ホークスの“千賀二世”はブレークなるか? 2020年、パ・リーグ注目の若手選手たち

ベースボール・タイムズ

ロッテ・安田は飛躍の年にできるか

初の開幕1軍入りを果たした安田。ポジションを不動のものとしたい 【写真は共同】

 野手陣はどうか。開幕早々、注目を集めたのが楽天の大卒2年目捕手・太田光だ。広陵高から大阪商業大を経てドラフト2位で入団。プロ1年目の昨季は交流戦期間に1軍に昇格して最終的に55試合に出場した。2年目の今季は開幕戦からスタメンマスクをかぶり、攻守で開幕ダッシュに成功したチームをけん引。正捕手に定着するだけでなく、リーグを代表する捕手へと進化を遂げようとしている。楽天では2年目外野手の辰巳涼介、ドラフト1位ルーキーの内野手・小深田大翔の2人にも期待。自慢のスピードで攻撃を活性化してもらいたい。

 その楽天とともに好発進したロッテの野手陣には、高卒2年目の藤原恭大と高卒3年目の安田尚憲、さらに平沢大河を加えたドラ1トリオの成長が待たれる。この中で現在、最も先頭に立っているのは、履正社高出身の左のスラッガー・安田だ。2年目の昨季は2軍の試合に専念した中で19本塁打、82打点でイースタン二冠王に輝いた。今季は自身初の開幕1軍入りを果たし、開幕2戦目にはスタメン出場。7月3日時点で打率.053と結果を出せていないが、チームがさらに勢いに乗るためには大卒ルーキーで強打が自慢の福田光輝、自慢の俊足で6月1日に支配下登録された和田康士朗らとともに、フレッシュな力が必要になる。

「ウィズ・コロナ」時代の担い手は誰か

プロ初の本塁打とサヨナラ打を同じ日に達成した野村。スターの雰囲気を感じさせる逸材だ 【写真は共同】

 他のチームにも期待の逸材が多く、西武ではパンチ力のある内野手として昨季ルーキーながら52試合に出場した佐藤龍世、花咲徳栄高で全国制覇して今季高卒3年目となる西川愛也、さらに俊足巧打の外野手である鈴木将平らがいる。特に西川、鈴木の外野陣に関しては、ポスト・秋山翔吾としてどこまで成長できるか。現状、新外国人のスパンジェンバーグが1番に座っているが、若手が頭角を現せば、戦い方のバリエーションが増え、チームにとっては大きなプラスになる。

 ソフトバンクでは高卒6年目の栗原陵矢が早くもブレーク。本職は捕手だが、開幕から一塁のレギュラーとして、得点圏打率5割越えの勝負強さで勝利に貢献。鋭いスイングと巧みなバットコントロールで、ソフトバンク打線に新風を吹かせている。さらに期待したいのが、今年3月に支配下登録を勝ち取った21歳のリチャードだ。189センチ、112キロの巨体に規格外のパワーを搭載。生え抜きの右の長距離砲として覚醒が期待される。

 オリックスの野手陣では、ルーキーイヤーの昨季は交流戦首位打者に輝いた中川圭太に続き、今季も大卒新人の勝俣翔貴に期待。ドラフト5位指名ながら高校時代にはU-18ワールドカップで首位打者と打点王に輝くなど打撃センスは折り紙つきだ。チャンスをつかめば、昨年の中川同様に一気にブレークする可能性もある。その他、「2番・セカンド」でブレーク必至の状態だった高卒2年目の宜保翔が5月に右手有鉤(ゆうこう)骨手術で離脱したのが誤算だったが、同じく高卒2年目を迎えるドラフト1位入団の太田椋なども順調に成長中。投手陣と同様に野手陣も若手が確実に伸びてきている。

 そして、最後に日本ハム。チーム全体が若く、多くの若手がしのぎを削っている中、今季は高卒2年目の野村佑希が7月2日のソフトバンク戦で、プロ初の本塁打とサヨナラ打を同日に放つ離れ業を披露。20歳とは思えないハートの強さを見せ、今後への大きな可能性を感じさせた。さらに外野手では同じ高卒2年目の万波中正も期待大。昨季には2軍でチームトップの14本塁打を放ち、今季も春季キャンプから練習試合と思い切りの良いスイングでアピールを続けた。開幕1軍入りは逃したが、どこかのタイミングで必ずチャンスをもらえるはずだ。

 もちろん高卒3年目を迎えた清宮幸太郎の本格ブレークにも期待したいが、うかうかしていると次から次へと頭角を現す後輩たちに先を越されることになる。高校時代に「怪物」の呼び名をほしいままにしていた男が、プロの舞台でいつ爆発するのか。「ウィズ・コロナ」の新時代の旗手として、プロ野球界を背負い、引っ張ってもらう必要がある。

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著者プロフィール

プロ野球の”いま”を伝える野球専門誌。年4回『季刊ベースボール・タイムズ』を発行し、現在は『vol.41 2019冬号』が絶賛発売中。毎年2月に増刊号として発行される選手名鑑『プロ野球プレイヤーズファイル』も好評。今年もさらにスケールアップした内容で発行を予定している。

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