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Jリーグ月間表彰
J1月間MVPは3戦連発の鳥栖・酒井宣福
J1最後のチャンスに懸けて見事にブレーク
名古屋戦で決めた豪快なボレーシュートは月間ベストゴールにも選出。うれしいダブル受賞となった
名古屋戦で決めた豪快なボレーシュートは月間ベストゴールにも選出。うれしいダブル受賞となった【(c)J.LEAGUE】

 7月度の「2021明治安田生命Jリーグ KONAMI 月間MVP(J1)」に、サガン鳥栖のFW酒井宣福が選出された。7月に行われたリーグ戦3試合すべてでゴールを奪い、上位争いを続けるチームに勢いをもたらしている。恵まれた体躯を生かした空中戦や豪快なシュートで存在感を発揮するだけでなく、パートナーとの連係やボールの引き出し方も試合を重ねるごとに研ぎ澄まされている。近年はサイドでのプレーが続いていたが、5年ぶりとなるFWでのプレーを酒井は謳歌(おうか)している。

J1から声が掛かるとは思っていなかった

――7月度の明治安田生命JリーグKONAMI月間MVP受賞、おめでとうございます。7月は3日の第21節・サンフレッチェ広島戦、17日の第20節・名古屋グランパス戦、24日の第22節・セレッソ大阪戦と3試合連続ゴールをマークしました。さらに、名古屋戦のボレーシュートは、明治安田生命Jリーグ月間ベストゴールにも輝きました。


 素直にうれしいですね。ただMVPに関しては、自分が受賞したというよりチーム全体で受賞した感覚が強くて。チームを代表して自分が受け取るという気持ちです。みんながいい形で僕のところまでボールを運んできてくれて、あとは決めるだけ、っていうことが多いですから。そういう意味では、ベストゴールも同じですね(笑)。みんなでチャンスを作ってくれて、最後に思い切り良く振り抜いたことが、この結果につながったと思います。


――FWとしてプレーするのは、久しぶりですよね?


 5年ぶりですかね。近年はいろいろなポジションでプレーしてきましたけど、やっぱりFWが一番しっくりくるなって感じています。


――2016年にアルビレックス新潟でFWとしてプレーしたのを最後に、シャドー、サイドハーフ、ウイングバックとだんだんポジションが下がっていきましたが、やはり悔しさ、忸怩(じくじ)たる思いも?


「やっぱりFWをやりたいな」っていう気持ちがあったのは確かですね。ただ、チームの一員である以上、求められた役割をこなすのが仕事だと思うので、ここ数年、自分の役割は何かを常に考えながらやってきました。そのおかげで何を求められているのかを考える力が身についたと思うので、いろいろなポジションを経験してきたことはマイナスになっていない。むしろ、ポジティブに捉えられたからこそ今があるんじゃないか、と思っています。


――C大阪戦のゴールは、相手DFをブロックしながら小屋松知哉選手のクロスをトラップしてゴール右隅に決めました。ボールを呼び込む動きやスペースの見つけ方の感覚はすぐに取り戻せましたか?


 すぐにと言ったらウソになりますね。半年くらいFWをやらせてもらって、ようやく取り戻せてきた感じです。それが今、結果に結びついてきたんだと思います。ゴール前に入っていくワクワク感、自分のところにボールがこぼれてきたときのワクワク感はいいものですし、試合を重ねるにつれて、どこにいれば点が取れるかっていう感覚が自分のものになってきていると感じます。


――今オフ、3年間プレーしたJ2の大宮アルディージャからサガン鳥栖に移籍しました。オファーが届いたときは、どんな気持ちでした?


