連載:0.0%に挑んだ八村塁とそれを支えた人たち

八村塁が地元ファンに託されたものは…続ドキュメント ホーム開幕戦を追う

丹羽政善
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ハロウィーンの仮想は八村だけ

アリーナに現れた八村は骸骨のコスチュームにナショナルズの帽子とユニホーム。ただ、ハロウィーンの仮装をしていたのは八村だけだった…… 【写真提供:washwizards】

 10月30日(現地時間、以下同)、ワシントンD.C.で行われたウィザーズのホーム開幕戦。午後5時頃、キャピタルワン・アリーナに現れた八村塁は、骸骨のコスチュームの上から、ナショナルズの帽子を被り、さらにユニホームを身にまとっていた。

 その日、敵地で行われていたナショナルズ対アストロズのMLBワールドシリーズ第7戦と翌日のハロウィーンという2つのイベントを詰め込んだのは、ルーキーに課せられた遊びかと思われたが、仮装していたのは八村だけ。こういうことが自然にできるのが八村のキャラクターであり、同時に結果を出しているという心の余裕も読み取れた。

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 午後6時15分過ぎから練習を行った八村は、30分ほどで引き上げ、次にロッカーから出てきたのは、その1時間後のこと。

 ホームデビューの瞬間が、刻々と迫っていた。

 午後7時46分、続々とロッカー前に集まった選手らは円陣を組むと、「さあ、行くぞ!」という掛け声とともにコートへ。軽いウオーミングアップのあと、ホーム開幕戦ということもあって、八村もマイクを手に「皆さん、こんにちは。応援よろしくお願いします」と日本語であいさつしたが、そのあとで再び、選手らはロッカー前に戻ってきた。

 いよいよ開幕のために特別演出が施された選手紹介である。順番に並び直すと、たまたま八村は、今年2月に左アキレス腱を断裂し、リハビリをしているジョン・ウォールの次だった。2010-11シーズンの新人王で、過去、オールスターゲームに5度出場しているスーパースターとの2ショットは八村のいる世界を教えてくれたが、徐々にそうした光景に違和感もなくなってきた。

 午後8時10分からウィザーズの選手紹介が始まり、「ゴンザガ大出身、RUI HACHIMURA」と呼ばれたのは午後8時13分のこと。

 会場のファンからは、「RUUUUUUUU!!!」と低音の歓声を受けた。

 あの声援の大きさは、何を物語るのか。彼らは、八村塁に何を託すのか。
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著者プロフィール

1967年、愛知県生まれ。立教大学経済学部卒業。出版社に勤務の後、95年秋に渡米。インディアナ州立大学スポーツマネージメント学部卒業。シアトルに居を構え、MLB、NBAなど現地のスポーツを精力的に取材し、コラムや記事の配信を行う。3月24日、日本経済新聞出版社より、「イチロー・フィールド」(野球を超えた人生哲学)を上梓する。

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