連載:#BAYSTARS - 横浜DeNAベイスターズ連載企画 -

DeNAチケット部が目指してきた“ライブエンターテインメント”の追求

村瀬秀信

スターナイトで初の“全席QRチケット化”

人数制限ができたからこそ、QRチケット化の試みを行えたという 【(C)YDB】

 無観客となったことでプランは白紙。7月に入場制限5000人となった際は、チケットを抽選で販売したが、やはり競争率は凄(すさ)まじく、瞬く間に消えた。そして今回50%に引き上げられても、チケットの売れ行きは変わらないように思える。

「外からの見え方はそうかもしれませんが、去年までとは明らかに違いますね。このコロナでやっぱり球場に来ることに抵抗があるというファンの方もいますし、去年までと同じような感覚で、チケットを売っていただけでは満員にならなかったと思います。言えることは、すべての試合を満員にするためには球団がしっかり営業努力をする必要があるということです」

 一方で、人数制限ができていたからこそ、挑戦できたこともあるという。9月8日からの「YOKOHAMA STAR☆NIGHT 2020 Supported by 横浜銀行」では、球団として初の試みである、全席を対象にした“チケットのQRコード化”を実施した。

「QRにすることによって、入場をスムーズにできるだけでなく、来場者の詳細なデータが取れることが大きな魅力でした。お客さんの来場時間のピークにしてもこれまでは肌間隔では理解していましたが、より詳細なデータがわかることによって、たとえば、密になりやすい時間はいつなのか、が分かるようになります。その他、何かイベントを行うにしても時間帯を見ながら進められますし、飲食やグッズの販売にもつなげていける。そして、コロナ禍ではQRになると入場時のゲート通過のスピードが速くなり、係員との接触機会が減る。行列が緩和されるなど、“密”を避けるための対策が打ちやすくなるのが利点です」

コロナ禍では、どうしても解消できない問題

“ライブエンターテイメント”を追求してきたベイスターズと野田さん 【スポーツナビ】

 QRチケット実用化、キャッシュレスシステムの導入も含め、この先、野球観戦は大きく変わっていく予感を漂わせるが、一方、現在のコロナ禍では、どうしても解消できない問題もあるという。

「これまで我々は、このハマスタで熱狂的な応援などで、非日常の体験をしていただくことを目指してやってきましたが、今季は周りとの一体感を得るような声を出しての応援ができないなど、空気をつくることの難しさをすごく感じました。観戦に制限がついてしまっているのは重々承知の上ですが、それでも我々の自問自答として、このやり方でお客さんは満足していただけているのだろうか、ということを考え続けています」

 野球を球場で観る、生の迫力、映像、演出、グラウンドとスタンドの一体感。“ライブエンターテインメント”は、DeNAベイスターズが追い求めてきたテーマである。だが、それらは規制によって大きく削がれることになった。

「ただ、そんな中でも新たな挑戦がありました。このコロナによって、大きく進んだ分野もあるんです」

 コロナの時代に新たに生まれるライブエンターテインメント。そして長年のチケット問題をも解決するかもしれない一手。それが、「オンラインハマスタ」そして「バーチャルハマスタ」である。

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著者プロフィール

1975年8月29日生まれ、神奈川県茅ケ崎市出身。プロ野球とエンターテイメントをテーマにさまざまな雑誌へ寄稿。幼少の頃からの大洋・横浜ファン。

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