オッズからユーロを占う。本命はフランス 対抗の2カ国と大穴のダークホースは?

清水英斗

大穴のダークホースに推したい、ハンガリーとウクライナ

シェフチェンコが指揮を執るウクライナ。相手に応じてシステムを使い分けるダークホース的存在だ 【Getty Images】

 最後、大穴のダークホースには、ハンガリーとウクライナを推したい。ハンガリーは圧倒的なインテンシティでボールを奪い取り、迫力あふれるカウンターで相手を仕留める筋肉質なチームだ。最低のクジ運により、先に述べた死の組、グループFに入ってしまったが、ハンガリーの戦い方はポゼッション重視で試合を進めようとする強豪を食いやすい。

 また、プレーオフではアイスランドとの死闘の末、終盤の2得点で逆転し、大会出場を果たすなど、ここ一番の勝負強さもある。ライプツィヒに所属する20歳のテクニシャン、ドミニク・ショボスライを負傷で欠くのは残念だが、ハンガリーは彼がいない試合も堂々と戦っており、ともすれば、死の組をかき回す存在になるかもしれない。

 ウクライナも面白いチームだ。アンドリー・シェフチェンコが指揮を執る代表チームは、現代的なポジショナルサッカーへ変化を遂げており、オレクサンドル・ジンチェンコ(マンチェスター・C)、ルスラン・マリノフスキ(アタランタ)を中心とする中盤はクオリティーが高い。予選ではポルトガルを抑えて首位通過を果たした。その一方、強豪国を相手にするとどうかという懸念もあったが、ネーションズリーグで揉まれた経験を経て、今年3月のW杯予選フランス戦では、センターバック3人を起用する5バックで1−1に持ち込む戦略を見せるなど、チームの幅を広げている。相手に応じて柔軟にシステムを使い分けるウクライナが、一戦一戦をどう戦うか見ものだ。

 欧州選手権はW杯以上のクオリティーを誇る大会と見られている。直近4大会のW杯優勝国がすべて欧州という事実からも、その濃度の高さはうかがえる。ここからどんなサッカーのトレンドが生まれるか。W杯優勝を目指す日本サッカーにとっても、無関係ではない。

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著者プロフィール

1979年12月1日生まれ、岐阜県下呂市出身。プレーヤー目線で試合の深みを切り取るサッカーライター。著書は「欧州サッカー 名将の戦術事典」「サッカーは監督で決まる リーダーたちの統率術」「サッカー観戦力 プロでも見落とすワンランク上の視点」など。現在も週に1回はボールを蹴っており、海外取材では現地の人たちとサッカーを通じて触れ合うのが楽しみとなっている。

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