連載:シント=トロイデン買収の真相

【ノンフィクション】シント=トロイデン買収の真相 第7回 選手だけではない日本人の活躍

飯尾篤史
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ベルギー1部のシント=トロイデンVV(STVV)をDMM.comが買収した計画の始動から今夏まで、激動の3年半の舞台裏に迫った。

苦戦を強いられた18-19シーズンの序盤

冨安(左)、遠藤らが加わったものの、18-19シーズンの序盤は苦戦を強いられた 【(C)STVV】

 ホームスタジアムのスタイエンに併設されたカフェ・レストラン「グラン・カフェ」。昼食後のコーヒーを味わいながら、話し込む男たちの姿があった。

 STVVのCEO(最高経営責任者)を務める立石敬之と、指揮官のマーク・ブレイスである。

 週に2、3回のミーティングは、2人にとって欠かせないものとなっていた。ブレイスが明かす。

「ランチのときもあれば、ランチ以外のときもある。街中のレストランで話すこともある。このクラブで気に入っているのは、CEOと直接コンタクトが取れること、しかも、サッカーの話がちゃんとできることだ。普通、会長やCEOはサッカーのことなんて何も分かっていないものだからね」

 もっとも、7月29日に開幕した2018-19シーズンのジュピラー・プロ・リーグで、STVVは苦戦していた。

 サークル・ブルージュとの開幕戦では冨安健洋がフル出場を飾ったが、0-0の引き分けに終わる。続く強豪KRCへンクとの一戦は「クオリティーの高い選手だということはすぐに分かった」とブレイスが評価した遠藤航が途中出場でデビューを飾り、初ゴールまで奪ったものの、1-1で引き分けた。

 さらにスポルティング・ロケレン、ワースラント=ベフェレンとも引き分けると、スタンダール・リエージュには2-3と競り負け、5節を終わった時点で4分け1敗の11位に沈んでいた。
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著者プロフィール

東京都生まれ。明治大学を卒業後、編集プロダクションを経て、日本スポーツ企画出版社に入社し、「週刊サッカーダイジェスト」編集部に配属。2012年からフリーランスに転身し、国内外のサッカーシーンを取材する。著書に『黄金の1年 一流Jリーガー19人が明かす分岐点』(ソル・メディア)、『残心 Jリーガー中村憲剛の挑戦と挫折の1700日』(講談社)、構成として岡崎慎司『未到 奇跡の一年』(KKベストセラーズ)などがある。

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