、全部ご自分で管理しながら「この時期にこれをやる」と決めていました。この時期にはノックを長く受けて下半身をつくって、このクールまでに仕上げてオープン戦に入っていく……という計画が全部できていたんです。

――オープン戦で「今日はボールを見る日」とうそぶき、1球もバットを振らずに見逃し三振に倒れたという逸話も残っています。

 あれは本当です。調子の悪くなったバッターはぜひやってみるといいですよ。僕も試しにやってみたことがあるんですが、まるっきり打つ気をなくして打席でボールを見ると、今までと見え方が変わってくるんです。「不振の時に効果があるな」と感じました。

振って、振って、振りまくる地獄のキャンプ

キャンプでは若手野手たちが徹底的に鍛え上げられた 【写真は共同】

――2003年秋に落合さんが中日の監督に就任しますが、当時はどんな感想を持ちましたか?
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著者プロフィール

菊地高弘

1982年生まれ、東京都育ち。野球専門誌『野球太郎』編集部員を経て、フリーの編集兼ライターに。元高校球児で、「野球部研究家」を自称。著書『野球部あるある』シリーズが好評発売中。アニメ『野球部あるある』(北陸朝日放送)もYouTubeで公開中。2018年春、『巨人ファンはどこへ行ったのか?』(イースト・プレス)を上梓。

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