SHO-TIME 大谷翔平 メジャー120年の歴史を変えた男

「足を上げずに振ってごらん」大谷翔平がチームメイトを驚嘆させた打撃改造

ジェフ・フレッチャー
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大谷はエンゼルスの打撃コーチであるエリック・ヒンスキー(写真右)から足を上げずにスイングするよう指南を受けたという 【Rick Madonik/Toronto Star via Getty Images】

 大谷は、日本にいたころから足を上げてスイングしていた。

 スプリングトレーニングの間はずっと、大谷のタイミングはずれていて、メジャーの投手に合っていないように見えた。エンゼルスはアリゾナを離れて、開幕戦の直前に同じ街のロサンゼルス・ドジャースとのオープン戦3試合を行った。

 ドジャー・スタジアムでのある日の午後、エンゼルスの打撃コーチであるエリック・ヒンスキーが、足を上げなくてもパワーは十分に伝えられると大谷を諭し、「足を上げずに振ってごらん」と声をかけた。大谷は実践し、すぐさま何球も叩いて、そのままドジャー・スタジアムのスタンドに放り込んでしまった。

「(これは)いいですね。やりましょう」

 こうして足を上げるのは終わり、足を上げないバッティングフォームに変えていった。

 大谷は、スイングに関するこの重大な変更をスイッチ一つで簡単にやってのけたように見えた。それは、普段から正しいメカニックの維持に苦労しているチームメイトたちを驚嘆させるに十分だった。

「普通の選手は、たかだか4分の1インチか半インチ、手がずれただけで居心地が悪くなってしまうものだよ」

 ベテラン二塁手のイアン・キンズラーが語る。

「あれは、見ていて驚いたね」

 さらにこれが驚異的であるのは、投手としての練習もあって打撃練習に割く時間が短いにもかかわらず、大谷はこの調節ができたことだという。大部分の打者は、打席できちんと打つためにはほぼ毎日、打撃練習を続けなければならないのだそうだ。当時、大谷は投球練習のために打撃ケージに入らない日があった。

 大谷の新しいスイングは、ヒンスキーが言ったとおり大きな効果を発揮した。
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