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J1月間MVP G大阪・井手口陽介は極めるか 最強「ボックス・トゥ・ボックス」へ

飯尾篤史

海外移籍で学んだ、苦しい時期の対応

第25節・札幌戦では2列目から飛び出して同点ゴールを決めた。神出鬼没なプレーで攻撃でも貢献 【(C)J.LEAGUE】

――井手口選手もまだ若い印象がありますが、山本選手をはじめ、いつの間にかピッチ上に年下の選手が増えましたね。

 すごく頼もしいです(笑)。僕から声を掛けるとかはあまりなくて、何も言わなくても頑張ってくれている。悠樹も、(福田)湧矢も、(川崎)修平も、「やってやろう」っていう気持ちがすごく前面に出ているのが頼もしい。活躍してほしいな、って思います。

――やってやろう感は、井手口選手からもすごく感じますよ。

 マジっすか。ありがとうございます(笑)。

――ヨーロッパへの挑戦はケガもあって、思い描いたようにはいかなかったかもしれませんが、こうしてパフォーマンスを取り戻し、さらに進化した姿を見ていると、難しかった海外経験においても得られたものは大きかったのかなと想像します。

 最初のスペインの半年間(クルトゥラル・レオネサ/当時2部)は試合に出られない日々が続いて、ドイツに移籍して(グロイター・フュルト/2部)、次は試合に出られたと思ったら、二度もケガをしてしまって。本当にもどかしかったですけど、うまくいっていないときこそ、試されるっていうことを学んだと思います。焦らないというか。だから、この先どんなに苦しい時期が来ても、うまく対応できる気がしています。

――では、昨年の夏、G大阪に復帰したものの、本調子ではなかった。そのときも焦ることなく?

 たしかに最初は難しかったですけど、僕自身、長い間、試合から遠ざかっていたので難しいのは分かっていたし、試合に出続けていけば、コンディションが良くなるのも分かっていたので、そんなに焦りはなかったですね。コンディションや試合勘だけでなく、3バックのインサイドハーフにも慣れていなくて難しい部分がありましたけど、それもやっているうちに慣れると思っていて。実際、今季は慣れてきましたし、今はダブルボランチになったので自分の良さがさらに出せている。だから今はすごく楽しいというか、すごくハマってきたな、と感じています。

ヤットさんがいなくてもタイトルを

遠藤が去ったチームの大黒柱として井手口への期待は大きい。本人も「責任感は出てきた」 【(C)J.LEAGUE】

――あと、長年G大阪を支えてきた遠藤保仁選手がジュビロ磐田に期限付き移籍をしました。同じポジションでもあるし、背中を見てきた選手がいなくなったことに関して、どんなふうに感じていますか?

 移籍すると聞いて真っ先に思ったのは、驚きとかよりも寂しさですね。すごく寂しいなって。これまでガンバは多くのタイトルを獲ってきましたけど、すべてヤットさんが中心になって獲ったもの。そんな選手がいなくなるのは、ガンバにとって大きな出来事ですけど、逆に、ヤットさんがいなくてもタイトルを獲れるようなチームを作っていきたいとも思いました。僕にはヤットさんみたいなパスを出したり、ゲームメークをしたりすることはできないですけど、違った良さを出して、チームを勝たせられる存在になっていきたい。その責任感はすごく出てきました。

――そうした責任感は10月のプレーにも表れていたと思います。だからこそ、月間MVPにも選出されたのではないかと。実際にチームに素晴らしい結果をもたらせたことは手応えや自信になっているのではないですか?

 そうですね。ただ、やっぱり僕個人というより、チームとしてすごく自信がついてきているのが大きいと思います。それは、練習とか試合をしていてもすごく感じる。僕としては、そっちの方がうれしいです。

――では、最後に。残り試合も少なくなってきましたが、どんなシーズンにしたいですか?

 首位の川崎フロンターレとは勝ち点差がすごく開いてしまっていますけど、来年のACL(AFC チャンピオンズリーグ)の出場権を獲りたいし、今年の天皇杯の出場権(J1上位2チーム)も懸かっているので、上だけを見て、このまま勝ち点を積み重ねていくだけだと思っています。

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著者プロフィール

東京都生まれ。明治大学を卒業後、編集プロダクションを経て、日本スポーツ企画出版社に入社し、「週刊サッカーダイジェスト」編集部に配属。2012年からフリーランスに転身し、国内外のサッカーシーンを取材する。著書に『黄金の1年 一流Jリーガー19人が明かす分岐点』(ソル・メディア)、『残心 Jリーガー中村憲剛の挑戦と挫折の1700日』(講談社)、構成として岡崎慎司『未到 奇跡の一年』(KKベストセラーズ)などがある。

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