史上最強日本代表の“ビッグ3”渡邊雄太 「このW杯で日本の未来が左右される」
日本代表の原動力と言える渡邊雄太は、W杯を前に何を感じているのか 【石田祥平】
昨シーズン、子どもの頃から夢だったNBAのコートに立った彼は間違いなく日本バスケを世界レベルへ導く原動力となる。渡邊自身、日本代表として初めてプレーするW杯を楽しみにしつつ、NBAプレーヤーとしての地歩を固め、己の力の証明を果たそうと静かに闘志を燃やしている。(取材日:2019年8月7日)。
「どれぐらい世界に通用するのか証明できる」
けががあるので(編注:代表合宿中の8月2日に右足首を捻挫)、チーム練習は様子を見ながらですが、コンディションは悪くないです。これからもっと上げていかなければならないですし、開幕までしっかりやるべきことをやって、本番までに万全のコンディションにしたいと思っています。
──コンディションの調整なども米国での経験で身についているのでしょうか?
そうですね、コンディショニングについては、日本代表にも良いトレーナー陣がいますから相談しながらやっています。あとはよく食べて、しっかり睡眠をとるという基本的なことはいつも心掛けています。あまり心配していませんし、W杯は万全の状態で臨めると思います。
──久々の日本代表です。八村塁選手、ニック・ファジーカス選手が一緒のチームの雰囲気をどう感じていますか?
すごく良いですね。まだ最終メンバーではありませんから、ここにいる一人ひとりが最終メンバーに残り、世界と戦うための準備をしていこうと高い意識を持って練習しています。そうなると当然のこと、練習のレベル自体が上がってきます。最終のロスターを競っている段階ですが、みんなで声を掛け合い、共通意識を持って練習ができているので雰囲気はとても良いと感じています。
「リーダーシップは徐々に、しっかりと発揮できている」 と自覚を持つ 【@FIBA】
もっとやっていかなければいけないところかも知れませんが、リーダーシップは徐々に、しっかりと発揮できていると思います。
──ご自身のキャリアにおいて今回のW杯をどう位置づけされていますか?
自分自身、アンダーカテゴリーも含めてW杯に出場したことがありませんから、すごく楽しみにしています。自分たちで勝ち取ったW杯で、今の自分たちがどれぐらい世界に通用するのかというのを証明できるいいチャンスだと思っています。
僕自身も大学から米国でプレーし、NBAも経験しました。今の自分の実力や、世界のいろいろな選手を相手にどれだけできるのか、そこにトライできるのはすごく楽しみです。
「米国(相手)だから特別という思いはない」
「特別という思いはない」と米国戦よりも、その前に控える2試合の重要性を語った 【石田祥平】
まだそれほどスカウティングはできていませんが、トルコは何人もNBA選手がいますし、先日も練習試合でフランスに勝ったと聞いています。その情報を聞いた後、フランス代表のメンバーを見たんですが、かなりいいメンバーでした。そのチームに勝ったということは……もちろん、もともとトルコは強いチームですが、かなりの良い準備をしてくるだろうと予測できます。
チェコに関しては、3年前にOQT(リオデジャネイロ五輪世界最終予選)でやられていて、その時は正直、自分は何もできずに終わってしまった感じでした。なので、特に今回はリベンジしたいという気持ちが強いですね。米国はもう言うまでもなくナンバーワンのチーム。キャンプの時点で辞退する選手が出ていますが、はっきり言って最強ですから。
──その最強チームと戦うとなったら、特別にモチベーションが上がる感覚はありますか?
いや、米国(相手)だから特別という思いはないです。周りの方々やファンのみなさんは米国との対戦が楽しみ、という雰囲気になっているかもしれませんが、その前に2戦ありますから。
トルコ、チェコに勝つことが大事で、そうしないと次のラウンドにいけません。2勝した上で米国と対戦するのが理想的でしょう。ただ、先ほども言った通り、トルコもチェコも相当強いので、口で言うほど簡単な相手ではありません。厳しい戦いになるというのは全員が共有しています。
──チームや個人でのW杯の目標、ご自身にとって最大のモチベーションは何でしょうか?
W杯に出ることが初めての経験で、今は数字的な目標というのはないです。(篠山)竜青さんがコメントしていましたが、今回のメンバーの中で日本開催のW杯(2006年、当時は世界選手権)を経験しているのは竹内公輔さん、譲次さんしかいませんから「未知との戦い」で、逆にそれをモチベーションに戦いと思います。
ランク的には僕たちの方が下で、世界では実績もありませんから、あくまでチャレンジャー。日本は強くなっているという評価は受けていても、当然、相手が格上ですから、チャレンジャーとして戦っていければと思います。
──自分たちが「勝ち取ったW杯という自信」と、「チャレンジする気持ち」のバランスをうまく取りながら戦かわなければならないわけですね。
そうですね。でも誰ひとりとして気を抜くようなことはありませんし、みんなが危機感を持っています。8連勝で出場権を取ったという自信は持ちつつも、W杯はまた別物という意識で臨みたいですし、そのバランスはうまく取れていると思います。