富樫勇樹、圧巻の成績で月間MVP受賞 千葉は優勝を目指すのが「当たり前」

大島和人

11月度、月間MVPを受賞した、千葉ジェッツの絶対的エース富樫勇樹選手(中央) 【(C)B.LEAGUE】

 B.LEAGUEは2020-21シーズンから新しい試みとして、月間MVPに相当する「B.LEAGUE Monthly MVP by 日本郵便」を、リーグが選出した選手の中から、ファン投票で選出している。10月の「初代月間MVP」はジュリアン・マブンガ(富山グラウジーズ)で、11月は富樫勇樹(千葉ジェッツ)の受賞が決まった。

 富樫の実力、人気は説明するまでもないだろう。167センチ・65キロの「一般人体型」だが、そのスピードとスキルは唯一無二。ドリブル、パス、シュートのすべてが武器で、相手ディフェンスは手の打ちようがない。大野篤史ヘッドコーチとともに、千葉ジェッツの実力と人気がB1最高レベルに達した立役者でもある。

 彼はBリーグ初年度からオールスターゲームには5年連続でファン投票により選出されており、2019-20シーズンには日本人選手として史上初の「1億円プレーヤー」にもなった。2019年のワールドカップ中国大会は負傷で出場を逃したが、2021年夏に延期された東京オリンピックでは主力として期待されている。

 今回はそんな日本バスケを代表する27歳のポイントガードに、マンスリーMVPを受賞した感想と11月の振り返り、そして今季や代表への意気込みを聞いた。

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11月はシュートの感覚が良かった

――11月の「B.LEAGUE Monthly MVP by 日本郵便」の受賞、おめでとうございます。ご感想はいかがですか?

 二人目として受賞できたことは嬉しいです。これを機に、この賞をもっと取れるように頑張りたいと思います。

――11月の千葉ジェッツは5試合を戦って4勝1敗。富樫勇樹選手は平均19.6点、4.8アシストを記録しています。チームや富樫選手にとって「これくらいが普通」という感覚ですか?

(少し考えて)でも11月はシュートの感覚がよくて、3ポイントもかなり入っていました。10月はシュートも安定しない試合が続いたんですけれど、11月は自分のリズムを取り戻せました。

――11月のベストゲームはどの試合ですか?

 北海道との2試合目(11月8日)はすごくよく覚えています。ギャビン(エドワーズ)が急に出られなくなって、チームとして準備をしてきたものが出しにくい状況になりました。「大丈夫かな?」と感じた選手も多かったと思いますけど、他の選手がつないでくれて、チームとして何も変わることなくいつも通りのバスケットで勝てた。その試合が印象深いです。

――11月8日(日)の北海道戦は千葉が92-73と勝利して、富樫選手も23得点を記録しています。3ポイントシュートの試投数が11本(成功5本)ですから、普段より積極的に打つ狙いでしたか?

 誰がいる・いないでシュートのアテンプト(試投)が変わるかどうか分からないですけれど、そこは常にチームから求められていることです。そういう試合だからこそ、チームとして危機感があって、ディフェンスやリバウンドの意識も高くなっていたのかなと思います。
――11月の千葉は7日(土)のレバンガ北海道戦が126-75、15日(日)の秋田ノーザンハピネッツ戦は102-58と、強烈な大差で勝った試合があります。11月の平均は96.8得点ですし、シーズン通算(12月13日時点)もリーグ最多の平均89.7得点。今季の千葉は爆発力が印象的です

 外国籍選手のオン・ザ・コートルールが変わって、プレータイムも増えました。それもあって千葉は1試合平均で12点以上取っている選手が5人います。だから点数の部分で安定するし、90点くらいの平均得点があるのも不思議ではないと思います。一人が25点26点取るより、平均的に15点あたりを取っていくとチームとしてのバランスもよくなりますね。
(編注:富樫勇樹、セバスチャン・サイズ、シャノン・ショーター、ギャビン・エドワーズ、ジョシュ・ダンカンがいずれも平均12点以上を記録)

――富樫選手はポイントガードとして、チームメイトを気持ちよくプレーさせる、点もバランスよく取らせる意識があると思います。今季は無理なくそういう状態になっているわけですね?

 もちろん自分が取りたくないわけじゃなくて、「どういうシュートを打つか」が大事です。チームとしてどういうボールの回り方をして、最後に誰が打つかを意識しています。ボールを持って、自分だけが攻めて30点取るのでは意味がない。逆に30点を取った試合だとしても、チームとして作られたシュートを打っているならいいはずです。

 ただ千葉は点数を取れる選手がたくさんいるので、しっかり全員がボールをタッチする機会があるようにしたい。ビッグマンだとなかなかボールへ触れずにオフェンスからディフェンスに移っていくこともある。そこは少し考えながらやっています。

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著者プロフィール

1976年に神奈川県で出生し、育ちは埼玉。現在は東京都北区に在住する。早稲田大在学中にテレビ局のリサーチャーとしてスポーツ報道の現場に足を踏み入れ、世界中のスポーツと接する機会を得た。卒業後は損害保険会社、調査会社などの勤務を経て、2010年からライター活動を開始。取材対象はバスケットボールやサッカー、野球、ラグビー、ハンドボールと幅広い。2021年1月『B.LEAGUE誕生 日本スポーツビジネス秘史』を上梓。

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