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コロナ禍における韓国プロ野球の対策
NPBより早い開幕、工夫するにも限界が?

独自アプリで選手、家族の健康を管理

無観客で開幕した韓国プロ野球。その対策にNPBやMLBも注目しているという(写真はSKワイバーンズvs.ハンファ)
無観客で開幕した韓国プロ野球。その対策にNPBやMLBも注目しているという(写真はSKワイバーンズvs.ハンファ)【写真:ロイター/アフロ】

 新型コロナウイルス感染拡大の影響で、公式戦の開始を3月28日から延期していた韓国プロ野球・KBOリーグが5月5日に開幕した。世界のプロ野球リーグの中で、4月12日にスタートした台湾CPBLに次いで幕を開けた韓国。ここまでどのような対策を講じてきたのか。


 NPB(日本野球機構)が3月2日にJリーグとともに「新型コロナウイルス対策連絡会議」を設置したように、韓国は同月16日に予防医学の専門家なども参加するコロナ対策のタスクフォース(プロジェクトチーム)を構成、運営を始めた。


 同19日にはコロナ対応マニュアルを各球団に配布。約1カ月後の4月16日には内容をアップデートさせた第2弾が各所で共有された。NPBでも入手したというそのマニュアルは、A4サイズで44ページにわたる。


 項目は大きく以下の9つに分かれている。


1.新型コロナウイルスの基本事項

2.KBOリーグの(新型コロナに対する)基本方針

3.コロナ対応プロジェクトチームの運営概要

4.選手、関係者の感染予防のための遵守事項

5.審判、記録員などの感染予防のための遵守事項

6.発症、感染の恐れがある場合の対応

7.外国人選手の入国管理の方案

8.シーズン開幕時の運営方案

9.メディアによる取材、中継制作のガイドライン


 この中で選手に関しては、毎朝起床後と球場に向かう前に検温が義務付けられ、その数値をKBO独自のアプリに入力。家族の健康状態に異常がある場合も報告が必要と記されている。


 選手個々の体調管理のほか、球団が最も神経を尖(とが)らせているのが、選手の外部との接触だ。マニュアルにはビジターチームが球場に到着してからロッカールームに入るまでの動線が、全球場分、細かく記されている。


 また、試合中に関しては素手でのハイタッチや握手の自粛、唾を吐くことや噛みたばこの禁止、ベンチ裏でのマスクの着用程度だが、一、三塁コーチにはグラウンド上でもマスクの着用が義務化され、審判もマスクと衛生用のゴム手袋の使用が必須となっている。

何よりつらかった「開幕が決まらない」

チアリーダーもマスク着用。審判や一、三塁コーチは試合中もマスクが義務付けられている
チアリーダーもマスク着用。審判や一、三塁コーチは試合中もマスクが義務付けられている【写真:SKワイバーンズ】

 このマニュアルの中で大前提となっていて、日本と大きく違うのが「感染の疑いがあったらまずPCR検査を受ける」ということがある。


 選手や球団関係者だけではなく、球場に出入りする外部業者であっても発熱症状があれば、各地に点在する検査場で検査を受けることを求めている。また症状がなくても外部業者に事前の検査を求め、陰性判定が出た人のみ、球場内に入れるようにしている球団もある。


 マニュアルには発熱症状があり、PCR検査を受けた16の事例とその後の対応が記されている。検査の結果はいずれも陰性だった。


 KBOリーグ10球団の中でも、2月19日に集団感染が発覚した大邱(テグ)を本拠地とするサムスンライオンズの場合、この問題に他の球団よりも深刻に対応していた。球団職員はこう話す。


「3月上旬にキャンプ地から帰国後、他球団との練習試合が始まる4月21日まで、選手の運営チームを除く社員全員が在宅勤務だった。不便かどうかというよりも『そうしなければいけない』という気持ちが強かった。もし自分が感染したらリーグ全体がストップする。それは避けなければいけない、とみんなが思っていた」


 この球団職員に5月5日の開幕に至るまで、何が最も精神的に厳しかったかを尋ねると、「職員だけではなく、選手たちもそうだと思うが、『開幕がいつか決まらない』という不安感を抱えることが一番つらかった」と振り返った。

室井昌也
室井昌也

1972年、東京生まれ。韓国プロ野球の伝え手として、2004年から著書『韓国プロ野球観戦ガイド&選手名鑑』を毎年発行。韓国では2006年からスポーツ朝鮮のコラムニストとして韓国語でコラムを担当し、その他、取材成果や韓国球界とのつながりはメディアや日本の球団などでも反映されている。ストライク・ゾーン取締役社長。

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