早大ラグビー蹴球部 伝統の早慶戦で快勝 対抗戦単独首位に躍り出た

チーム・協会

関東大学対抗戦 11月23日 対慶大 秩父宮ラグビー場

早稲田スポーツ新聞会(記事 安藤香穂、写真 村上結太、大林祐太)
 いよいよ関東大学対抗戦(対抗戦)も終盤にさしかかり、タフな試合が続く中、早大は宿敵・慶大との一戦に臨んだ。101回目となる今節の早慶戦。伝統ある試合を一目見ようと、約1万5千人もの観客が会場に足を運び、大きな盛り上がりを見せた。早大は序盤からセットプレーで相手を圧倒しチャンスを得ると、次々と得点を重ねていく。ミスからPGを1本沈められてしまったものの、計5トライを挙げ、38ー3とリードを広げて前半を折り返す。しかし後半は両者共にミスが続き、なかなかスコアが動かない拮抗(きっこう)した展開に。それでもなおスクラムで優位に立った早大は、さらに3トライを追加。最終スコア57ー3で勝利し、対抗戦・優勝へ王手をかけた。

ディフェンスをブレイクするPR亀山昇太郎(スポ4=茨城・茗溪学園) 【早稲田スポーツ新聞会】

 試合は早大のキックオフで幕を開ける。開始からスクラムで相手ペナルティーを誘発し、チャンスを得た早大であったが、慶大の粘りのディフェンスを前にトライを取り切ることができない。7分、早大に好機が訪れる。慶大のオフサイドの反則から早大は3点を狙う。しかし精密なCTB野中健吾(スポ3=東海大大阪仰星)のキックは左に外れ、先制点とはならない。早慶戦の難しさを感じさせるような立ち上がりとなったが、直後の10分、WTB田中健想(社1=神奈川・桐蔭学園)がライン際で起点を作ると、SO服部亮太(スポ1=佐賀工)からの鋭いパスでHO佐藤健次主将(スポ4=神奈川・桐蔭学園)が抜け出す。LO米倉翔(スポ2=福岡・修猷館)からのラストパスを受け取ったNO・8鈴木風詩(社4=国学院栃木)がゴール左へ飛び込んだ。13分には、慶大のハイパントを服部が冷静に処理。田中健が持ち前の身のこなしの良さで相手ディフェンスを軽やかに交わし、ビックゲイン。SH細矢聖樹(スポ4=国学院栃木)が素早く捌き、最後は服部自らインゴールを叩き割った。17分、慶大にフェーズを重ねられ、たまらず反則を犯してしまった早大。PGを沈められ、14ー3と得点を許してしまったが、ここで流れを渡すことなく猛攻を仕掛ける。27分、早大は服部の50:22からモールトライに成功。さらに立て続けに2トライを追加し、38ー3と大きく点差をつけて前半を終えた。

力強いランニングを見せるHO佐藤 【早稲田スポーツ新聞会】

 慶大ボールで始まった後半だが、互いにミスが重なり、膠着(こうちゃく)した展開が続く。そんな均衡状態を破ったのは早大だった。10分、敵陣5メートルのマイボールラインアウトから早大はテンポの良いアタックを継続。敵陣奥深くでフェーズを重ねると、最後は服部からロングパスを受け取った田中健がゴール右隅へトライした。続く22分には、佐藤主将のラインブレイクから一気に敵陣まで侵入することに成功。服部が大外で待っていたWTB池本晴人(社2=東京・早実)へ正確なキックパスをつなぎ、そのままグラウンディング。50ー3とリードを47点に広げる。そして、試合終了間際にもFWが体を当て続け、ゴールライン目前まで攻め込む。FB矢崎由高(スポ2=神奈川・桐蔭学園)、HO安恒直人(スポ4=福岡)と右に素早く展開し、最後はCTB福島秀法(スポ3=福岡・修猷館)がダメ押しのトライ。57ー3で対抗戦・連勝記録を6に伸ばした。

