早大競走部 箱根事後特集『蕾(つぼみ)』 第12回 花田勝彦駅伝監督

チーム・協会
【早稲田スポーツ新聞会】取材・編集 佐藤結

 「総合3位以内」を掲げて臨んだ東京箱根間往復大学駅伝(箱根)。早大は、国学院大に10秒差で敗れ、悔しい4位となった。運営管理車に乗り、10人の選手の雄姿を見届けていた指揮官はどのように振り返るのか。また、次回大会での「総合優勝」に向けて、新たな1年をどのように描いているだろうか。箱根の振り返りと、新シーズンの展望を伺った。

※この取材は1月26日にオンラインで行われたものです。

往路は「最高の結果」

箱根後、報告会にて話す花田駅伝監督 【早稲田スポーツ新聞会】

ーーまず、往路についてお伺いします。1区では間瀬田純平(スポ3=佐賀・鳥栖工)選手が区間4位の好スタートを切りました。予想通りの走りだったのでしょうか

 間瀬田は想定の順位としては7・8番でした。先頭がやはり独走する可能性もあって、今回3強というところを1つターゲットにしていましたので、そことはできれば10秒以内ぐらいの差で来てほしいなというふうに本人には言って送り出しました。そういう意味では4番というところで、結果的には前に(3強は)駒大だけで、本当にすごくいい位置で来てくれたので、もう最高の出だしだったかなと思いますね。

ーー間瀬田選手をスターターとして起用する機会が多いと思いますが、改めて間瀬田選手の1区の適性というのはどのようにお考えになっていますか

 やはり1区、特に箱根駅伝の1区はものすごいプレッシャーがかかります。私が就任当初の1年目の時も、彼に1区に行ってもらいましたが、 なかなか他の選手も調子が上がらず、彼自身も1年生でハーフという距離に不安もある中で、まずまずいい出だしをしてくれました。 なので、昨年の全日本(全日本大学駅伝対校選手権)もあまり調子は良くなかったのですが、他に1区ができる人がいなくて、1区に行ってもらいました。順位的には悪かったですが、秒差で来てくれました。本人は多少不安と12月中旬くらいまでは言っていましたが、 最後は本当にいい練習ができていたので、本人も自信を持っていけたと思います。チームの中で、信頼できる選手ではあったので、今回しっかり期待に応えてくれて、すごく感謝しています。

ーー続く2区の山口智規(スポ3=福島・学法石川)選手は、序盤ハイペースでレースを進めました。山口智選手の走りはどのように見られていましたか

 最後の800メートルはすごく上った中でタスキ渡しをするので、そこまでは気持ちの余裕を持っていきましょうという話は本人に事前にしていました。あそこまでいい展開で来るとは思っていなくて、直前もそんなにアドバイスできるわけではなかったので、本人の感性に任せようというところで送り出したところもありました。結果的に見ると、篠原くん(篠原倖太朗、駒大)に追いついたところで無理はせず、一緒に5キロや10キロくらいまで並走してみて、余裕があれば前に出るみたいなかたちでもよかったのかなと思います。篠原くんの方がやはり実力的には上なところもあったので。後半の権太坂の上りで、篠原くんに先行されるのではないかと考えて、走り出して調子も良かったので、思い切って攻めの走りをしたみたいです。結果的には後半少し伸びなくて、67分というところで、若干想定よりは下回りはしましたが、私はそういう攻めの走りができたということ自体は、すごく評価してあげたいなと思っています。本人も今回終わった後にすみませんでしたと言っていましたが、そこから学んだことは非常に大きいかなと思います。最低限しっかりまとめてくれたので、3区以降の選手にも流れを切らずにはつなげたのではないかと思います。

