『ファイティング・ファミリー』で感じる! アドレナリンが出るときの“恍惚感”
第1弾はプロレス映画『ファイティング・ファミリー』を紹介します。
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プロレスの魅力のすべてがこの作品に凝縮されている。「プロレスを観に行きたい!」と思った人は、この作品で気持ちを温めてほしい 【(C)2019 METRO-GOLDWYN-MAYER PICTURES INC…】
それは痛い目に遭うんじゃないか――という心配ではなく、それならオレたちも観に行きたいけど、試合の見方や作法、つまり楽しみ方がよく分からない、と。 そういう心配だったんですって。
友人たちはそんなことを言いながらも、私の試合を楽しむことはもちろん、私が出ない試合にも足を運んでくれるようになったんです。女性も男性も関係なく、みんながハマった。
そこで、世間の方がこうじゃないかと思っているプロレスと、実際に観てわかるプロレスとはだいぶ差があるんだなと気がついたんです。
空想と現実の世界との交錯を楽しんでほしい
この映画の原題は『Fighting with My Family』で、主人公のペイジという女子プロレスラーが「私の家族と戦っています」ということなんですね。邦題の『ファイティング・ファミリー』だと家族が戦っているというニュアンスになりますけど、どちらも合っています。実話をベースに、ある程度枝葉を整理しながら、大筋としてはほぼ史実に描き、プロレスの事実を伝える映画になっていると思います。
エンディングのスタッフ・ロールには、主人公とその両親をはじめ実際の人物たちが出てきます。まさかニック・フロスト演じるところのお父さん(パトリック・ベヴィス/ローディ・ロッキー・ナイト)は実在しないだろうと思いたいところなんですけど、本当にいるんですよね(笑)。未見の方は劇中の彼らと現実の彼らを見比べてみてほしいです。
ペイジの家族についてのエピソードで私が好きなのは、ジャック・ロウデン演じるお兄さん(ザック・ベヴィス/ゾディアック)が、妊娠させた彼女のご両親に挨拶(あいさつ)をするとき、とんでもない発言の連発で気まずい初対面になってしまうところ。さすがに創作かなという気がしなくもないですけど、エンディングを観るとあの失言の数々まで実際にあったことなのではと思えてきます。
世界には自分を照らすたくさんのスポットライトがある
夢は叶わなくとも、この世界には自分を照らしてくれるスポットライトがある。そんな前向きなメッセージがこの作品から伝わってくる 【(C)2019 METRO-GOLDWYN-MAYER PICTURES INC…】
そのお兄さんとの葛藤が深い。お兄さんにはお兄さんのプライドがあって、そこをリアルに描いてくれていると思うんです。
妹が受かって自分が受からなかったというのは、めちゃくちゃ落ち込むでしょう。色々なことを心の中で思っていても、かわいい妹がWWEデビューに向けて努力している。 だから最初、その悩みは口にはしていなかったんだと思います。
子どものときから思い描いていた夢を諦めるのも1つの勇気だと思うんですよ。向いてないなと思ったら諦めてさっさと次の舞台に行ったほうがいいと私は思うんですよね。自分にできることをやるべきだと気がついたとき、盲目の人を鍛えてプロレスができるようにしていきますけど(劇中に出てくる眼の見えない少年がのちにプロレスラーとなった史実がスタッフロールに書かれている)、それはすごくいいお話で。
一番デカいスポットライトを浴びる場に立たなくても、地球にはいろんなスポットライトがある。小さな田舎町でやっているのはすごく大事なこと。
すごく感動したのは、Wikipediaの解説にも、ご両親とともにお兄さんがペイジのコーチだと書いてあること。それだけリスペクトされているんです。私はこの作品を観ると熱が出ます、あまりにも燃えちゃうので(笑)。