連載:J1・J2「移籍・新戦力」を徹底的に語り尽くす!

山口、秋田は躍進か、東京Vはまさかの… 番記者によるJ2展望座談会【後編】

飯尾篤史
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圧倒的な強さで昨シーズンのJ3を制した秋田。ソリッドな守備を武器にJ2で旋風を巻き起こすかもしれない 【(C)J.LEAGUE】

 J2を知り尽くす3人のライター、東京ヴェルディに密着する海江田哲朗氏、水戸ホーリーホックを丹念に取材する佐藤拓也氏、FC町田ゼルビアを追う郡司聡氏が各チームの補強や陣容について語り合うこの鼎談。Aクラス、Bクラスについて評価してもらった前編に続き、後編では残りのBクラスとCクラスについて分析してもらった。
●Aクラス予想(※並びは昨年の上位順、◎はJ1昇格予想チーム)
海江田:長崎、磐田◎、山形、京都◎、新潟、千葉

郡司:長崎、磐田◎、山形、京都◎、松本、町田

佐藤:長崎、磐田◎、山形、京都◎、松本、大宮

●Bクラス予想(※並びは昨年の上位順)
海江田:甲府、北九州、水戸、栃木、東京V、松本、大宮、町田、山口

郡司:甲府、水戸、新潟、千葉、大宮、岡山、群馬、山口、秋田

佐藤:北九州、水戸、栃木、新潟、千葉、琉球、岡山、町田、秋田

※詳しくは前編をご覧ください

セカンドプランを持つ伸二さんの強み

――続いてヴァンフォーレ甲府(昨季4位)です。海江田さん、郡司さんはBクラス、佐藤さんはCクラスに入れています。では、ここで3人のCクラスのチームを見ておきましょう。

●Cクラス予想(※並びは昨年の上位順)
海江田:琉球、岡山、金沢、群馬、愛媛、秋田、相模原

郡司:北九州、栃木、東京V、琉球、金沢、愛媛、相模原

佐藤:甲府、東京V、金沢、群馬、愛媛、山口、相模原


郡司 ドゥドゥや太田修介を引き抜いておいてなんですけど、伊藤彰監督はラージグループの中でチームを作ってきたので、大崩れはしないかなと。ただ、昇格にも絡まない、降格にも絡まない中位といった印象ですね。

海江田 ヴェルディは甲府と練習試合をやって負けました。J2上位という感じの強さでしたよ。3年目だから奇抜なことをするような感じでもないし、チーム力が真ん中より上なのは間違いないと思います。ただ、メンバーを見ると、ちょっと決め手に欠けるかな。野津田岳人(サンフレッチェ広島から加入)がレンタルで加わったんですね。J2の選手ではなかったはずなんだけどなあ。佐藤さんはなぜ、Cクラスにしたの?

佐藤 J2の中でこのオフ、最もスケールダウンしたチームという印象なんです。さっき話したように、ゼルビアに太田を引き抜かれるのが今の甲府の現状なんじゃないかなと。他にも主力をずいぶん引き抜かれているし、クラブの立ち位置が大きく変わった印象があります。ただ、GMの佐久間悟さんが目指すサッカーは定まっていて、体が強くて、走力があって、戦える選手を獲得しているから、大崩れはしないと思うんですけど、上位は難しいんじゃないかなと。

――続いて、海江田さん、佐藤さんがBクラスに選んでいるギラヴァンツ北九州(昨季5位)を見ていきましょう。昨シーズンのJ2を盛り上げたチームです。

佐藤 選手は大幅に抜かれましたけど、小林伸二さんだから、大崩れはしないと思います。それに、FC東京からGK志村滉、清水エスパルスからMF六平光成、大宮からFW富山貴光など、いい選手を獲得している。個人的には明治大から加入した狩土名禅は面白いと思いますね。期限付き移籍中の高橋大悟が残ったのも、小林伸二さんのパワーだろうなと。

海江田 左サイドハーフの新垣貴之はチームの軸となる選手だから、残留したのは良かったけど、全体的に戦力ダウンは否めないかな。昨シーズンは「小林伸二さん、こんなサッカーをするんだ」って驚かせたけど、あの人はいざとなれば勝ち点1を拾うセカンドプランのサッカーもできる。それをやりたいか、やりたくないかは別にして、そのプランを持っているのは大きいですよ。その強みが今シーズン、北九州を救うんじゃないですかね。

郡司 僕はCクラスにしたんですけど、Bクラスに近いCクラスです。主力選手を引き抜かれた厳しさに加え、J2で2年目なので分析されて苦しむかなと。ただ、海江田さんもおっしゃったように、伸二さんは現実路線に舵(かじ)を切ることができるので、歯車がかみ合わなくなっても残留させることができるんじゃないかと考えてのCクラスです。

山口にいったい何が起きたのか?

戦術面でチャレンジしながら、仙台を6シーズンにわたってJ1に残留させた渡邉晋。昨シーズン、最下位に沈んだ山口を再建できるか 【(C)J.LEAGUE】

――昨シーズン17位のファジアーノ岡山は、佐藤さん、郡司さんがBクラス、海江田さんがCクラスにしています。有馬賢二監督は3年目を迎えます。
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著者プロフィール

東京都生まれ。明治大学を卒業後、編集プロダクションを経て、日本スポーツ企画出版社に入社し、「週刊サッカーダイジェスト」編集部に配属。2012年からフリーランスに転身し、国内外のサッカーシーンを取材する。著書に『黄金の1年 一流Jリーガー19人が明かす分岐点』(ソル・メディア)、『残心 Jリーガー中村憲剛の挑戦と挫折の1700日』(講談社)、構成として岡崎慎司『未到 奇跡の一年』(KKベストセラーズ)などがある。

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