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オッズからユーロを占う。本命はフランス
対抗の2カ国と大穴のダークホースは?

対抗のイングランドは“プレミアリーグ・オールスターズ”

本命とされるフランス。エムバペ(中央奥)ら主力タレントも成長を続けており、隙が見当たらない
本命とされるフランス。エムバペ(中央奥)ら主力タレントも成長を続けており、隙が見当たらない【Getty Images】

 コロナ禍で1年延期されていた欧州選手権(ユーロ)が、2021年6月11日に開幕する。ポルトガルが初優勝を飾った16年の前回大会から5年が経ち、欧州各国の勢力図はどのように変わったのか。


 英国最大のブックメーカー『ウィリアムヒル』によれば、今大会の優勝オッズは、フランスが5.5倍で本命だ。エンゴロ・カンテ(チェルシー)、キリアン・エムバペ(パリ・サンジェルマン)ら主力タレントは日々成長を続けており、監督はディディエ・デシャンが引き続き指揮を執る。チームに隙は見当たらない。開催国として迎えた前回大会も本命予想だったが、そこで準優勝、18年のロシアワールドカップ(W杯)では優勝と、近年は安定して結果を残している。今大会も間違いなく本命だ。


 その対抗馬に挙げられるのは、6.0倍のイングランド、7.0倍のベルギーだろう。イングランドはジョーダン・ヘンダーソン(リバプール)、ハリー・ケイン(トッテナム)、ラヒーム・スターリング(マンチェスター・シティ)などのなじみの顔に加え、先日のチャンピオンズリーグ(CL)決勝でピッチに立ったフィル・フォーデン(マンチェスター・C)、メイソン・マウント(チェルシー)ら若手の台頭も目覚ましい。まるでプレミアリーグ・オールスターズとも言える豪華なメンバーは、昨今のプレミア勢の躍進とともに、大きな結果を残すかもしれない。前回大会では9倍程度のオッズにとどまったイングランドだが、今回は明確な対抗馬として認知される存在だ。


 ベルギーも一層、注目度を高めている。ユース育成改革から生まれたエデン・アザール(レアル・マドリー)、ケビン・デ・ブルイネ(マンチェスター・C)、ロメロ・ルカク(インテル)ら30歳前後の黄金世代は、選手として成熟した。特にルカクは今季、インテルを11年ぶりのセリエA優勝に導き、好調を維持する。戦術家のロベルト・マルティネスが率い、ユーリ・ティーレマンス(レスター)ら中盤の新世代も融合するベルギーは、予選を10戦全勝、40得点3失点と圧倒してきた。ただし、不安がないわけではない。エースのアザールは故障がちでチームでもプレー機会が少なく、また、デ・ブルイネもCL決勝で負った鼻骨と左眼窩底の骨折から万全の状態で戻れるかは不透明だ(編注:デ・ブルイネは初戦欠場の見込み)。彼らがグループステージの間にコンディションを上げられるか。

イタリアとオランダ、強豪の復活に期待。一方ドイツは…

レーブ率いるドイツは不安定な戦いが多く、“死の組”グループFを勝ち抜くのは難しいか
レーブ率いるドイツは不安定な戦いが多く、“死の組”グループFを勝ち抜くのは難しいか【Getty Images】

 この2チーム以外では、オッズ8.5倍のスペイン、9.0倍のドイツ、ポルトガルと続く。


 いずれも優勝の可能性を秘める強豪だが、今回のドイツに関しては不安のほうが大きい。3年前のロシアW杯でグループステージ敗退に終わった後、ヨアヒム・レーブはチームの若返りを図ってきたが、格下相手に失点がかさんだり、20年11月のUEFAネーションズリーグでスペインに0-6と歴史的大敗を喫したり、あるいは今年4月に行われたカタールW杯予選で北マケドニアに1-2で敗れる失態を演じたりと、不安定な戦いが多かった。


 今大会を最後に退任が決まっているレーブはこの状況を受け、トーマス・ミュラー(バイエルン)、マッツ・フンメルス(ドルトムント)ら、これまで招集外としてきたベテランの招集に踏み切ったが、果たしてチームは上向くだろうか。グループの組み合わせも悪く、フランス、ポルトガルとともに死の組と呼ばれるグループFに入ってしまった。下手をすれば、ドイツはロシアW杯に続く、グループステージ敗退もあり得る。踏ん張りどころだ。


 それ以外のチーム、オッズ2桁のチームに目を移すと、やはり目を引くのは、12.0倍のイタリアと、13.0倍のオランダだ。両国ともロシアW杯では予選敗退の屈辱にまみれ、オランダに至ってはユーロ2016も予選敗退したため、3大会ぶりの主要大会出場となる。この復帰組はどうなるか。


 ロベルト・マンチーニによって再建されたイタリアは順調だ。予選は10戦全勝と危なげなく出場権を勝ち取り、内容的にも、ポゼッションとプレッシングのバランスが取れたサッカーをしている。グループステージも組み合わせがよく、スイスやトルコらの対戦相手がアゼルバイジャンへの数千キロの移動を強いられる中、イタリアはホーム(ローマ)で3連戦を行う。今大会は開催国に名乗りを挙げたチームがホームでグループステージ3試合を戦う規程になっているため、このようなメリットを享受した。イタリアは問題なく、決勝トーナメントに上がりそうだ。


 一方、オランダは14年のブラジルW杯後、スムーズな世代交代に失敗し、もたつく間にアイスランドなどの成長著しい新興国の後塵を拝する形で、しばらく主要大会から遠ざかった。しかし、今大会はマタイス・デ・リフト(ユベントス)、フレンキー・デ・ヨング(バルセロナ)などの若手が台頭し、ジョルジニオ・ワイナルドゥム(リバプール)らとともに新生オランダを作り上げた。フィルジル・ファン・ダイク(リバプール)をけがで欠くのは痛いが、イタリア同様、ホーム(アムステルダム)で3連戦を行えるメリットがあり、グループステージを勝ち上がる可能性は高い。イタリアとオランダ、強豪の復活に期待したいところだ。

清水英斗
清水英斗

1979年12月1日生まれ、岐阜県下呂市出身。プレーヤー目線で試合の深みを切り取るサッカーライター。著書は「欧州サッカー 名将の戦術事典」「サッカーは監督で決まる リーダーたちの統率術」「サッカー観戦力 プロでも見落とすワンランク上の視点」など。現在も週に1回はボールを蹴っており、海外取材では現地の人たちとサッカーを通じて触れ合うのが楽しみとなっている。

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