折り合いもばっちりとハマり、スムーズに迎えた最後の直線。3番手からダノンプレミアムがいち早く抜け出す中、インディチャンプ池添の手はまだ動かない。

「ダノンプレミアムより手応えが良さそうでしたし、あとは追い出すタイミングだけ」

　最大のライバルをいつでも差せる抜群の手応え、つまり勝利がもう目の前にあると分かれば、すぐにでも追い出してしまいたいところ。しかし、そこはGIレース24勝の勝負強さを誇る池添だ。焦らず慌てず、我慢に我慢を重ね、満を持して追い出しにかかったのはゴールまで残り1ハロン手前からだった。

「余裕があったので、ソラを使う前に一気に行かせてしまおうと思っていました。その通り、ソラを使う前にゴールを駆け抜けることができましたね。最後まで集中して走ってくれましたし、本当に強かったです」

　GIの勝ち方を知っているジョッキーだからこその芸当であり、まさに一撃必殺の仕事人。そして、インディチャンプもその出来の良さを裏付ける末脚の破壊力。ダノンプレミアムを一瞬にして置き去りにする、文字通りの完勝だった。

「急遽の乗り替わりで、自分に依頼していただいたことの意味は十分に分かっていました。自分の役目、責任を果たすことができてホッとしていますし、本当に良かったです」

　春の安田記念はアーモンドアイ、ダノンプレミアムの2強にスタート直後の不利があり、もしかするとインディチャンプの勝利はタナボタ的に見られた節があったかもしれない。しかし、この勝ちっぷりはどうだ。池添が「真のマイルチャンピオンですね」と胸を張ったように、インディチャンプは自らの走りで国内最強マイラーであることを証明してみせた。

　となると、次なる目標は“世界”となる。音無調教師は次走について「香港マイル」と即座に明言した。

「状態がよほど変わらない限りは香港へ行きます。今回が最高の出来でしたので、変わらずに維持していきたいですね。香港にはビューティージェネレーションという強い馬がいますが、どこまでやれるか楽しみです」

　IFHA（国際競馬統括機関連盟）発表の「ワールドベストホースランキング」で総合4位、マイル部門なら1位の“世界最強マイラー”との対戦へ。日本はアーモンドアイだけじゃない！という強さを、世界のホースマンに向けてぜひともアピールしてほしい。ただ、当地の政情不安から直近のハッピーバレー開催の香港競馬が中止となった状況だけに、香港国際競走も安全に開催できるのか、香港ジョッキークラブにはしっかりとした判断を下してほしいものだが……。（取材・文：森永淳洋／スポーツナビ）

　好評連載中の競馬予想AI『VUMA（ヴーマ）』対スポーツナビ競馬チームによる「秋のGI予想対決・10番勝負」は、予想AI『VUMA』が△◎△で3連複3,200円を見事に的中！　これで菊花賞、天皇賞・秋、エリザベス女王杯に続き破竹の4連勝、通算でも6戦5勝となった。AI恐るべし……。一方、スポナビ競馬チームも同じく△◎△で3連複をゲットし、エリザベス女王杯から連続的中。ますます好調のAI『VUMA』、スポナビ競馬チームの予想を次週のジャパンカップでもぜひご期待ください!!