新ユニホームデザインの参考に(?) ファン投票の結果、人気ユニの条件が判明

カネシゲタカシ

中日のこのユニホームが大好きでした。仕事が早く終わるんです 【カネシゲタカシ】

 ユニホームデザインは力である。格好良いユニホームは着る者に誇りを与え、士気を高めてくれる。つまりチームが強くなるということだ。

 チワワのリアル顔面どアップをプリントしたユニホームで戦えるか? ピンクや水色のチェック柄ユニホームで戦えるか? ちなみに過去どちらも実在した。前者はアメリカのマイナーリーグで。後者は3年前のオリックスで。どちらも特別ユニホームとして企画され国内外に衝撃を与えた。チェックユニは当時の福良監督が「休もうかな」と愚痴ったエピソードだけで現場の空気感が伝わる。実際勝率も振るわなかった(とくにピンクは0勝3敗1分)。やっぱデザインって大事だ。

 さてスポナビ名物の人気投票企画、今回のテーマは「ユニホーム」である。12球団+大阪近鉄の結果を総括したい。なおチェックユニのような特別企画系は対象外だ。まずはセ・リーグから。

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「ユニホームの人気」と「チーム成績」は連動する

タテジマ模様は日本一と暗黒時代をともに知る 【写真は共同】

 中日は2004年採用のホームユニホームが26.88%の高い得票率で第1位に、そして同時期のビジターユニホームが16.99%で第2位に輝いた。皆さんご存知の通り、この2つのユニは8年間でリーグ優勝4回、日本一1回を成し遂げた落合監督時代のものだ。当たり前の話だが「ユニホームの人気」と「チーム成績」に強い相関関係があることが改めてわかる。

 阪神も同様で、第1位に輝いたのは84年導入のホームユニホーム。言うまでもなく85年の日本一を経験した“あのユニ”だ。特徴はなんといってもド派手なタテジマ帽。筆者は大阪出身だが、あの帽子を初めて見たとき「なんか子どもの帽子っぽいな」と子どもながらに思ってしまった(当時小3)。しかし日本一に輝くと事情は変わる。奇抜であることも忘れ去られ「強さ」の象徴となった。だが阪神の場合、同じくこのユニホームで長〜い“暗黒時代”も経験したわけで……。トータルではプラマイゼロ。なんにせよ思い出深いユニホームには違いない。

ビジターに熱い支持が集まる2球団とは?

赤、強い、すなわち格好良い 【写真は共同】

 全球団の投票結果においてビジター仕様のユニホームがトップに輝いた球団が2つだけある。広島と東京ヤクルトだ。

 広島は09年から登場した現行のビジターユニホームが34.98%と圧倒的な支持を集め、第2位の現行ホームユニホームに大差をつけて第1位に輝いた。本拠地マツダスタジアムでも真っ赤なビジターユニを着るファンのほうが多い。この現象について筆者は過去スポーツナビのコラムに書いた。
 赤は戦う集団にふさわしい。「赤いユニホームは勝率が高い」という海外の研究結果もあるそうだ。

 そしてヤクルト。黄金期を象徴する90年からのビジターユニホームが得票率17.60%で第1位に輝いた。たしかにスカイブルーの濃淡でストライプを入れるなど意欲的なデザインだったが、同時期のホーム仕様(第2位・14.80%)を抑えるほど人気なのはなぜだろう。78年以来のリーグ優勝(92年)と日本一(93年)を決めた試合がビジター球場だったからだろうか。

 胴上げシーンは人々の記憶に残りやすい。この仮説が正解なら、本拠地か敵地か、どちらの球場で胴上げを決めるかもユニホーム人気を左右する重要な要素ということになる。

巨人ファンは優勝への思い入れが少ない?

現行ユニになってからまだ優勝していない巨人。「強い=人気」の図式が成り立たない唯一の例となった 【写真は共同】

 横浜DeNAも98年日本一の記憶が刻まれた93年導入のホーム&ビジターが第1位・第2位に輝いた。しかし個人的に意外だったのは第3位。最も歴史の浅い、現行のビジターユニホームがランクインしたのだ。太いストライプと鮮やかなグラデーションが特徴的で、近くで見るとわかるのだが、そのグラデーションも水玉の大小で表現されるなど芸が細かい。

 昇華プリント技術がこのような凝ったデザインを可能としたが、世界にはこれで戸惑う人間がごく少数いる。漫画家とイラストレーターだ。絵に描くとき、なかなかに面倒なのだ(「知らんがな」の声は甘受する)。

 そして注目すべきは巨人だ。高い支持を得て第1位に輝いたのが17年から使用の現行ホームユニホームだったのだ。これの何が注目かというと、実は今回の投票企画で「リーグ優勝や日本一を経験しないユニホーム」がトップにランクインしたのはこの球団だけなのだ。

 巨人は10代の回答者が多かった影響もあるだろう。しかし強豪球団ゆえ優勝への思い入れがファンに少なく、純粋にデザインのみで選ばれた結果とも考えられる。優勝補正のない世界。なぜならしょっちゅう優勝してるから。「なんてキミたちは贅沢なんだ!」と強く抗議したい。誰に言うべきか知らんけど。

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著者プロフィール

1975年生まれの漫画家・コラムニスト。大阪府出身。『週刊少年ジャンプ』(集英社)にてデビュー。現在は『週刊アサヒ芸能』(徳間書店)等に連載を持つほか、テレビ・ラジオ・トークイベントに出演するなど活動範囲を拡大中。元よしもと芸人。著書・共著は『みんなの あるあるプロ野球』(講談社)、『野球大喜利 ザ・グレート』(徳間書店)、『ベイスたん』(KADOKAWA)など。

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