攻守に優れた広島・鈴木が両リーグ最高値 アナリストが選ぶ年間MVP<セ・リーグ編>

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首位打者、最高出塁率のタイトルに輝いた広島・鈴木。守備や走塁でも高い数値を記録した 【写真は共同】

 打撃、守備、走塁、そして投球。さまざまな角度から選手を評価する指標がWAR(Wins Above Replacement)だ。WARの示す数字は、控えクラスの選手を起用した場合と比較して何勝分チームに貢献できたかを表す。本企画は、この総合指標WARを用いて両リーグの投打に分けたMVPを選出する試みである。今回はセ・リーグ編。

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セ・リーグ野手部門:鈴木誠也(広島)

【データ提供:データスタジアム】

 セ・リーグ野手のWARトップに君臨したのは鈴木誠也(広島)。連覇が途切れ、4年ぶりにBクラス転落となったチーム事情を踏まえると公式のMVPに選出される可能性は小さいが、投手・野手を含めてセ・リーグで最もチームへの貢献度が高かったプレーヤーという評価となった。初受賞となった首位打者、最高出塁率などバットでの貢献はもちろん、抜群の守備範囲を誇るディフェンス能力、ひとつでも先の塁を陥れるスピードも高評価。アスリートタイプの外野手として完成形といえる存在となっている。
 鈴木のようにオールラウンドな活躍を見せた山田哲人(東京ヤクルト)が2位にランクイン。打率こそ.271ともうひとつ伸びなかったが、35本塁打の長打力、そして盗塁の連続成功の日本記録を更新したスピードも高評価の対象となった。やはりこれだけの得点創出能力の高い選手でありながら二塁を守れるのは大きく、さらに山田の守備能力は二塁手の水準以上をキープできている。統計的に野手のピークは20代後半とされるが、現在27歳の山田はプレーヤーとしての全盛期を迎えている。
 キャリアハイの40本塁打を放ち、キャプテンとしてチームを引っ張った坂本勇人はWAR7.2で3位。従来の確実性の高さに長打力を加えた打撃面での貢献度はリーグでもトップクラスの評価で、歴史的に見てもこれだけ打てる遊撃手は希少だった。一方で例年トップクラスの貢献度を示していた守備面ではやや伸び悩み、リーグの遊撃手の平均をやや上回る水準だった。遊撃手は身体的な負担が大きく、30歳を超えると指標的に下降線を描き始める。球界を代表する遊撃手にも、コンバートを模索するタイミングが近づいているのかもしれない。

 今季のセ・リーグ野手の中で、最もサプライズという評価にふさわしい活躍を見せたのが阿部寿樹(中日)。WAR4.1はリーグ8位で、二塁手としては山田に次ぐ評価となった。名手として知られる山田や菊池涼介(広島)を上回る守備面での貢献に加え、打率.291、7本塁打と意外性のある打撃面でも貢献した。30歳を迎えるシーズンに開花した遅咲きの苦労人は、飾らない素朴な人柄も合わせて中日ファンの心を強くつかんでいる。

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