センバツで“仮想トーナメント”を組むと? 大阪桐蔭など、目白押しだった実力校

楊順行

実力校がひしめく“仮想Cブロック”

明豊のエース・若杉は昨春のセンバツでも4強入りを果たすなど、経験豊富だ 【大分合同新聞社/共同通信イメージズ】

<Cブロック>
桐生第一―加藤学園  
明豊―智弁和歌山
倉敷商―仙台育英
磐城―中京大中京


 Cブロックには、秋の地区優勝校4校など実力校がそろった。すっかり常連になった明豊では、昨年のセンバツ4強の立役者となったエース左腕・若杉晟汰(新3年)が健在で、智弁和歌山では昨夏奥川と投げ合った小林樹斗(新3年)が最速148キロ。ショートの細川凌平(新3年)は、守備力も含めて楽しみな存在だ。

 そして最注目は、秋の神宮を制した中京大中京のエース・高橋宏斗(新3年)だろう。まだ好不調の波は大きいが、昨秋は公式戦12試合に登板し、8完投のうち完封が6の防御率1.68。マックス148キロの直球は質がよく、神宮大会で完封負けを喫した明徳義塾・馬淵史郎監督をして「今年対戦した投手では、上級生を含めてナンバーワン」と言わしめた。春夏合計の優勝回数ではトップを走る古豪・中京大中京。ただセンバツの優勝では、4回で並んでいた同じ愛知の東邦が昨年の優勝で単独トップになっただけに、並びたいところだった。

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注目株がそろう大阪桐蔭

投打にタレントがそろう大阪桐蔭。出場していれば、優勝候補の一角だったことは間違いない 【写真は共同】

<Dブロック>
大阪桐蔭―国士舘
尽誠学園―創成館
日本航空石川―健大高崎
平田―智弁学園


 Dブロックでは、なんといっても仙台育英・須江航監督が「高校球界のトップ・オブ・トップ」と話す大阪桐蔭の復活ぶりが楽しみ。19年は8年ぶりに甲子園の土を踏めなかったが、西野力矢、仲三河優太(ともに新3年)らで形成する打線はチーム打率4割超と、相変わらずの破壊力。投手陣もエース・藤江星河(新3年)ら140キロ級がずらりだ。関東王者の健大高崎も、エース・下慎之介(新3年)を軸に神宮準Vと総合力は高い。智弁学園のスラッガー・前川右京(新2年)も、見たかった打者だ。

仙台育英は全国制覇を狙える力

主砲を務める入江ら、今年の仙台育英も好タレントがズラリとそろう 【写真は共同】

 個人的な注目は仙台育英。秋の東北を制し、神宮大会では初戦で敗れたが、夏の甲子園で登板した新2年生・伊藤樹をメンバーから外すほどの選手層の厚さは頼もしい。同じく新2年生の左腕・笹倉世凪も、秋の登板は21イニングにとどまり、新3年生の向坂優太郎が台頭した。

 チーム打率が4割近い打線にも、入江大樹(新3年)ら逸材がそろう。これは伝聞レベルだが、2月の静岡キャンプでは、笹倉がすでに150キロ近い数字をたたき出していたとか。左腕の150キロを打ち返すのは、高校生にとって至難の業。東北勢初の全国制覇を遂げる力は十分にあったと見る。

何らかの形で甲子園の土を踏んでほしい

初めて甲子園で指揮を執るはずだった鹿児島城西・佐々木監督。何らかの形で夏に戻ってきてほしい 【写真は共同】

 ベスト8をあえて絞るなら明石商、履正社、花咲徳栄、天理、智弁和歌山、中京大中京、大阪桐蔭、健大高崎といったところか。なお、念のため繰り返しておくが、ここにあげた組み合わせは、あくまでも便宜上の仮想である。

 他にチームとして楽しみだったのが、1971年の夏に"小さな大投手"田村隆寿の活躍で準優勝し、ユニフォームの色からコバルトブルー旋風と呼ばれた磐城、プロ(3軍)と社会人で監督経験を持つ佐々木誠監督率いる、初出場の鹿児島城西など……。ぜひとも、彼らが聖地で躍動する姿を見たかった。

 そして――今回試合することがかなわなかった32校の選手たちには、何らかの形で甲子園の土を踏む機会があることを願う。

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著者プロフィール

1960年、新潟県生まれ。82年、ベースボール・マガジン社に入社し、野球、相撲、バドミントン専門誌の編集に携わる。87年からフリーとして野球、サッカー、バレーボール、バドミントンなどの原稿を執筆。高校野球の春夏の甲子園取材は、2019年夏で57回を数える。

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