ーー3区・山口竣平(スポ1=長野・佐久長聖)選手は堂々の箱根デビューとなりました。往路での起用は早い段階で決めていたのでしょうか

 そうですね。11月の全日本が終わって、その後、箱根に向けた本格的な練習に入った中で、工藤慎作(スポ2=千葉・八千代松陰)と山口智規、竣平はすごくいい練習ができていました。将来的にチームが優勝するのだったらこれぐらいの練習をしたいという練習を3人はやっていたので、12月前半の時点で往路で起用したいと考えて、本人にもそんな話をしていました。ただ、間瀬田がその時期には調子は上がっていなかったので、もし1区に行けないとなったら、他に行ける人が竣平しかいないと感じていたので、1区もあるかもしれないという話はしてました。12月中旬になって間瀬田の調子も上がってきたので、本人には何もなければ3区で行くと話していました。

ーー鶴川正也(青学大)選手や山本歩夢(国学院大)選手を凌ぐ区間3位の走りでしたが、振り返っていかがでしょうか

 3区には他大学からはエース級が来ますが、誰が来るかはあまり考えていませんでした。竣平に関しては4区など、少し上り基調の方が向いていますが、力がチームの中ではトップスリーに入っていたので3区に起用しました。前半は少し落ち着いていこうと本人と話していましたが、展開が展開だけに、難しい走りだったと思います。うまく前半は自重しつつも、ある程度いいペースで入って、海岸沿いに入ってから一気にペースを上げていったので、すごくセンスを感じました。想定よりも30秒近く早かったので、本当に素晴らしい走りだったと思います。

ーー4区は「前半もっと突っ込めばよかった」と長屋匡起(スポ2=長野・佐久長聖)選手からコメントがありました。長屋選手の走りは振り返っていかがですか

 出雲(出雲全日本大学選抜駅伝)、全日本と良かったのですが、11月の中旬以降少し疲れが出ていたので、12月は割と抑えめに練習していましたが、調子自体はそこまで悪くなかったです。 結果論から言うと、後ろに国学院大が迫ってきて、追いつかれたところで、一緒に行ってもよかったと思いますが、本人はやはり慎重になったのかなと思います。1時間2分は1つ設定タイムにはしていたので、 そういう意味ではきっちりと役目を果たしてくれたと思います。 春先に体調を崩して、なかなか思い通りに走れなかった中で、夏以降フル稼働で頑張ってくれていました。初めての4区も非常に重要な区間だったので、しっかり役目を果たしてくれたと思います。

ーー5区の工藤選手は6位でもらったタスキを3位に押し上げ、歴代3位をマークする素晴らしい走りでした

 3年の冬にはマラソンをやろうという話を本人としていて、そういった面でスタミナ練習もしっかりできていました。全日本が終わった後から、山対策の練習も含めてやっていて、練習に関してはほぼ完璧にできていました。大会前はいつもあることなのですが、本人も若干神経質になっていた部分はありました。それもあって、前駅伝監督の相楽くん(相楽豊前チーム戦略アドバイザー、平15人卒=福島・安積)に、12月の中旬に、できれば工藤のサポートをお願いできないかという話をしました。彼は上り下りのスペシャリストで、 前回も工藤にいろいろアドバイスをしてくれて、うまく送り出してくれました。そういった面で、もし工藤が不安になってもしっかりバックアップできるような体制をつくって送り出していました。 当日の朝のアップやスタート前の状況を聞いたら、かなり状態はいいということでした。 ただ、前半5キロまでの入りが想定より早かったので、少し心配はしましたが、監督車からの声かけにしっかり反応していて、コースも最短コースを取れて走っていたので、 逆に中盤以降はどこまで行くんだろうなと、私も楽しみながらレースを見ていたというような状況でした。

ーー7年ぶりの往路3位となりましたが、往路の選手たちの走りを総括していかがですか

 多少デコボコはあったと思いますが、本当にチームとしては最高の結果と言うんですかね。総合3番以内を目指すのであれば、やはり往路で3番以内というところで考えていたので、想定の一番いいところで来て、本当に往路はよく頑張ったと思います。

ーー1〜3年生で往路3位という点はどのように捉えていますでしょうか

 学年で決めたというよりは、11月以降の練習状況を見て、やはりチームで一番上から強い5人をと思ってましたので、たまたま4年生を除いた5人が往路で走ったら期待できるような状況でした。それが来年以降つながるような選手層だったという面ではすごくプラスでしたし、いい経験になったと思います。

