連載:プロ野球 今シーズンに懸ける男たち

若きスラッガー覚醒を2人の大打者が促す SB・リチャード「電光掲示板を壊します」

小西亮
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育成3年目で迎えた今季、リチャードは3月に支配下選手登録を勝ち取った 【写真は共同】

 誰もがうらやむ圧倒的な素材が、いま開花のときを迎えようとしている。福岡ソフトバンクに育成ドラフト3位で入団し、今季で3年目を迎えたリチャードは、3月に支配下選手登録を勝ち取った。189cm、115kgの恵まれた体格から放たれる放物線は、レギュラーのベテラン化が進む常勝軍団の未来には欠かせない存在になってくる。

 同郷の先輩で2年連続本塁打王の埼玉西武・山川穂高内野手に目をかけてもらい、技術や考え方を吸収。昨秋のキャンプでは、王貞治球団会長から成長へのヒントをもらい、現在もひそかに実践している。新型コロナウイルス感染拡大の影響で、3カ月遅れの開幕となった今シーズン。タカの大砲候補は、意外にも冷静に自らの立場を見つめている。

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苦しんだ入団1年目…2桁背番号には「不安」も

――開幕は二軍で迎えました。一軍を目指していた中で、もちろん悔しさがあると思います。

 しがみつきたいという強い気持ちはあったんですけど……。いまは二軍の試合で、監督や打撃コーチに相談しながら、自分の考えていることをいろいろ試してやっていこうと思っています。毎打席、何を考えていたとかどんな球を待っていたとか……。それをノートに書きながらやっています。自分のスイング自体は変えずに、構え方やタイミングの取り方などを変えてみたり、下半身を使う意識をさらにしてみたりって感じです、具体的には。

――3月に支配下選手登録され、背番号も127から52に。球団からの期待の表れです。

 支配下にしていただいた時は正直、不安しかなかったです。一軍で使えると思われないと支配下にはなれないと思っていましたし、ホークスはメンバーがすごい。そんな中で、やれるのかなぁって感じはありました。

――今シーズンから登録名を「砂川リチャード」から「リチャード」に変更されました。

 心機一転というよりは、僕は外国人選手っぽい見た目なので、名前もそれっぽくしてみようかと。日本人選手のような名前だと「えっ?」ってなるかなと(笑)。

――苦しんだ1年目に比べると、着実に成長を感じているのでは?

 1年目は……もうひどかったですね。バットに当たりません。ストレートが打てません。じゃあ変化球となっても、それも打てません。何もできなかったです。コーチにスイングを教わりながら、ほぼ毎日といっていいくらい特打をやらせてもらいました。とにかくバットを振っている時間が長かったですね。試合では4番で使ってもらうことも多かったのですが、打てないと申し訳ないなって感じでした。

王会長からの「読書のススメ」

――ご自身の練習の成果もあって、昨年の秋ごろから周囲の空気も変わってきたように思います。台湾で行われたアジア・ウインターリーグでは3本塁打を記録しました。

 秋のキャンプで王会長から「ウインターリーグでホームランを6本打ってこい」と言われ、意識して打ってみようと打席に入りました。ホームランを狙うというのは難しいなとも思いましたし、いけるなと思った瞬間もありました。ただ、自信になったというよりも、日本に帰ってから打てるのかなという感じの方が強かったです。
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