「らしくない」日本代表を救った男たち 元日本代表・藤井淳がロシア戦を解説

構成:スポーツナビ

先制トライを奪われ、ミスが続いた前半

難しい初戦を終えた田村優(中央)に語りかける山中亮平 【Photo by Yuka SHIGA】

 ラグビー日本代表は20日、ワールドカップ日本大会の開幕戦でロシア代表と対戦し、30対10で勝利した。初の自国開催で硬くなり序盤は苦しんだ試合について、元日本代表の藤井淳氏(東芝)に話を聞いた。

――前半開始直後からキックオフのキャッチミスや、FBトゥポウの落球でトライを奪われるなどミスが続きました。

 今の日本代表にとって「らしくない」ミスが目立ちました。キャッチのミスは風があったかもしれませんし、普段のラグビートップリーグはナイターが少なく、秩父宮ラグビー場も照明の光は抑え目なので、ワールドカップ基準の明るさに慣れていないという面もあったかもしれません。最初のキックオフのキャッチミスも、その後のトゥポウ選手のキャッチミスも同じ角度だったので。

 また、日本開催というのは誰も経験したことがないうえに、あれだけの観客にウォーミングアップから見られることもないので、動きが硬くなるのも致し方なかったと思います。

裏へのキックを使ったことで外にできたスペース

チームとして厳しい状況が続いていただけに松島幸太朗の活躍は大きかった 【Photo by Yuka SHIGA】

――序盤は苦しみながらも前半に2トライを奪いました。

 ロシアを分析した結果だと思いますが、攻撃方向の切り替えも多く、相手バックスリー(WTB、FBの3人)が上がり気味だったので裏を狙うキックも増えました。その時点ではなかなかトライに結びつきませんでしたが、キックを警戒した相手バックスリーが下がったことで外にスペースができて、シンプルに外へ回すことでトライを取ることができました。ロシアは攻撃もそうですが、近場のプレーが得意なチームなので、外に広がるディフェンスに慣れていない印象を受けました。

――うまくいかない時間帯が多かったのはSH流大、SO田村優には難しい状況だったでしょうか?

 チームとして緊張していて思い通りのプレーができない時は、相手がセットプレーを望んでいたとしても、自陣からはタッチキックでゲームを切ることも必要だったと思います。
 試合前のプランをやり切ることも大事ですが、すべてが思い通りにいくのなら全試合に勝てるわけで、絶対に想定外の部分が出てきます。流選手、田村選手にとっては難しい試合でしたが、もっとチームを落ち着かせてほしかったと思います。彼らはもっとできる選手なので。

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