「悔しいと思えるような4位になった」

レース中、選手に熱く声をかける花田監督 【早稲田スポーツ新聞会】

ーー6区・山﨑一吹(スポ2=福島・学法石川)選手は「想定を上回る」走りだったとおっしゃっていましたが、振り返っていかがですか

 本当に終始冷静に走っていたと思います。早い段階で追いつかれてしまうと、苦しいなとは思っていました。確か伊藤くん(蒼唯、駒大)に10キロ過ぎくらいで追いつかれましたが、そこからうまく粘って走ってくれました。よかったのは、 リザーブの草野(洸正、商4=埼玉・浦和)や和田(悠都、先理4=東京・早実)が非常に調子が良くて、その日の朝まで準備をしてくれたことです。選手たちには前日の夜に山﨑で行くという話はしましたが、草野で行っても59分前後は行ったと思います。和田も59分台なら行けるような状況をつくってくれていました。4年生では日野(斗馬、商4=愛媛・松山東)も、16人のメンバーには入れなかったですが、下りの準備をしていました。下りをチームの課題として今年は取り組んでいましたので、みんなが絶対ここは結果を出そうとやってくれたことで、山﨑も、走るからには自分がしっかり期待に応えなければという良いモチベーションで走れたのかなと見ています。

ーー山﨑選手の下りへの適性は監督の目からみていかがですか

 山下りに関しては、プロジェクトチームで練習をしていて、みんなすごく下りが上手になっていきました。でも、山﨑は上りが速かったです。最初の5キロのところの上りで、他の選手より少しアドバンテージがあるというところで、準備期間は山﨑が一番短かったですが、平地の走力も含めて、総合的に判断しました。山﨑なら可能性的に、58分で行くのではないかというところで起用しました。

ーー工藤選手、山﨑選手と、2年生が山を攻略しました

 来年以降のアドバンテージになると思います。 ただ一方で、上りは、工藤にはまた来年、今度区間新記録を目標にやろうという話はしていますけども、下りも、今年56分台も出てますので、まだまだタイムを伸ばさなければいけないと思います。もちろん、山﨑が一番の候補にはなっていますが、今年やってみて、元々下りが得意ではなかった選手もトレーニングして、下りに対しての適性が出てきました。そこに関しては山﨑も含めて、また来年もプロジェクトチームで、山が早稲田の強みになるような取り組みをしていきたいと思います。

ーー7区には伊藤大志駅伝主将(スポ4=長野・佐久長聖)が起用されました。伊藤大選手本人からも「往路を走ることができるクオリティの練習を積むことができなかった」という言葉がありましたが、改めて7区起用の経緯を教えていただけますか

 石塚(陽士、教4=東京・早実)もそうですが、本来伊藤大、石塚は力がある選手なので、 彼らを3区や4区などの往路で起用することも、夏の時点では考えていました。なかなか全日本の後も調子が上がってこずに、それ以上に下級生が力をつけて、練習でも非常に良かったので、復路に回ってもらいました。伊藤大に関しては、今年一年、キャプテンとしてすごくいいチームをつくってくれました。全日本が終わった後、練習でも積極的に引っ張っていましたが、見ていて若干、気疲れしているように感じました。それまでは、彼が引っ張るというよりは、どちらかというと、後ろについて走ることが多かったので。そういった面で、12月の前半になっても疲労があったり、なかなか思うように走れなかったりもあったので、本人には、10日前ぐらいからは、チームのことも大事なんだけれども、自分自身がしっかり走れる状況をつくってくれという話をしました。12月中旬時点でも、他のメンバーが良かったので、ひょっとしたら外れることも実際に少し考えてはいました。最後は、しっかり調子を上げてきてくれて走ってくれましたが、本人的には少し不本意な結果だったと思います。ただ、そうした状況を考えれば、 ある程度本人の力は出せる走りはしてくれたので、いろんなことも含めて、よく頑張ってくれたなと思います。

