46歳で今なお現役の伊東輝悦が明かすあのゴールの裏側「そこで、一瞬迷った」
当時のメンバーは指導者や解説者、タレントとしてセカンドキャリアを送っているが、8月31日に47歳となる伊東は今なお現役を続ける 【YOJI-GEN】
城が触ってなくてよかった
4年ごとに当時の記憶が薄れていっていますよ(笑)。
――まず『マイアミの奇跡』について。ご自身が決めたブラジル戦の決勝ゴールですが、中盤から突然、ゴール前へ走り込んだのは……。
直観です。後ろから相手ゴール前の景色を見たときに、これは行けるぞと。走り込めば何かを起こせるんじゃないかと。
――その景色を具体的に言うと……。
なんと言うか、スペースがぽっかりと空いているような感じがしたんです。
――ほぼ防戦一方で、体力もかなり消耗している中で、よく攻め上がろうと思いましたね。
確かに体力的にはしんどかったと思うんです。そう考えると、やっぱり直観に突き動かされたんでしょうね。ただ、あんな結末になろうとはまったく想像していなかったですが。
――目の前にこぼれ球が転がって来て……。
本当にラッキーだなと。実を言えば、路木(龍次)さんからのクロスを直接狙って走り込んだんですよ。ただ、ボールはニアサイドの(城)彰二のほうへ……と思ったら、あれあれあれと。ただ、そこで一瞬、迷いました。
――何を迷ったのですか。
もしも、彰二がボールに触っていたらどうしようと。自分が押し込んだら、彰二の得点じゃなくなっちゃうなと。
――あのコンマ何秒の間に……ですか。
そうです。でも……触っちゃいますよね、やっぱり(笑)。
――そんな風に考えるとは、いかにも黒衣に徹してきた人らしいですね。
あとで彰二に確認したら「ボールに触っていないよ」と言うので、よかったなと。
――決勝点が生まれる直前あたりまで、ブラジルをどう見ていたのですか。
なかなか点が入らない焦りがあったのか、強引な攻めが少しずつ増えてきたなと。個が前面に強く出てきた感じがあったんです。そこは助かりましたね、僕らにとっては。
――本当のことを言えば、アジア最終予選の時のような(攻撃的な)戦い方をしたかった、という話もされていましたが。
ただ、相手があることですから。いろいろなことを考え含めると、より勝つ確率の高い戦い方を選択したのは仕方がないのかなと。
――西野朗監督から全幅の信頼を置かれていましたが、何か印象に残ることはありますか。
ずっと不思議に思っていたことがあったので、あとになって西野さんに聞いたことあるんですよ。なぜ自分をあのポジション(ドイス・ボランチの一角)で使おうと思ったのかと。そもそも当時の僕はアタックが好きで、守備はどちらかと言えば嫌いでした。抜てきされた当初は大丈夫かなぁと思っていたんですよ。
――で、西野監督の答えは……。
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