新ユニホームデザインの参考に(?) ファン投票の結果、人気ユニの条件が判明

カネシゲタカシ

伝統と奇抜が同居するソフトバンクとロッテ

日本一はインパクト抜群の誠ユニとセットで記憶される 【写真は共同】

 続いてはパ・リーグ。セに比べてユニホームの変更が多いかと思いきや、案外そうでもない。サードユニホームや特別企画ユニホームで盛大に遊んでいるため、そういう印象になるようだ。

 その代表が福岡ソフトバンク。今回第1位に輝いた現行のホーム仕様が登場からもう14年になる。しかし毎年カラフルに攻めまくる「鷹の祭典ユニ」のせいか、長さや伝統を感じにくい。

 なおこの球団で特筆すべきは福岡ダイエーホークス初代の“ガッチャマン”ユニ(89年〜92年)が第3位にランクインしたことだ。イッセイ・ミヤケのデザイン。奇抜すぎるヘルメットの印象で語られる機会が多いが、ブラウンとオレンジを基調としたタテジマのデザインは今見ても洗練されている。

 そしてソフトバンクの14年を上回り、現行ユニとして12球団最長使用記録を誇るのが千葉ロッテのピンストライプだ(95年〜現在)。当然トップ当選かと思いきや、投票では第3位に甘んじる結果に。第1位には初代・誠(05年〜)、第2位には黒ラインを赤くアレンジしたギザ(08年〜)がランクインした。バレンタイン監督が愛したインパクト抜群の新選組ユニ。日本一の記憶と相まって今なお大人気だ。

西武とオリックスを象徴する“あの”ユニホーム

野球ファンにとって「ライオンズブルー」と言えばこの青 【写真は共同】

 埼玉西武は79年から着用のホームユニホームとビジターユニホームがワンツーフィニッシュを飾る。ご存知、あの黄金期のユニホームだ。上下ブルーのビジター仕様なんて登場当時は「パジャマ」と揶揄されていたのに、秋山や清原やデストラーデがそれを「格好良さ」に変えた。そして第3位の04年ホーム仕様もライオンズブルーを基調とする。

 その一方で、現行ホームユニホームは第4位、得票率6.46%と低迷した。現行ビジター仕様に至っては太平洋クラブ時代の“胸番号珍ユニ”(76年前期・ホーム)に負けてしまった。西武ファンのライオンズブルーへの憧憬は止まらないようだ。

 オリックスも西武同様“あのユニ”で通じる91年ホームバージョンが第1位に輝いた。グリーンスタジアム神戸の天然芝に映えたホワイトとブルーとイエロー。右袖の「がんばろうKOBE」をはためかせて走るイチローの記憶に今も胸が高鳴る。

 そして今回はオリックスの復刻ユニ企画でもたびたび登場する大阪近鉄バファローズのユニホームも投票が実施され、78年から使用のホームユニホームが第1位に輝いた。長く使われたせいもあるが、ビジター用含めこのトリコロールのユニホームには幾多の思い出がある。藤井寺球場、10・19、鈴木啓示、ブライアント、野茂英雄――。ある年代以上の野球ファンの琴線を最も揺らすユニホームである。

珍ユニ界のビッグスターがまさかの第4位!?

発表時は驚きだった左右非対称のユニも、今ではすっかりお馴染みに 【写真は共同】

 最後は北海道日本ハムと東北楽天について。まずは日本ハム。第2位に北海道移転の04年から導入されたホームユニホームが、第1位にその黒色を青色にリニューアルした11年からの現行ホームユニホームがそれぞれ輝いた。左右非対称という特殊なデザインにも関わらず伝統と風格を感じるのは、左袖が甲冑の肩甲(かたよろい)をイメージして色塗られたからだろうか。

 ちなみに日本ハムは珍ユニ界のビッグスター、73年後期“7色のユニホーム”が第4位にランクインした。敗戦処理感あふれるやっつけ仕事の集大成。インパクトだけで第4位とは恐るべしだ。6月のスポナビ応援歌投票企画で西武の第5位に輝いたコーディ・ランサム応援歌を思い出した。
 そして東北楽天。日本一も経験した初代ホームユニホームが第1位、18年からの現行ホームユニホームが僅差で第2位とデッドヒートを繰り広げ……と言いたいところだが、新興球団ゆえ投票対象のユニホームがそもそも5種しかなかった。しかし初代モデルの個性的なラインを廃した現行モデルはホーム、ビジターともに華と風格を感じる見事なデザインだと思う。今後このユニホームが新たな伝統を作るのだろう。

最近のユニホームのトレンドは?

 あらためて各球団のユニホームデザインをみて思ったのは、色味を明るくはっきり出すのが最近のトレンドだということだ。

 日本ハムは黒から青へ。ロッテも最近ではサンライズレッドを強調している。中日もシックな青から明るい青に回帰し、DeNAも濃紺を捨てて青を取り入れた。色鮮やかな現行ビジターユニホームの人気を見ても、そのDeNAの路線変更は正解だったと言えるだろう。

 明るい色彩は子どもや若者への訴求効果が高かったり、グッズ展開が容易だったりするのかもしれない。西武もそろそろライオンズブルー復活の頃合いか。そんなことを思いながらユニホームを眺めるのはとても楽しい。

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著者プロフィール

1975年生まれの漫画家・コラムニスト。大阪府出身。『週刊少年ジャンプ』(集英社)にてデビュー。現在は『週刊アサヒ芸能』(徳間書店)等に連載を持つほか、テレビ・ラジオ・トークイベントに出演するなど活動範囲を拡大中。元よしもと芸人。著書・共著は『みんなの あるあるプロ野球』(講談社)、『野球大喜利 ザ・グレート』(徳間書店)、『ベイスたん』(KADOKAWA)など。

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