連載:野球ゲーム「今昔物語」

『ファミスタ』×『パワプロ』夢の対談! 開発者2人が振り返る野球ゲーム誕生秘話

鴫原盛之
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史上初となる『ファミスタ』『パワプロ』開発者同士の対談が実現した 【スリーライト】

「ユーザーが選ぶ!子供の頃にハマった野球ゲームランキング」でダントツの人気を集めた、『パワプロ』ことコナミの『実況パワフルプロ野球』と、『ファミスタ』ことナムコ(現:バンダイナムコ)の『プロ野球ファミリースタジアム』の両シリーズ。長年にわたりファンに愛され続け、「国民的野球ゲーム」と言っても過言ではない両シリーズは、どのようにして生まれたのだろうか?

 そこで今回、元祖『ファミスタ』を開発した、“ファミスタの父”こと岸本好弘氏と、入社以来『パワプロ』シリーズを作り続け、『パワプロ』『プロスピ』両シリーズの統括プロデューサーを務めてきた、コナミデジタルエンタテインメントの谷渕弘氏を招いて、開発当時のエピソードや、競争相手の印象などについて大いに語り合ってもらった。野球ゲーム開発のエキスパートであり、くしくも互いにプログラマー出身である両巨匠の、今までありそうでなかった夢の対談企画。前・後編の2回に分けてお届けする。

KONAMI・谷渕氏も知っていた「ぴの」のルーツ

本題の前に「トイポップ」の主人公「ぴの」の話題で盛り上がった 【写真提供:鴫原盛之】

――初めに、お二人が『ファミスタ』『パワプロ』以前に開発を担当された主なタイトルからお聞きしたいのですが、まずは岸本さんから教えていただけますか?

岸本 私がナムコに入社したのは1982年で、まだファミコンがなかった時代でしたから、最初は『パックランド』『バラデューク』『トイポップ』などのアーケードゲームや、MSXパソコン用ゲームのプログラムを作っていました。その間にファミコンが出たので、「私もファミコンでゲームを作りたいです。野球ゲームを作ってもいいですか?」と上司に相談したら「いいよ」と言ってくださり、作り始めたのが『ファミスタ』です。

谷渕 私もゲームセンターで、『パックランド』はメチャクチャ遊んでいましたよ。『バラデューク』も『トイポップ』も好きでしたし、『パックランド』はファミコン版もかなり遊びました。

岸本 ありがとうございます。じゃあ、「ぴの」(※)の足が速いのはなぜなのか、おわかりなんですね。

谷渕 はい、もちろん存じております。

※筆者注 「ぴの」:『ファミスタ』シリーズのナムコスターズに所属する超俊足選手。もともとは『トイポップ』というゲームの主人公キャラクターで、ジェット・ブーツのアイテムを取ると一定時間移動スピードが速くなる特徴があった。

――谷渕さんは、今までにどんなゲームの開発を担当されたのでしょうか?

谷渕 私は第1弾の『実況パワフルプロ野球'94』の開発がちょうど一段落したタイミングで入社しまして、最初にプログラムを担当したのが『実況パワフルプロ野球2』でした。以後、ずっと『パワプロ』を作り続け、モバイル版も含めて『パワプロ』と『プロスピ』を全部見てきました。

両シリーズが生まれた背景

――『ファミスタ』『パワプロ』両シリーズが生まれた背景についてお尋ねします。岸本さんは、どのようにして『ファミスタ』のアイデアを思い付いたのでしょうか?
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著者プロフィール

1993年に「月刊ゲーメスト」の攻略ライターとしてデビュー。その後、ゲームセンター店長やメーカー営業などの職を経て、2004年からゲームメディアを中心に活動するフリーライターとなり、近年では文化庁のメディア芸術連携促進事業 連携共同事業などにも参加し、ゲーム産業史のオーラル・ヒストリーの収集・記録も手掛ける。主な著書は「ファミダス ファミコン裏技編」「ゲーム職人第1集」(共にマイクロマガジン社)、共著では「デジタルゲームの教科書」(SBクリエイティブ)「ビジネスを変える『ゲームニクス』」(日経BP)などがある。2014年より日本デジタルゲーム学会ゲームメディアSIG代表を務める。

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