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“大成功”韓国女子ゴルフ 日本のヒントは
「withコロナ」の大会運営に学ぶべきこと
マスクを着けて準備するイ・ボミ。徹底されたコロナ対策がなされていた
マスクを着けて準備するイ・ボミ。徹底されたコロナ対策がなされていた【Getty Images】

 終わってみれば“大成功だった”と言ってもいいかもしれない。


 新型コロナウイルスの感染拡大が世界中で起こる中、ゴルフ界では韓国女子プロゴルフ協会(KLPGA)が先陣を切って、トーナメントの開催を決めた。14日から開幕した韓国女子ゴルフツアーのメジャー「KLPGAチャンピオンシップ」は、4日間の日程を無事に終えた。


 優勝したのは、アマチュア時代に韓国代表として活躍した20歳のパク・ヒョンギョン。通算17アンダーで逆転でのツアー初優勝だった。

豪華な出場選手、無観客試合…世界が注目

 大会はさまざまな意味で、世界で注目の大会だった。


 まずは出場選手の顔ぶれだ。昨年覇者のチェ・ヘジンら国内ツアー選手のほか、米ツアーを主戦場にする世界ランキング3位のパク・ソンヒョンや世界6位のキム・セヨン、世界10位のイ・ジョンウン、世界13位のキム・ヒョージュ、さらに日本ツアーを主戦場にするイ・ボミやアン・ソンジュ、ペ・ソンウも出場するとあって、豪華メンバーが大会に華を添えた。


 もう一つの関心は、“無観客”で試合を行うなどの新型コロナウイルスへの対応策だった。米女子ツアーは現状、中止や延期が続いており、日本女子ツアーもまだ開幕を迎えられていない。日本ツアーにおいては、中止が18試合となり、今季のほぼ半分の試合がなくなった。開催したとしてもコロナの感染が広がっては、すぐさま中止を余儀なくされる。大会スポンサーが慎重になるのも無理もない。


 ただ、そんな中でも韓国女子ツアーは開催を決断した背景と対策は、今後、世界のツアーや日本のスポーツ界のヒント、指針になると考える人も少なくないはずだ。

協会主導で大会実施へ

 そもそも、なぜ韓国女子ツアーは開催に踏み切れたのか。


 本来「KLPGAチャンピオンシップ」にはタイトルスポンサーがついていた。ゴルフウェア専門企業の「CreaS(クリス) F&C」がそれだ。元々、同大会は4月30日から5月3日まで開催を予定していたが、スポンサーが早々に大会中止を決めたことで、試合はなくなると思われていた。

 しかし、すぐにKLPGAが動いた。収入のない選手やキャディーへの配慮も含め、ギャラリーのいない「無観客」で行うことを5月7日に発表している。


 この時期、韓国では新型コロナウイルスの感染者数が一桁台に推移し、政府が生活の中での防疫対策に切り替えると伝えていたことも影響している。さらにプロ野球が5月5日、プロサッカーのKリーグが5月8日に始まり、その流れに乗れたところも大きい。つまり、冠スポンサーがないので、すべて協会主導の責任で大会に踏み切れたということだ。


 KLPGAには「協会発展基金」という積立金があり、そこから今大会の賞金総額30億ウォン(約2億6000万円)を捻出した。


 韓国女子ゴルフが先陣を切って、世界のゴルフ界にアピールする絶好の機会でもあるが、最も大事なのが、大会期間に新型コロナウイルスの感染者を出さないことだった。

徹底されたコロナ対策

練習グリーンでは選手もマスクをつけた。写真は、握手ではなく、肘を合わせて健闘をたたえ合う姿
練習グリーンでは選手もマスクをつけた。写真は、握手ではなく、肘を合わせて健闘をたたえ合う姿【Getty Images】

 KLPGAは30ページにも及ぶ「コロナウイルス統合対応マニュアル」を作成し、4月22日までに出場選手や関係者に配布した。筆者もこのマニュアルを確認したが、あまりに細かいので驚いた。それだけ徹底した対策が議論されてきたのだろう。


 KLPGAの実務担当、医療、法律、メディアの専門家などが対策を練り、ツアーを成立させるための指針は、かなり細かく分類されている。


 選手と関係者への予防規則はかなり徹底していた。例えば、会場と練習場以外、コロナ感染地域への外出は禁止。選手の家族や同居人にも人がたくさん集まる場所にも行かないように勧告されている。毎日の体温チェックと問診票の作成、会場やクラブハウス、ロッカールーム、練習場などの共同空間への出入時、その都度、体温チェックや消毒剤の使用が義務付けられていた。


 また、外での会食も団体での食事や対面も避けるように伝えられている。その他にも項目はいくつかあるが、こうした内容をすべての選手が守りながら試合を行ったということだ。

キム・ミョンウ
キム・ミョンウ

1977年、大阪府生まれの在日コリアン3世。フリーライター。朝鮮大学校外国語学部卒。朝鮮新報社記者時代に幅広い分野のスポーツ取材をこなす。その後、ライターとして活動を開始し、主に韓国、北朝鮮のサッカー、コリアン選手らを取材。南アフリカW杯前には平壌に入り、代表チームや関係者らを取材した。2011年からゴルフ取材も開始。イ・ボミら韓国人選手と親交があり、韓国ゴルフ事情に精通している。

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