積極的なボールキャリーで攻撃を牽引したLO米倉 【早稲田スポーツ新聞会】

 伝統の一戦で大差をつけて勝利を収めた早大。「トライラインを割らせないという強い思いを持ってプレーできていることが今日の結果につながった」と大田尾竜彦監督(平 16 人卒=佐賀工)が評するように、今季力を入れてきたスクラムとディフェンスで慶大を圧倒し、ノートライに抑えたことは大きな成果と言えるだろう。一方で「後半のきつい時間になるにつれて乱れが出てしまったシーンがあった」(佐藤)。次戦は宿敵・明大との大一番。80分間いかに精度高くプレーし続けられるかが勝利のカギとなるだろう。対抗戦優勝、そしてその先の『荒ぶる』獲得へ、赤黒戦士の躍動に期待が高まる。

大田尾竜彦監督(平 16 人卒=佐賀工)

ーー今日の試合の振り返りをお願いします
 自分たちの形でコンタクトできたシーンが多く、特に前半の15分は良い動きをしてくれていたかなと思います。その分、後半はあまり良くなかったのでリザーブのメンバーを含めて来週の早明戦までに修正が必要かなと思います。
ーーこれまでのディフェンスを振り返っていかがですか
 選手たちが自分たちのディフェンスにプライドを持っているところが非常に良いところかなと思います。ワークし続けるというところが浸透しており、Aチームだけではなく、下部のチームも自分たちのトライラインを割らせないという強い思いを持ってプレーできているので、その成果が今日の結果だったかなと思います。
ーー全勝で臨む早明戦への意気込みをお願いします
 100回目ということ、そして全勝で臨むということで非常に気持ちが入る試合になると思っています。やはり、この後のことを考えても次の早明戦で自分たちがやってきたことをポテンシャルが高い相手にどこまで出せるかということがポイントだと思っています。スクラムとディフェンスは今チームでずっとこだわってきたことなのでそこで勝負したいです。また、すべてのプレーに対して粘り強く戦うことができるかということもポイントになると思いますので、しっかり見ていきたいかなと思っています。
ーー野中選手について、今シーズンを通じた成長をお聞かせください
 フィジカルのところが一番成長したかなと思います。また、本来の持ち味であるアタックセンスの良さなども比例して成長できていると思います。また、プレースキックで着実に点数を重ねることができるというのは素晴らしいことだと思っています。相手に点数という形でプレッシャーを与えることができるので、その結果として対抗戦でペナルティーゴールを狙うという選択肢など、戦術としてプレースキックが生まれているのは彼のキック精度のおかげだと思っています。

佐藤健次主将(スポ4=神奈川・桐蔭学園)

ーー今日の試合の振り返りをお願いします
 伝統の早慶戦で勝利できて嬉しく思います。しかし、この1週間準備してきたプレーをあまり発揮できず、ミスが続いてしまったという課題が見えました。来週の明治戦、そして大学選手権ではこのようなミスをしていたら勝利できなくなってしまうと思うので、準備してきたことをしっかり出すということを徹底していきたいです。
ーー準備してきたこととは具体的にどんなことですか
 慶應大学さんはブレイクダウン周りが強力なので、そこに注力していました。今試合は前半はいいプレーができたかなと思いますが、後半のきつい時間になるにつれて乱れが出てしまったシーンがあったので、もっとこだわっていきたいです。
ーー来週の明治戦、そして大学選手権に向けてどんな準備をしていきたいですか
 毎回の練習で試合を想定して、リアリティーを追及していきたいと思っています。練習中で起こるミスが本番でも起こるので、ミスへの厳しさというのは追及していきたいです。
ーーこれまでのディフェンスを振り返っていかがですか
 ディフェンスに関しては自分たちも自信がありますし、これまでは「取られた分取り返す」というマインドだったものが「まず取られない」というものに変わっていることがとても良いことなのではないかなと思います。セナと田中と僕でディフェンスのリーダーとして積極的にコミュニケーションを取ってきた成果が出てきたのかなと思います。
ーー全勝で臨む早明戦への意気込みをお願いします
 明治大学さんは1番から23番まで全員がスーパースターというイメージがあるのですが、そんな相手と戦うときに自分たちを見失わないことが大事だと思っています。国立で100回目、そして全勝がかかっているという、いろんなプレッシャーがかかってくるとは思うのですが、自分たちを見失わず、あまり気負うことなくプレーしたいと思います。自分たちにフォーカスできれば自ずと結果はついてくると思うので、まずはそこに集中したいです。
ーー現在のスクラムの出来はいかがですか
 早稲田のスクラムが好調な要因の一つとして、表のメンバーだけではなく裏のメンバーも含めて全員のレベルが高いことが良いことではないかなと思います。練習でBチームが勝つこともありますし、試合まで気持ちいいスクラムを組むのではなく、課題を見つけて自分と向き合いながらスクラムを組めているということが今すごく良いことだと思っています。

