選手よ、契約の差に疑問を持って! 入団時における日米の“不平等”
契約の矛盾
5月下旬、ソフトバンクに電撃入団したスチュワート・ジュニア。6年約7億円の契約を結んだ。一方で、今秋のドラフト目玉、佐々木や奥川は「契約金1億円、出来高5000万円、年俸1500万円」が“最高条件”となる 【写真は共同】
対して、すでに「世代最高の完成度」という評判の通り、最速158キロの速球とフォーク、スライダーなど“消える”変化球を操る甲子園準優勝投手は、最高峰の世界でどれほど勝ち星を挙げるのか、とシミュレーションしたくなる。
佐々木朗希と奥川恭伸──今秋のドラフト会議で「目玉」とされた、二人の高校生投手のことである。
複数球団がドラフト1位で入札する争奪戦の末、佐々木は千葉ロッテ、奥川は東京ヤクルトが交渉権を獲得した。両右腕が契約成立すれば、ダルビッシュ有(カブス)や田中将大(ヤンキース)、菊池雄星(マリナーズ)、大谷らと同じように、契約金1億円、出来高5000万円、年俸1500万円という“最高条件”になるのは確実だ。
ただし、その“最高条件”は、あくまで日本人という枠の中の話にすぎない。
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代理人という立場で日米の球界を俯瞰する団野村。厳しい状況を何度もくぐり抜けてきた 【(C)CWS Brains LTD.】
前年、ブレーブスから1巡目、メジャーリーグ(MLB)全体では8番目に指名されたスチュワート・ジュニアは、身体検査で右手首に異常が発見されて望むような契約を結べず、入団を見送った。短大でプレーして翌年のドラフトを待ち、入札まで1カ月を切った頃、ソフトバンクと電撃契約を果たす。報道によると、6年総額700万ドル(約7億7000万円)、出来高の条件が最高に達した場合は1200万ドル(約13億2000万円)という、日本球界では破格の条件だった。
「なぜスチュワートに大型契約ができて、日本人のドラフト1位にできないのか。選手が自分たちで疑問視しないと、日本球界は発展していきません」
こう問題提起するのが、代理人として20年以上のキャリアを誇る団野村だ。1994年オフ、野茂英雄が近鉄バファローズからロサンゼルス・ドジャースに移籍した際、メジャーへの道をともに切り開いた男として知られている。
自身はプロ野球選手としてヤクルトに4年間在籍し、現役引退後、代理人として数々の選手を日本やアメリカ球界に送り込んできた。
団ほど日米の両球界に精通する日本人はいない、と言っても過言ではない。そんな男の目には、日本球界における“不平等”が鮮明に映っている。
「日本人にも155キロを投げて、ドラフト1位にかかる高校生ピッチャーがたくさんいます。ソフトバンクが契約したスチュワートは6年総額7億円以上もらって、契約が終わればFA(フリーエージェント)になれる。一方、日本人投手はドラフト1位でも契約金1億円で、球団に保有される期間は実質9年以上。その差に疑問を持ってほしい」
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