連載:#BAYSTARS - 横浜DeNAベイスターズ連載企画 -

石川雄洋と内村航平、コマネチの共通点 コロナ禍で改めて感じる“憧れの力”

中島大輔

「ドラゴンクエスト ライブスペクタクルツアー」など数々のショーを手掛ける演出家・金谷かほり氏は、未来のエンターテインメントをどう見据えているのか 【(C)ARMOR PROJECT/BIRD STUDIO/SQUARE ENIX All Rights Reserved】

 長引くコロナ禍でライブエンターテインメントは観客が歓声を上げられないなど、さまざまな制約の中で行われている。演出を手掛ける側は、どんな工夫が必要になるのか。横浜DeNAベイスターズで演出部門を統括するビジネス統括本部エンタテインメント部の高橋寿俊部長と、国内外で数々のショーの演出を手掛ける金谷かほり氏が語り合った。(取材日:8月25日)

江戸時代からコロナ禍まで、本質は不変

「YOKOHAMA CLAP」は2021年シーズンより生まれた新たな演出の形。コロナ禍で演出の何が変わり、何が変わらないのか 【(C)YDB】

――コロナ禍では入場者数や歓声の禁止などさまざまな制限があるなか、ベイスターズは手拍子を使った応援「YOKOHAMA CLAP」を行ったという話がありました。金谷さんはショーを手掛ける上で、どんなことを感じていますか。

金谷 私も手拍子やお客様と一緒に踊ることをテーマパークでよくやりますが、お客様をいかに巻き込めるかは、これからのエンターテインメントの課題だと感じています。声が出せないから、ライブに行っても応援できないこともありますよね。そもそも拍手は、観客が「良かったですよ」という思いをステージに伝える音。そういったものがショーにつけばいいと、最近特に思います。コロナまではそこまで思わなかったけれど、今はお客様自身が思いを表現することがなかなかできないので、演出する側としてもそこが課題の一つだなと感じますね。

高橋 我々も同じ課題を持っています。そこで一つ伺わせてください。コロナの状況がまだ続いていて、少し先の未来を考えたとき、2019年までの演出やエンタメは戻り切らないと思っています。今後のウィズコロナ、少し先のアフターコロナで、演出の姿はどう変わっていくと考えていますか。

金谷 100%戻るかは謎ですよね。でも人間はやっぱり、人間が演じている物を見たいんですよ。だから、オリンピックもパラリンピックも見たい。「同じ人間がやっているものが見たい」という気持ちがすごく強いから、大きな変化はないと思います。配信やデジタルという選択肢のなかでそういったものをやることも多いかもしれないけれど、やっぱりライブが見たい。野球も生で見たいんですよ。生で見ると、お互いに通じ合うところがありますよね。

高橋 生だからこそ感じられることはあります。

金谷 会議も生で会って行うと、アイディアが出るじゃないですか。私が心掛けているのは、そういった感覚をさびさせないためにやり続けること。コロナによってできた配信とか、Zoomでお話をしたり演劇をしたりするのは、“それはそれ”と思っています。

高橋 同じ空間にいるのとオンラインは少し性質が違うので、“それはそれ”という考え方ですか。

金谷 選択肢が増えたということですね。増えた選択肢に関しては、それに合ったコンテンツを考える。でもみんな、「同じ人間がやっている」と思いたいんですよ。オリンピックを見ていても「頑張れば、夢がかなう」と自分を投影させますし、ショーを見て「こんなに素晴らしい演技を私の前で2時間やってくれた」と感動したい。例えば歌舞伎は江戸時代からあっても、観客との関係性は変わらないじゃないですか。オペラもそう。ライブも同じだと思う。いろんなものが出てきて細かい技術は変わってきて、良くなっているものがたくさんあるけれど、本質はそんなに変わっていないと思います。

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著者プロフィール

中島大輔

1979年埼玉県生まれ。上智大学在学中からスポーツライター、編集者として活動。05年夏、セルティックの中村俊輔を追い掛けてスコットランドに渡り、4年間密着取材。帰国後は主に野球を取材。新著に『プロ野球 FA宣言の闇』。2013年から中南米野球の取材を行い、2017年に上梓した『中南米野球はなぜ強いのか』(ともに亜紀書房)がミズノスポーツライター賞の優秀賞。その他の著書に『野球消滅』(新潮新書)と『人を育てる名監督の教え』(双葉社)がある。

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