 J1のチームから声が掛かるなんて思っていなかったので、高揚感というか、「またあの舞台でプレーできるんだ」っていううれしさがすごくあって。サッカー選手である以上、やっぱり頂点を目指してプレーしたいし、「自分にとって最後のチャンスかもしれない。鳥栖に懸けてみよう」と思って決断しました。

ターニングポイントは川崎F戦

今季の6ゴール中5ゴールがワンタッチシュート。「ワンタッチだと力まずに打てるから、決まるのかもしれない」と分析する
今季の6ゴール中5ゴールがワンタッチシュート。「ワンタッチだと力まずに打てるから、決まるのかもしれない」と分析する【画像:スポーツナビ】

――開幕戦でスタメン出場を果たしましたが、そのときは左ウイングバックでした。実際に加入当初はサイドでのプレーを期待されていたのですか?


 最初はそうですね。ただ、プレシーズンにミョンヒさん(金明輝監督)から「FWでプレーしている姿も見ていたから、試合状況によっては、前でプレーしてもらうかもしれない」と声を掛けてもらっていて。だから自分としては、その準備もしておきながら、まずはサイドで頑張ろうという気持ちでした。


――第2節以降はベンチが続きました。そんな酒井選手にとって、FWとしてスタメンに抜擢された4月7日の第8節・川崎フロンターレ戦は、ターニングポイントだったのではないかと想像しています。


 まさにそうですね。フロンターレ相手にFWとして出場して、「ここで結果を残せれば、自分の価値を証明できる」と思っていて。そのなかである程度の手応えと、これが足りないんだなというものも明確に分かったので、自分でもターニングポイントだったと思います。


――この試合は、チームが開幕から快進撃を続けているなかでの対戦でした。J1王者のホームに乗り込む大一番でFW としてスタメンに抜てきされました。どんな気持ちでした?


 やっぱり奮い立つものがありましたね。相手はJ1王者で、全力で戦わなければ勝てない相手だと分かっていて自分を抜てきしてくれたので、その期待に応えたいという気持ちと、この試合に勝てればサガン鳥栖というチームはさらに上に行けるんじゃないか、というふたつのモチベーションで挑みました。結果、負けてしまいましたけど、自分たちが目指すべき場所がよりはっきり見えた試合になったと思います。


――川崎Fのセンターバック、谷口彰悟選手とジェジエウ選手との空中戦にも互角に渡り合っているように見えました。あの試合でつかんだ手応えと、足りないものとは?


 おっしゃっていただいた通り、空中戦やパワー勝負はそこまで引けを取らなかった。全部勝てたわけではないので満足はしてないですけど、手応えはつかめました。課題としては、(空中戦やパワー勝負に)勝ったあとに何ができるか。相手のレアンドロ・ダミアン選手は空中戦に勝つだけでなく、収めることもできて、ゴールも決められる。そういう選手を間近で見て、自分も今後こういうところを高めていかなければならないって痛感しましたね。


――先ほど「何を求められているのかを考える力が身についた」と話していましたが、鳥栖の前線でプレーするうえで、ご自身の役割をどう整理していますか?


 鳥栖のスタイルにおいてFWは、攻撃と守備の両方が大事。特に守備のスイッチャーとしての役割は絶対条件で、そこは自分もウリにしています。ただコースを消すのではなく、消しながらボールも奪いに行く。守備に関しては、そういうところを意識しています。攻撃では後ろからしっかりビルドアップするチームなので、時にはどうしても詰まってしまうことがある。相手のプレッシングが鋭くて、ハメられそうになったとき、逃げ道のひとつとしてロングボールのターゲットになるとか、ポストプレーで起点になったり、時間を作ったりすることが自分の役割なのかなって思っています。

飯尾篤史
飯尾篤史

東京都生まれ。明治大学を卒業後、編集プロダクションを経て、日本スポーツ企画出版社に入社し、「週刊サッカーダイジェスト」編集部に配属。2012年からフリーランスに転身し、国内外のサッカーシーンを取材する。著書に『黄金の1年 一流Jリーガー19人が明かす分岐点』(ソル・メディア)、『残心 Jリーガー中村憲剛の挑戦と挫折の1700日』(講談社)、構成として岡崎慎司『未到 奇跡の一年』(KKベストセラーズ)などがある。

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