八村塁、鮮烈NBAデビューで何を感じたか ドキュメント 歴史的な1週間に迫る
30ドルのチケットで歴史的瞬間に立ち会い
八村塁がついにNBAデビュー。開幕戦のコートに立ち、14得点10リバウンドの「ダブルダブル」をマークした 【写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ】
「ルイ! これも映してくれ。で、インスタグラムに載っけてくれ」
今や八村は立派なインフルエンサー。彼のインスタにシューズの写真が載れば、それが売れて、自分に売り上げのインセンティブが手に入る――という計算か。もちろん冗談だが、こうして和ませてくれる存在がいるのは大きい。
「朝起きて、不思議な気持ちだった」と八村。夢の結実がそこに迫り、「興奮していた」。
さすがに普段の朝とは違ったようだ。
それからおよそ7時間後の午後7時35分、試合前の選手紹介で「RUI HACHIMURA」とコールされると、八村は憧れてきたNBAの舞台に、ついに立った。
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ゴール裏の1階席。取材パスの申請が殺到し、「もう、試合用の取材パスが出せない」と言われ、チケットを買った。
午前の練習が終わってからインターネットでチケットを探していると、マーベリックスのチケットは売り切れが続いているはずなのに、選択肢は少なくない。高いチケットは200ドル(約2万2000円)を超えるが、2階席の上の方なら20ドル(約2200円)前後。ゴール裏で77ドル(約8400円)だったが、税金や手数料を加えると90ドル(約9800円)を超える。どこにしようかと迷っていると、同じくチケット取材をしようとしていた旧知の記者が、チケット売り場から情報をくれた。
午後5時半(試合開始2時間前)から、売れ残ったチケットを売り出す。77ドルの席なら税込みで30ドル(約3300円)。それをわざわざチケット窓口の人が教えてくれたというから、ありがたい。
結局、近くで時間をつぶし、午後5時前に指定された場所へ行くと、すでに10人ぐらい列を作っていた。初めてのことなので、それが多いのか少ないのか、皆目検討がつかなかったが、5時半過ぎ、無事にゴール裏の席が30ドルで買えた。すぐ後ろに並んでいた前出の記者は、「ゴール裏は売り切れ」と言われたらしいが、さらにコートに近い――しかも、ウィザーズのベンチに対面する位置の席をやはり30ドルで手に入れた。マーベリックスのチケットシステムは不思議である。
ちなみに、この日もチケットは売り切れ。後で調べると、ホームゲームは2001年12月15試合から721試合連続ソールドアウトとなり、目下、NBAでは最長記録だろう。
なるほど、記録はこうして作られる。
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