PR亀山昇太郎(スポ4=茨城・茗溪学園)

ーー今日の個人としてのコンセプトを教えてください
 周りとコミュニケーションを取って、自分自身の役割をしっかりこなすということを意識していました。スクラムのところやディフェンスなど、丁寧にプレーしていきました。
ーーFWのテーマは何でしたか
 チーム内でも役割の徹底というところはテーマに挙げていて、コミュニケーションなどベーシックなところをしっかり整えていこうという狙いでした。
ーーラインブレイクなどもありましたが、自身のプレーを振り返っていかがですか
 早慶戦だからといって気負うことはなく、対抗戦の一試合として落ち着いてプレーができたかなと思います。アタックではチームで崩せたシーンもあり、動きやすかったかなと思います。
ーー試合を通してスクラムで圧倒していましたが、手応えはいかがですか
 メンバーが変わっても、今試合はすべてのスクラムで押すことができたのでそこは良かったなと思います。

LO米倉翔(スポ2=福岡・修猷館)

ーー今日のコンセプトを教えてください
 今日はハードワークと接点で前に出ることを意識しました。
ーーラインアウトを中心にセットプレーを振り返っていかがですか
 練習では結構ミスとかあったんですけど、本番になってからは成功率も高い良いラインアウトができたのでよかったと思います。
ーー慶大をノートライに抑えたディフェンスはどうでしたか
 セカンドマンバトルとか課題はたくさんあるんですが、みんな結構体を当てて、ゴール前とかの最後の何分間かはきつい時間があったのですが、そこでみんな諦めずに前に出て、良いディフェンスができたと思いますし、ノートライに抑えられたのもよかったと思います。
ーー今日はスタメンでの出場でしたが、いかがですか
 スタメンでの出場は結構嬉しくて、気合いも入って、僕がやるしかないと思ったんで、頑張りました。
ーー次戦への意気込みをお願いします
 体が小さい分、明治は大きいので、そこで前に出るディフェンスと体をどんどん当てて、ハードワークをして、またいいラグビーができるように頑張ります。

SH細矢聖樹(スポ4=国学院栃木)

ーー今日のコンセプトを教えてください
 全体のテーマは一人一人の役割を徹底することです。
ーーBKのアタックテーマは何かありましたか
 BK単体というよりはアタックのテーマがあって、コミュニケーションをとにかくするということです。あとはインサイドのFWバトルでしっかり勝っていくというところがありました。
ーー前半はテンポの良いアタックが目立っていましたが、振り返っていかがですか
 ボールキャリアーが前に出るシーンが多かったと思います。やっぱりプレッシャーがある中で、自分たちもアタックプレッシャーを持ってアクション使ったり、前でプレーすることができていたので、そこが良いテンポになった要因かなと思います。
ーー一方で後半はミスが多かった印象ですが、外から見ていかがでしたか
 やっぱりFWの部分での勢いというのが前半に比べて少なくて、相手にプレッシャーかけられる部分が多かったと思うので、そこがミスに繋がった原因かなと思います。
ーー次戦への意気込みをお願いします
 まだ優勝してないので、今回出た課題をしっかり潰して、勝って優勝できるようにしたいです。

【早稲田スポーツ新聞会】

【早稲田スポーツ新聞会】

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著者プロフィール

「エンジの誇りよ、加速しろ。」 1897年の「早稲田大学体育部」発足から2022年で125年。スポーツを好み、運動を奨励した創設者・大隈重信が唱えた「人生125歳説」にちなみ、早稲田大学は次の125年を「早稲田スポーツ新世紀」として位置づけ、BEYOND125プロジェクトをスタートさせました。 ステークホルダーの喜び(バリュー)を最大化するため、学内外の一体感を醸成し、「早稲田スポーツ」の基盤を強化して、大学スポーツの新たなモデルを作っていきます。

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