連載:Jリーガー神技インタビューズ
試合で使える神技パントキックの極意 西川周作×小針清允のGK対談
西川周作(左)の神技パントキックの極意を小針清允さんがインタビュー。“GKあるある”で盛り上がった 【中村博之】
このパントキックを、西川はどんな練習で身につけたのか。また、試合で使える技術にするためには、いつ、どこへ、どの球質で蹴るのか。戦術も重要になる。
今回、西川へのインタビュー役を務めるのは、現役時代にベガルタ仙台、栃木SC、ガイナーレ鳥取などでゴールを守り、現在は東京都リーグ1部の南葛CSCでGKコーチ(選手兼任)を務める、小針清允さんだ。
2人のGKが『パントキック』をテーマに語り合った。
「足の技術は今後生かせる」と思いながら
西川:そうですね。経験しながら自分で見つけ出したもので、これが子供たちにとって良いアドバイスになればと思います。慣れない立場だったんですけど(苦笑)。
小針:すごく分かりやすかったですよ。
――ボールの横を蹴って、ライナーで届けるパントキックは、早くから意識していましたか?
西川:いえ、僕も最初のころはボールの下の方を蹴っていました。当時(大分)トリニータのトップチームに前川和也さん(元日本代表GK 現ヴィッセル神戸GK前川黛也の父)がいて、前川さんのキックをずっと見ていましたが、どちらかと言うと、前川さんは下から蹴り上げるキックだったと思います。その後、僕が18歳くらいでアルゼンチンへ行かせてもらったとき、ロベルト・アボンダンシエリ選手(元アルゼンチン代表GK)のプレーから、横蹴りを参考にしましたね。
小針:西川選手が18歳なら、ちょうどGKの役割が変わってきた転換期ですよね?
西川:はい。
小針:1992年にサッカーはルールが変わり、GKはバックパスを足で扱わなければならなくなりました。得点を増やすため、GKに不利なルール改正が何度か行われてきて、当時はスタイルが次世代のGKへ移る時期でした。ちょうどタイミング的にも大きかったのかなと。
西川:そうですね。自分の中でも「基礎技術をしっかりと上げないといけない」と感じましたし、足の技術は今後生かせると思いながら、キックの練習をしていました。今たくさんの方に注目してもらえるのは、やってきて良かったなと思いますね。
――練習はどんなやり方を?
西川:僕は中学生の頃、学校の部活ではなく、クラブのジュニアユースに所属していたので、どうしても休みの日は一人で練習することが多くて。そこでキックの正確性を上げるため、一人でハーフウェイラインからゴールポストに向けて、パントキックの練習をしていました。
小針:バー当て(クロスバーに当てる遊び)なら、普通はペナルティーエリアから蹴るものだけど、それをハーフウェイから?
西川:はい。
小針:スゴいな。それはわりと当たるんですか?
西川:そうですね。やればやるだけうまくなるので、どんどん楽しくなってきました。
小針:一人で黙々と、ピッチの真ん中で(笑)。
西川:やっていましたね(笑)。最初の頃は全然当たらなかったけど、やっていくうちに、5本連続で当たったりとか。
――スゴい。
西川:さすがに5本連続のときは、自分でもうれしかったです。
小針:でも一人なんでしょ?
西川:一人です(笑)。
――たぶん、近所で話題になっていたと思います(笑)。
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