ーー続いて8区の伊福陽太(政経4=京都・洛南)選手についてお伺いします。体に異変があったということですが、実際に走りを見ていかがでしたか

 アップの前ぐらいから、体調が良くないという連絡が急に入ってきました。一昨年の全日本で熱中症もあったので、そういったことがあるかもしれないとその時には少し覚悟しました。スタート前の連絡で本人には、とにかく落ち着いて、あまり記録を考えずに、しっかりタスキをつなぐことを意識していこうと、声をかけました。タスキをもらった位置が非常によくて、後ろもかなり差があったのと、 伊福自身もいいペースではなかったですが、前の中大の選手もペースがあまり良くなくて、逆にそれで差が詰まって、追いつくというかたちになったので、展開に助けられたと思います。本人も、ひょっとしたらレース中の記憶がないぐらい、調子も良くなかったのではないかと思いますが、1年間、間違いなくチームで一番練習をしている選手だったので、そういう取り組みが、最後まで彼がタスキをつなげる要因になったと思います。

ーー9区には石塚選手が起用されました。直前まで他の選手と悩まれていたということですが、石塚選手起用の決め手を差し支えなければ教えてください

 石塚もやはり昨年の箱根以降状態が上がらなくて、 全日本も本人には申し訳なかったですが、メンバーから外しました。本人もかなり悔しい思いはしていたと思いますが、 12月の日体大記録会で少しきっかけがつかめて、状態自体は上がってきていました。宮岡(凜太、商3=神奈川・鎌倉学園)や吉倉(ナヤブ直希、社1=東京・早実)もすごく状態が良くて、7・8・9区に関しては、下級生を使うのか、4年生を使うのかというところで、最後まですごく悩みました。石塚も含めて、4年生が状態を最後上げてきて、本番を迎えてくれたので、経験も踏まえて、石塚を起用しました。

ーー1度国学院大に抜かれてから、最後の競り合いで抜き返しました。石塚選手の走りは振り返っていかがですか

 本人はスタミナ面で少し不安があったと思います。あまり下りが得意ではなく、 4区や8区など、上り基調の方がよかったので、その点は本人には少し申し訳なかったと思います。前半、苦手の下りのところで、うまくリズムが取れなくて、 後ろから追い上げられる展開となってしまいました。終始、きつい中でのレースだったと思います。一旦20秒近く離されてしまいましたが、最後、意地を見せて追い上げてくれたので、そこに関してはよく頑張ったと思います。

ーー10区・菅野雄太(教4=埼玉・西武学園文理)選手は17キロまで国学院大との並走となりました。運営管理車に乗っていて、どのような心境だったのでしょうか

 菅野はすごく状態が良くて、区間3番以内を狙えるような状況だったので、20秒~30秒前でタスキをもらえていれば、おそらく逃げ切れたと思います。 本来順位を争うというところであれば、前に出ずに相手の力も利用しながらという展開もあります。そのことはスタート前にも本人と少し話しましたが、自分が後ろに下がってけん制する展開になると、後ろから5位が追い上げてくるという可能性もあったので、 本人は攻めの走りで思い切っていくと言ってきました。実力的には国学院大の選手の方が上だったかもしれませんが、菅野は15キロぐらいまで何度も相手を引き離そうと、かなり積極的な走りを見せてくれました。 私が駅伝監督に就任した当時、菅野は2年生でそこまで強い選手ではなかったのですが、この3年間で大きく成長してくれたので、後ろから見ていてすごく頼もしく、誇りに思えるような走りだったと思います。

