ツアー再開で見せた米ゴルフ界の“本気” ウッズらのチャリティー活動が世論変えた

北村収

PGAツアー再開に先立ち、チャリティー企画を開催

PGAツアー再開に先立ち、さまざまなチャリティー企画が開催された。参加したタイガー・ウッズ(写真右)とNFLのペイトン・マニング(写真左) 【Getty Images】

 PGAツアー再開に先立ち、さまざまなチャリティー企画が開催された。中でも盛り上がったのが5月24日に実施されたタイガー・ウッズ、フィル・ミケルソン、そしてNFLのペイトン・マニングとトム・ブレイディが参加した「ザ・マッチ:チャンピオンズ for チャリティー」。寄付金は総額2,000万ドル集まった。また、視聴者がケーブルテレビ史上最多の平均580万人を記録し、「マスターズ」が記録した数値をも上回った。

 5月17日に開催されたマキロイ、ジョンソン、ファウラー、マシュー・ウルフが出場した「テーラーメイド・ドライビングリリーフ」のチャリティーマッチも視聴者数が235万人を記録。寄付金は550万ドルも集まった。

 これらのイベントの効果は、ゴルフファンが人気選手のプレーを楽しむことだけではなかった。チャリティーを通じた社会貢献は、ゴルフと社会の太いパイプをも構築したのではないだろうか。米国でも「こんな時期にゴルフをするのはいかがなものか」という意見が少なくなかったと聞く。そんな状況下、トーナメント再開の努力とチャリティー活動を行ったことで、米国ゴルフ界はツアー再開の世論の支持を作り出していった。

「アメリカ人はスポーツを必要」国土安全保障省が声明

 5月下旬、米国外の選手たちにとって嬉しい知らせが入った。米国の国土安全保障省が、男女のプロゴルフツアーに参加する選手など特定の外国人プロスポーツ選手に対して入国制限免除を決めた。プレスリリースには「プロのスポーツイベントは必要とされる大きな経済的利益をもたらしますが、それと同様に重要なのは、地域社会の誇りと国民の結束をもたらすことです。今日の環境では、アメリカ人はスポーツを必要としています。経済を再開し、プロスポーツ選手を仕事に復帰させる時が来ました」との声明が書かれていた。

 今回のコロナ禍で改めて感じたのが、再開に向けて努力を惜しまない米国ゴルフ界の姿勢だ。新型コロナウイルスという未曽有の社会不安が起こっている時でも、米国ゴルフ界はチャリティーをいちはやく積極的に行い、安全にプレーを行うにあたっての新ルールを決めた。これらの努力が今回のPGAツアー再開に大きな役割を果たしていることは間違いない。

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著者プロフィール

1968年東京都生まれ。法律関係の出版社を経て、1996年にゴルフ雑誌アルバ(ALBA)編集部に配属。2000年アルバ編集チーフに就任。2003年ゴルフダイジェスト・オンラインに入社し、同年メディア部門のゼネラルマネージャーに。在職中に日本ゴルフトーナメント振興協会のメディア委員を務める。2011年4月に独立し、同年6月に(株)ナインバリューズを起業。紙、Web、ソーシャルメディアなどのさまざまな媒体で、ゴルフ編集者兼ゴルフwebディレクターとしての仕事に従事している。

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