センバツで“仮想トーナメント”を組むと? 大阪桐蔭など、目白押しだった実力校

楊順行

秋季大会の成績を昨年の組み合わせに反映

史上初の中止となった第92回選抜高校野球。“仮想トーナメント”を組んだとしたら、優勝候補はどこだったのか?(写真は91回大会の開会式) 【写真は共同】

 今日は3月19日。本来ならば第92回選抜高校野球の開幕日だが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、大会史上初めての中止となった。高校野球好きとしては、せめて「もし開催していたら優勝はどこか」など、あれこれ想像したい。ふと思いついて、仮想組み合わせを作ってみた。出場32校を、前年の秋季地区大会順位によって、昨年91回大会のトーナメント表に機械的に割り振ったものだ。

 たとえば広島新庄は、2019年秋の中国地区3位。18年秋の同じ中国3位・呉が、昨年のセンバツで入った枠にそのまま当てはめた。同様に、19年秋四国Vの明徳義塾は、18年秋四国Vの高松商の枠へ、という具合だ。関東など、ベスト4が2校出場する地区ならば、優勝校に負けたチームを上位とした。21世紀枠の3校は、北から順に昨年の枠に。すると前回同様、初日に近畿4強の履正社と、北信越Vの星稜がまたも激突するなど、なかなか楽しみな組み合わせになった。ただ、あくまでも仮想であるということをお伝えしておく。

“仮想Aブロック”の注目は明石商と履正社

最速151キロ右腕の明石商・中森。昨年は春夏連続で4強入りと実力を示した 【写真は共同】

<Aブロック>
広島新庄―明石商
明徳義塾―山梨学院
履正社―星稜
鹿児島城西―東海大相模

 Aブロックでは、近畿8強ながら明石商が強そうだ。なにしろ、昨年の春夏ベスト4入りの立役者のエース・中森俊介と、来田涼斗(ともに新3年)がいる。中森は昨夏の甲子園で151キロをマークした大型右腕。来田は50メートル5秒9の俊足が売りの一番打者で、昨年のセンバツでは智弁和歌山との準々決勝で、史上初めて先頭打者&サヨナラ本塁打の離れ業を演じたように、強いスイングからアーチを量産する。狭間善徳監督は「秋はその2人がふがいなかった」と言うが、それでも勝ち上がったのは2人以外の力も充実しているということだ。手堅い送りバントなど、昭和チックなスモール野球で高い勝率を誇る明石商が、このブロックでは優位と見る。

 むろん、強敵も多い。履正社には昨夏の優勝を知るエース・岩崎峻典、打線には池田凜、小深田大地(全て新3年)らが健在。同じく準優勝の星稜にも、投手は荻原吟哉、寺西成騎(ともに新3年)に加え、攻撃面では知田爽汰、内山壮真(ともに新3年)の3、4番らが残る。両チームともに、豊富な経験は大きな財産だ。経験で言えば東海大相模の加藤響、西川僚祐、山村崇嘉(全て新3年)の大砲トリオ、またU-18日本代表を経験した鵜沼魁斗(新3年)も、昨夏は不完全燃焼だった悔しさを晴らしたかっただろう。

花咲徳栄・井上は歴代OBに並ぶスラッガー

花咲徳栄・井上は1年夏から甲子園を経験しているスラッガーだ 【写真は共同】

<Bブロック>
大分商―花咲徳栄
鳥取城北―白樺学園
県岐阜商―天理
鶴岡東―帯広農


 Bブロックでは、プロ注目のスラッガー・井上朋也(新3年)のいる花咲徳栄が楽しみ。近年、続々と野手をプロに送り出している同校にあって、岩井隆監督が「彼らと遜色のない身体能力」と評する逸材だ。昨秋は練習試合を含めれば16本塁打と、3試合に1本の割合でアーチを量産した。対抗は昨秋、履正社と大阪桐蔭の大阪2強を倒して近畿を制した天理か。「魔法のような勝ち方ばかり」と話す中村良二監督だが、その中で成長した達孝太と瀬千皓の新2年生コンビはスケールが大きい。達は192センチの長身から投げ込む速球の角度が武器で、瀬は近畿大会決勝からの3試合連続本塁打でブレークした。

 県岐阜商では、秀岳館をまたたく間に強豪に押し上げた鍛治舎巧監督の采配が見たかった。また佐々木泰内野手(新3年)は、昨年の練習試合で西純矢(創志学園OB、現・阪神)からサイクルヒットの5打数5安打、奥川恭伸(星稜OB、現・東京ヤクルト)から4打数4安打した「ドラ1キラー」なのだとか。秋は練習試合込みで13本塁打と、長打力も見せている。

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著者プロフィール

1960年、新潟県生まれ。82年、ベースボール・マガジン社に入社し、野球、相撲、バドミントン専門誌の編集に携わる。87年からフリーとして野球、サッカー、バレーボール、バドミントンなどの原稿を執筆。高校野球の春夏の甲子園取材は、2019年夏で57回を数える。

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