ファン・番記者が選ぶ「Jリーグ最強の補強・衝撃の移籍」

Jクラブ歴代最高の補強・横浜FM編 久保や奥を上回るビッグヒットは?

藤井雅彦
アプリ限定

広島のエースだった久保を横浜FMが獲得したのは03年。期待どおり前線の核となり、8年ぶりのリーグ制覇の立役者に 【(c)J.LEAGUE】

 Jリーグのオリジナル10の5チームの歴代最強の補強選手たちを紹介するこのコラム。今回は1995年、2003年、2004年、2019年と4度のリーグ優勝を果たしている横浜F・マリノスだ。良いときも悪いときもチームを追い続けてきたジャーナリストの藤井雅彦氏に、思い入れたっぷりの「クラブ史上最強の補強トップ10」を選んでもらった。

10位:山瀬功治

横浜FM入りしてしばらくは故障に悩まされた山瀬だが、07年にはシーズンを通してフル稼働。キャリア初の二桁得点(11)をマークした 【(c)J.LEAGUE】

05年に浦和から獲得(10年まで在籍)

 リーグ連覇直後の05年に浦和から完全移籍で獲得した攻撃的MF。すでに浦和や世代別代表で実績を残していたため実力に疑いの余地はなかったが、入団当時は左膝前十字靭帯断裂という大怪我からの復帰を目指してリハビリ中だった。それでも背番号10を用意して迎え入れたあたりに期待の大きさがうかがえる。

 以降、6年間にわたってエースナンバーを背負い、トリコロールの攻撃を牽引。06年から10年にかけては日本代表にも招集されるなど、リーグを代表するアタッカーとしてその名を轟かせた。まだ主力選手の移籍がそれほど盛んではなかった時代のビッグディールで、大きな話題となった移籍だった。

9位:アデミウソン

レンタル期間終了に伴い1年でクラブを去ったが、アデミウソンは鮮烈な印象を残した 【(c)J.LEAGUE】

15年にサンパウロから獲得(15年シーズン終了まで在籍)

 ブラジルの世代別代表で背番号10を背負ったという輝かしい実績を引っ提げ、15年にサンパウロから期限付き移籍で加わった。『シティ・フットボール・グループ』との資本提携をきっかけに実現した移籍ということもあって、当時は話題を呼んだ。

 実際のパフォーマンスも前評判通りで、攻撃的なポジションならどこでもこなせる万能型アタッカーとして多くのゴールを演出。プレーにムラがあり、ピッチ外の規律面に不安があったのも事実だが、わずか1シーズンという在籍期間で、それを補ってあまりある強烈なインパクトを残した。前線でコンビを組む相棒として、彼の負担を軽減できる強力なアタッカーがもうひとりいれば、もっと活躍できたと思わずにはいられない。

8位:ラモン・ディアス

Jリーグ元年の補強の目玉だったのがディアス。ファーストステージで2戦連続ハットトリックの離れ業をやってのけるなど年間28ゴールを挙げ、初代得点王に輝いた 【Jun Tsukida/AFLO SPORT】

93年にリーベル・プレートから獲得(95年4月まで在籍)

 草創期のJリーグには世界的なスター選手が集まっていた。そのうちのひとりが、元アルゼンチン代表のラモン・ディアスだ。82年のスペイン・ワールドカップに出場した経歴の持ち主で、世代別代表ではあのディエゴ・マラドーナとタッグを組んだ点取り屋。その実力はJリーグ開幕戦となったV川崎戦での決勝ゴールで早速証明され、Jリーグ初代得点王(28得点)として歴史に名前を残した。

 続く94年も23得点を記録するなど、キャリアの晩年にもかかわらず世界的なゴールゲッターたる所以を見せつけた。利き足である左足から放たれたシュートはパンチ力、コースの蹴り分け、そしてGKが反応しづらいタイミングと三拍子がそろっていた。
  • 前へ
  • 1
  • 2
  • 次へ

1/2ページ

著者プロフィール

1983年生まれ、神奈川県出身。日本ジャーナリスト専門学校卒業後、フリーとして活動を開始。2006年からサッカー専門新聞『EL GOLAZO』の横浜F・マリノス担当を務め、現在はwebマガジン『ザ・ヨコハマ・エクスプレス』の責任編集としてチームに密着し続けている。著書に『横浜F・マリノス 変革のトリコロール秘史』(ワニブックス)、書籍の執筆・構成に『中村俊輔式 サッカー観戦術』(ワニブックス)、『サッカー・J2論』(ワニブックス)がある。

新着記事

編集部ピックアップ

コラムランキング

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント