連載:#BAYSTARS - 横浜DeNAベイスターズ連載企画 -

今季好調のDeNA井納を支える“メリハリ” チームの苦境に力を発揮する一方で…

村瀬秀信
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井納の笑顔にはやさしさがにじむ 【岡本範和】

 2020年。今後の野球人生を占う上でも勝負の年と位置付けた、横浜DeNAベイスターズの先発最年長投手・井納翔一。そんなシーズンで最初に世間を騒がせたのは、ピカチュウに、ミニオン、そしてDB.スターマン。まさかの“キャラ弁作り”だった。やっぱり井納はやさしい。

「いつも奥さんに僕の分も毎回お弁当を作ってもらっていましたからね。自主練習になって家にいる時間も増えたので、子どものため、少しでも家族の助けになればと思ってやってみました。新型コロナウイルスの影響で開幕がいつになるかわからない不安もありましたけど、練習する時は練習する。練習がない時なら家でやるべきことをやってから家族のために時間を使う。そういう意味では、オンとオフの“メリハリ”がしっかりできたのかなとは思います」



 メリとハリ。それは苦しい時に力を発揮する、今シーズンの井納の特徴でもあった。

同級生・石川とのピースフルなやり取り

 メリとハリ。それは苦しい時に力を発揮する、今シーズンの井納の特徴でもあった。

 振り返れば今シーズンのスタートはキャンプからファームだった。2月、3月のオープン戦でも1軍に呼ばれることなく、そのまま開幕延期で新型コロナウイルスによる自粛期間へと突入した。

 チャンスが来たのは自粛期間が明けた直後。開幕ローテ候補だった上茶谷大河が離脱したことで、6月6日の北海道日本ハムとの練習試合で1軍戦初登板。3回1失点と一発回答で開幕ローテ入りをつかんだ。

「自分が30代の半ばになって、しかもこの2年間は思うような結果も出せていない状態です。チームには若い投手がどんどん出てくるから、チャンスも少なくなってくる。1つの登板でしっかりと結果を残さなければ生き残ることができない。今年はそういう危機感をより強く持ちながら投げていた結果が、良い方向に出たのかなとも思います」

 初登板は開幕5試合目の中日戦(6月24日)、5回8安打2失点で勝利投手に。続く7月9日の広島戦でも6回4安打1失点で2連勝。開幕から横須賀にいる同級生の石川雄洋に、バースデーウィニングボールをプレゼントした。ピースな井納。はにかむタケヒロ。これがベイスターズの年長者である。なんてやさしい世界。



 井納はその後も好投を続けた。7月は援護がなく2敗を喫したが、8月は4試合で3勝1敗。防御率1.50と抜群の成績を残し、今永昇太と並んでチーム2位タイの5勝を上げている。
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著者プロフィール

1975年8月29日生まれ、神奈川県茅ケ崎市出身。プロ野球とエンターテイメントをテーマにさまざまな雑誌へ寄稿。幼少の頃からの大洋・横浜ファン。

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