ーー復路の選手の走りの総括をお願いします

 競り負けた国学院大は非常に力のあるチームだったので、うちのチームが悪かったというより、相手が1つ上だったと正直なところは感じています。走った選手たちも、チーム全体でも、 4位が悔しいと思えるようになったということは、チームにとっては大きな成長でした。終わった後にも全体に話しましたが、これでやっと優勝を目標に掲げられるチームになりました。復路の順位(10位)は、あまり良くなかったのかもしれないですが、あのようなプレッシャーを感じる中で、最後まで3位争いができたというのは、いい経験になったと思います。特に7区、8区、9区の4年生3人はこの後も競技を続けます。 本人たちにとっては、不本意な走りだったと思うので、この借りは実業団に行ってからしっかり返してほしいですね。早稲田から、太田くん(太田智樹、令2スポ卒=現トヨタ自動車)だったり、清水歓太くん(令元スポ卒=現SUBARU)だったり、社会人になってから大きく成長している選手が多いので、彼らもそういう選手になってほしいです。

ーー総合4位という結果には率直にどのような感想を持たれていますか

 3強を崩して3位以内と目標は掲げていましたが、その下の創価大や城西大、中大も非常に強くて、正直なところ、少し目標が高すぎたと思っていました。そういった中で、みんながその大きな目標に向かって取り組んでくれて、あと10秒で3位というところまで来ましたので、私自身は選手たちの頑張りをすごく評価してあげたいですし、感謝しています。ただ早稲田の宿命として、箱根駅伝では優勝が求められる面もあるので、この結果に満足せずに、今回の経験をぜひ生かしてチャレンジしていきたいと思っています。

ーー今年の4年生は監督から見てどのような学年でしたか

 スポーツ推薦で入ったのは伊藤大しか残っていない学年です。駅伝監督就任時には決して強い選手たちではなかったですが、着実に練習を積み上げて、いい選手、いいチームになりました。4年生は連携がしっかりしていて、今回メンバーに入れなかった日野も、惜しいところまで来ていました。日野は、800メートル出身の選手で、3年までは長い距離にも全く対応できないようなところもありましたが、 今年の秋以降はハーフも走れるぐらいの力をつけていました。箱根を目指すというところで、 しっかりチャレンジしてくれた4年生だったと思うので、すごく感謝しています。

ーー総合優勝を狙う上で、強化していきたいところ、必要なことは何だとお考えですか

 これまでの3年間で先輩たちが残してきたレガシーを引き継いで、いよいよ今度は優勝という高い頂点を目指して取り組まなければなりません。プレッシャーに感じるかもしれませんが、ぜひそういうチャレンジ精神を持って取り組んでほしいと思います。 今年から私が指導に携わった学年が4学年そろうので、 チームの思いを1つにして、優勝という大きな目標にチャレンジして、ぜひ達成したいと思っています。

ーー今年はトラック、特に1万メートルでタイムを出していくということは考えていらっしゃいますか

 もちろん、それも目安と言いますか、持ちタイムがないとなめられることもあるので、 27分台や、例えば(箱根の)16人に入る選手には28分台を出してほしいとも思います。 一方で、年間のスケジュールがすごく過密なことに加えて、早稲田の学生の場合は学業もしっかり取り組むというところでやっているので、チャンスがあれば記録が出せればいいと考えています。例えば山口竣(1年)は、ハーフの試合にも出ていなかったですし、1万メートルも29分前半しか持っていませんでしたが、練習でそれを上回るようなトレーニングをしていました。そういった意味では、”早稲田らしく”箱根駅伝に向かっていけばいいと思います。自信を持って、 やってきたことをしっかり本番で出せれば十分に勝負できると思っていますので、 そこは信じてやっていければいいと思っています。

本当の意味で「強い早稲田」に

箱根前合同取材にて集合写真に納まる花田駅伝監督と選手たち 【早稲田スポーツ新聞会】

ーー監督から見て新チームの雰囲気はいかがですか

 まだ始まったばっかりで、試験期間中というのもあって、あまり全体で集まれていないところはありますが、山口智がキャプテンになって、 全体でそれぞれが年間の目標を立てようと言ったりしています。これまで今の3年生たちはあまり学年で話し合う機会がなかったと聞いていましたが、新チームになってから下級生も含めて意見をしっかり出し合って、チームみんなで変えていこうという雰囲気をつくっているようなので、すごくそれは楽しみです。今度、新1年生に非常に力のある選手も入ってきて、本当に強い早稲田を実現させていければと思います。

