JFA小暮氏が見据えるプロジェクトの今後 次のフェーズは「他競技への横展開」
マーケティング畑を歩んできてJFAへ
インタビューに答える日本サッカー協会(JFA)の小暮氏。今回の取材もZoomを使って行われた 【スポーツナビ】
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そう語るのは、JFAプロモーション部コミュニケーション戦略グループグループ長の小暮亮祐氏である。プロモーション部は昨年作られた部署で、部長を入れて現在18名。コミュニケーション戦略グループは、日本代表のコミュニケーションやコーポレートブランディングの戦略を担っている。総勢3名の精鋭部隊を率いる小暮氏は、昨年6月にJFAに入社したばかり。そのキャリアはユニークで、ビクターエンタテインメント、リクルートキャリア、そして前職が日産自動車。一貫してマーケティング畑を歩んできたという。
「もちろん業界によって商材は違いますが、自分にとって愛着が持てるものを世の中に広めたいという思いは、どこに行っても同じでしたね。ちょうど40代を迎えるにあたり、これまで培ってきたものをどう生かしていくべきかを考えたとき、ずっと身近にあったサッカーだろうという結論に至りました。そうしたら『JFAがマーケティング部門で人材を募集している』という情報が入ってきたんです。無事に採用となって、昨年6月から『いかにサッカーファンを増やしていくか』というのが、現職でのテーマとなりました」
他競技に横展開していくフェーズへ
「Sports assist you」はヨーロッパでプレーする選手たちの呼び掛けからプロジェクトがスタートした 【Getty Images】
「正直なところ、これだけ毎日コンテンツが上がってくるというのは予想外でした。選手たちの動画は途切れる気配がないし、こちらもストックの心配をする必要がない。その一方で、始めた頃に比べるとメディアの露出が、少しずつ減っているようにも感じています。スポーツ以外の著名人も、いろいろ発信するようになったのは一因かもしれませんね。われわれも最初は、スピード感と思いだけでやってきました。けれども今後は、スポーツ界としてできることを考えながら、発信していく必要性を感じています」
前回の須原専務理事へのインタビューでも触れたとおり、もともとプロジェクトがスタートするきっかけとなったのは、ヨーロッパでプレーする選手たちの「自分たちにできることはありますか?」という呼び掛けであった。よって当初は、欧州組の日本代表選手によるテクニカル系やメッセージ色の強い動画が中心。小暮氏をはじめとするスタッフも、それらを次々とアップしていった。やがて動画がたまってくるにつれて、コンテンツを大きく3つに分類した上で、今後の方向性についても意識するようになったという。
「まず、新型コロナについての正しい啓発。次に、自宅で楽しめるようなコンテンツ。そして、身体を動かすためのメソッド。これら3つのテーマを踏まえて、他競技にも横展開していくのが次のフェーズと考えています。幸い、Jリーグや他のスポーツ団体からも『一緒に何かできませんか?』と、お声がけをいただくようになりました。とはいえ、この『#いまスポーツにできること』というのは、別にJFAだけのものではないんですよね。競技やプロアマを問わず、誰がもが自由に使っていただければと考えています」