選手の感染リスクは? PCR検査は必要? 岩田教授に聞く「無観客試合」
スポーツメディアも変革のとき
すぐに思いつくのが、グラウンド整備のスタッフですね。地面に飛び散ったウイルスは、一定時間は生存しているので、芝生に水を蒔いたり乱れた芝を直したりする作業には注意が必要です。マスクはもちろん、目のプロテクションもあった方がいいでしょう。あとはフィジカルトレーナとかドクター、それからホペイロでしょうか。選手やボール、衣服などと直接接触がある仕事の人についても、感染防止の配慮が求められます。
──つい先日、Jリーグから通達があったんですが、われわれメディアも再開後は人数制限が設けられることになりました。メディアルームも使用できず、監督会見や選手コメントもリモート。スタメンや試合結果の用紙も配布しないことになりました。われわれメディアもまた、この状況に慣れていく必要があるわけですが、何かアドバイスはありますか?
すぐに慣れていくんじゃないですかね。会見はリモートでまったく問題ないでしょうし、資料もオンラインで配ればいい話だし。そもそも紙で配っていたこと自体、時代錯誤だったんじゃないかと思います。スポーツジャーナリズムもまた、このコロナをきっかけに変わっていくべきではないかと私は思っています。
私自身、サッカーの記事はよく読むんですけど、10年くらい前までは選手と仲良くなって記事を書いているジャーナリストって、結構いたように思うんです。信頼関係を築くこと自体は否定しません。でも「ワイングラスを傾けながら試合を振り返った」みたいなのは、もう違うのかなと(笑)。すみません、個人的な意見ですが。
──いえいえ(笑)。大変興味深いご指摘、ありがとうございます。最後の質問です。無観客の期間を経て、観客を入れた試合に移行するタイミングについて、条件を挙げるとしたらどういったものでしょうか?
繰り返しになりますが、徐々にやっていくしかないでしょう。無観客に慣れてきたら、少しずつ観客を入れていき、何か問題があればまた戻る。その繰り返しになると思います。今は未体験ゾーンの中で試行錯誤をしているわけで、「やる/やらない」の二元論的なものではない。どこまでできるのか、微調整を続けながらやっていくしかないと思います。
<続編は7月上旬掲載予定>
岩田健太郎(いわた・けんたろう)
【(C)『新型コロナウイルスとの戦い方はサッカーが教えてくれる』エクスナレッジ】
サッカーは小学2年生から始め、現在はヴィッセル神戸のサッカースクールでディフェンダーを務める現役のフットボーラー。心のクラブはマンチェスター・ユナイテッドとヴィッセル神戸。好きな選手はジョージ・ベスト、クライフ、プラティニ、そしてイニエスタ。サッカークラスタ界隈では「世界一感染症に詳しいヴィッセル神戸のサポーター」としてその名を轟かせる。
新刊紹介
書籍『新型コロナウイルスとの戦い方はサッカーが教えてくれる』 【(C)『新型コロナウイルスとの戦い方はサッカーが教えてくれる』エクスナレッジ】
岩田健太郎氏メッセージ:
「サッカーとコロナという無茶な組み合わせで、一見冗談のような企画ではありますが、感染対策については大真面目に書いています。分かりやすくてしっかりとした内容を目指しています。」