試合で使える神技パントキックの極意 西川周作×小針清允のGK対談

清水英斗
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西川周作(左)の神技パントキックの極意を小針清允さんがインタビュー。“GKあるある”で盛り上がった 【中村博之】

 最後方から最前線へ。一発のレーザービームが試合を決める。Jリーグが3月3日に公開したサッカーレッスン動画では、浦和レッズのGK西川周作が自慢のパントキックについて蹴り方を詳しく解説している。

 このパントキックを、西川はどんな練習で身につけたのか。また、試合で使える技術にするためには、いつ、どこへ、どの球質で蹴るのか。戦術も重要になる。

 今回、西川へのインタビュー役を務めるのは、現役時代にベガルタ仙台、栃木SC、ガイナーレ鳥取などでゴールを守り、現在は東京都リーグ1部の南葛CSCでGKコーチ(選手兼任)を務める、小針清允さんだ。

 2人のGKが『パントキック』をテーマに語り合った。

「足の技術は今後生かせる」と思いながら

小針:動画を拝見しましたが、これは僕、現役のときに教えてほしかったなと(笑)。子供たちや、キックで悩んでいる選手にとっては、すごく勉強になると思います。今回の動画で教えてくれたポイントは、基本的には自分で見つけたものですか?

西川:そうですね。経験しながら自分で見つけ出したもので、これが子供たちにとって良いアドバイスになればと思います。慣れない立場だったんですけど(苦笑)。

小針:すごく分かりやすかったですよ。

――ボールの横を蹴って、ライナーで届けるパントキックは、早くから意識していましたか?

西川:いえ、僕も最初のころはボールの下の方を蹴っていました。当時(大分)トリニータのトップチームに前川和也さん(元日本代表GK 現ヴィッセル神戸GK前川黛也の父)がいて、前川さんのキックをずっと見ていましたが、どちらかと言うと、前川さんは下から蹴り上げるキックだったと思います。その後、僕が18歳くらいでアルゼンチンへ行かせてもらったとき、ロベルト・アボンダンシエリ選手(元アルゼンチン代表GK)のプレーから、横蹴りを参考にしましたね。

小針:西川選手が18歳なら、ちょうどGKの役割が変わってきた転換期ですよね?

西川:はい。

小針:1992年にサッカーはルールが変わり、GKはバックパスを足で扱わなければならなくなりました。得点を増やすため、GKに不利なルール改正が何度か行われてきて、当時はスタイルが次世代のGKへ移る時期でした。ちょうどタイミング的にも大きかったのかなと。

西川:そうですね。自分の中でも「基礎技術をしっかりと上げないといけない」と感じましたし、足の技術は今後生かせると思いながら、キックの練習をしていました。今たくさんの方に注目してもらえるのは、やってきて良かったなと思いますね。

――練習はどんなやり方を?

西川:僕は中学生の頃、学校の部活ではなく、クラブのジュニアユースに所属していたので、どうしても休みの日は一人で練習することが多くて。そこでキックの正確性を上げるため、一人でハーフウェイラインからゴールポストに向けて、パントキックの練習をしていました。

小針:バー当て(クロスバーに当てる遊び)なら、普通はペナルティーエリアから蹴るものだけど、それをハーフウェイから?

西川:はい。

小針:スゴいな。それはわりと当たるんですか?

西川:そうですね。やればやるだけうまくなるので、どんどん楽しくなってきました。

小針:一人で黙々と、ピッチの真ん中で(笑)。

西川:やっていましたね(笑)。最初の頃は全然当たらなかったけど、やっていくうちに、5本連続で当たったりとか。

――スゴい。

西川:さすがに5本連続のときは、自分でもうれしかったです。

小針:でも一人なんでしょ?

西川:一人です(笑)。

――たぶん、近所で話題になっていたと思います(笑)。
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著者プロフィール

1979年12月1日生まれ、岐阜県下呂市出身。プレーヤー目線で試合の深みを切り取るサッカーライター。著書は「欧州サッカー 名将の戦術事典」「サッカーは監督で決まる リーダーたちの統率術」「サッカー観戦力 プロでも見落とすワンランク上の視点」など。現在も週に1回はボールを蹴っており、海外取材では現地の人たちとサッカーを通じて触れ合うのが楽しみとなっている。

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