エンゼルス前監督マドンの言葉「大谷翔平の本質はあの日の午後に集約されている」
【写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ】
私はアスレチックスの一塁手、強打者のマット・オルソンを歩かせるよう捕手にサインを出した。ショウヘイはこの指令を受けたが、私に笑顔を見せつつ指を前後に振った。
つまり、敬遠なんてしたくないのだ。そんな必要はないのだと訴えているのだった。私はこの意図を受け入れ、笑顔を返した。
再び私は敬遠を命じたが、ショウヘイはまたも同じ反応を見せた。
あいつはオルソンとの対戦で、どうしたいのかが明確だった。絶対に打ち取れると確信していたのだ。周囲の雑音など求めていなかった。
オルソンの対大谷の数字は、まあ、ひどいものだった。ショウヘイに対して手こずっていたし、ショウヘイもそれをよくわかっていた。
私は笑いながら、指を振り返した。私は監督として、ショウヘイの意図を却下したが、それでもショウヘイの自信は大したものだと感心した。
当然のことだが、ショウヘイは今までに誰も見たことのない孤高の存在だ。
あいつの日々の戦績は、あまりにも突出している。だが、あいつの本質はあの日の午後に集約されていると私は思う。