ーー山口智選手に駅伝主将として期待されることはありますか

 私自身が3年間で求めてきたのは、圧倒的な個の強化というところで、クラウドファンディングも含めて、海外遠征なども彼に経験させているので、 期待に応えるというよりも、その期待を上回るような走りを大エースとして見せてほしいと思います。そのためには、今まで以上にハードな練習をしていかなければいけません。山口智に関しては、2月から2カ月間単身で海外のクラブチームでの武者修行を予定していますので、 一回り大きくなって戻ってきてほしいと思います。山口智がいない間も駅伝副将の間瀬田と主務の白石(幸誠、人3=愛媛・八幡浜)が中心になって、チームをまとめてくれればと思っています。

ーー新入生のお話もありましたが、全国高校駅伝や全国都道府県対抗男子駅伝では佐々木哲(佐久長聖高)選手、鈴木琉胤(八千代松陰高)選手の素晴らしい走りがありました。どのようにご覧になられていましたか

 昔で言うと、渡辺康幸くん(平8人卒=千葉・市船橋)や、瀬古さん(瀬古利彦氏、昭55教卒)みたいな、何十年に1人というようなスーパースターだと思っています。彼らにそこまで大きな期待をするというよりは、4年間で、本当の意味で世界を目指せるような選手に育成したいと思っているので、じっくりと本人たちを伸ばせるような指導をしていきたいと思います。

ーー2回目のクラウドファンディングを実施するということですが、再度実施することとなった経緯を差し支えなければ教えてください

 2年前にクラウドファンディングをさせていただいて、延べ649人、2025万円の寄付をいただきましたが、 この2年間で前回の予算をほぼ使い切ってしまいました。今度優勝を目指すというところでは、これまでの取り組みを継続していかなければいけないので、応援してくださる方々に支援を求めるかたちで、再度させていただきました。 圧倒的な個を強化するための海外遠征やチーム強化の合宿にも、もちろん資金を使うのですが、スカウトや、選手の強化というところで奨学金制度も、今回のクラウドファンディングでつくれればと思っています。本当は早稲田に行きたいけれども、経済的に厳しくてなかなかそれができないという選手もいるので、今回のクラウドファンディングでそういった選手のサポートが少しでもできればと考えています。大学の方でも、3大スポーツ(駅伝、ラグビー、野球)強化のスポーツ募金制度というのをやってくださっていますが、 よりそれを手厚くするような取り組みができればと考えています。

ーー総合優勝を狙うというところで、今までとは違ったシーズンになると予想されます。最後に、新シーズンの意気込みをお願いします 

 取り組み自体はそんなに大きくは変わらないとは思いますが、年度初めから優勝が1つ大きな目標になって取り組むかたちになるので、選手たちもそれを常に心に持ちながら、チーム一体となって、大きな目標を達成できるように取り組んでいければと思います。

ーーありがとうございました!

【早稲田スポーツ新聞会】

◆花田勝彦(はなだ・かつひこ)

1971(昭46)年6月12日生まれ。滋賀・彦根東出身。平6人間科学部卒。1994年日本選手権5000メートル優勝。アトランタ、シドニー五輪日本代表。2004〜2016年上武大学駅伝部監督、2016〜2022年GMOインターネットグループ・アスリーツ監督。2022年〜早稲田大学競走部駅伝監督。

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【早稲田スポーツ新聞会】

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著者プロフィール

「エンジの誇りよ、加速しろ。」 1897年の「早稲田大学体育部」発足から2022年で125年。スポーツを好み、運動を奨励した創設者・大隈重信が唱えた「人生125歳説」にちなみ、早稲田大学は次の125年を「早稲田スポーツ新世紀」として位置づけ、BEYOND125プロジェクトをスタートさせました。 ステークホルダーの喜び(バリュー)を最大化するため、学内外の一体感を醸成し、「早稲田スポーツ」の基盤を強化して、大学スポーツの新たなモデルを作っていきます。

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