マドリーダービーの「特別な空間」 ラ・リーガ探訪記(4)
欧州でも話題はラグビーに
ツアー最終日はマッチデー。リーガの熱を体感することができた 【Getty Images】
「日本中が、騒ぎになっているようだよ」。そう答えると、彼も笑顔で何度もうなずいた。
ラ・リーガによるメディアツアー最終日はマッチデー。ツアーのトリを飾るのは、ヘタフェvs.バルセロナ、アトレティコ・マドリーvs.レアル・マドリーの生観戦だ。件の会話は、ヘタフェのホームスタジアム、アルフォンソ・ペレスにて、隣に座る英国人記者からかけられたもの。ラグビー日本代表の快挙は、欧州記者を十二分に驚かせたようだ。
ヘタフェの本拠地、アルフォンソ・ペレス。小規模なスタジアムでも観客の熱気が試合を盛り上げる 【スポーツナビ】
試合は、バルセロナが2-0で勝利。ヘタフェのハイプレスと球際での激しさに苦しんだが、前半41分、GKマルク・アンドレ・テア・シュテーゲンからのロングボールに抜け出したルイス・スアレスが決めると、後半開始早々にも追加点。終盤に退場者を出したものの逃げ切った。
ただ、未だにヘタフェサポーターのブーイングの音が、耳にこびりついて離れない。約15,000人の熱烈な応援は、確かに選手たちに力を与え、スコア以上の熱戦を演出していた。
マドリーダービーは「特別な空間」
クルトワの記念碑はゴミで埋め尽くされていた 【スポーツナビ】
試合は、両チームとも「負けたくない」という意志が前面に出た展開となった。序盤、8分に訪れたA・マドリーの決定機、ジョアン・フェリックスが右足で放ったシュートは、惜しくもゴール左に外れる。これが決まっていれば、新たなスターの誕生の日に立ち会えたのかもしれない。以降はこう着状態が続き、後半30分、R・マドリーのカリム・ベンゼマが放ったヘディングシュートも、GKヤン・オブラクが好セーブ。結局、両チームとも決定機を多く作り出すことはできず、スコアレスドローでの決着となった。
試合を終えたのは、現地時間で23時を回ったところ。大半の記者が翌日朝の便で帰国ということもあり、急ぎ帰路へ着いた。
24時過ぎにホテルに戻ると、ロビーにて各国の記者とともに別れを惜しんだ。24日の到着から28日まで、5日間をともにした。さまざまな情報交換とサッカー談義を行い、言葉の壁を越えた仲間になれた、と思う。
別れ際、インド人記者にも、米国人記者にもこう声をかけられた。「来年は東京だ。楽しみだね」。世界各国から期待を込めてやってくる人々を前に、我々は何を見せられるだろうか。
(取材・文:大迫拓郎/スポーツナビ)
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