甲子園出場のドラフト候補を診断 奥川以外に強烈な印象を残したのは?
スカウト「奥川に今さら驚くことは…」
大会ナンバーワン投手の座をほしいままにする星稜・奥川(写真右)。バッテリーを組む山瀬も注目選手だ 【写真は共同】
奥川が1回戦で投じた球数はわずか94球で、そのうち約66%となる62球がストレート。変化球はスライダーとチェンジアップしか使っていない。緩急をつけるカーブと決め球として使えるフォークは封印したまま、旭川大打線を封じ込めたのは、「すごい」という他ない。スピード、コントロール、変化球など長所はいくつもあるが、全てのボールが実戦的でストライクゾーンで勝負できることが何よりも大きい。石川大会でも準々決勝の遊学館戦では109球で13奪三振、決勝の小松大谷戦でも114球で14奪三振をマークしているが、球数が少なくても三振を奪えるというのがその証明だ。
プロからの評価はもはや不動のものとなっている。ある球団のスカウトからは「これくらい投げられて当たり前だと思っているので、今さら驚くことは何もない」というコメントも聞かれたが、最大級の賛辞と言えるだろう。その完成度は近年の高校生投手の中でもナンバーワンと呼べるレベルであり、1年目から一軍の戦力になる可能性は高い。
霞ヶ浦・鈴木は「外れ1位」?
霞ヶ浦・鈴木はスケールの大きさに注目する球団が多い 【写真は共同】
鈴木の良さはその欠点の少ないフォームにある。まず左足を上げて軸足一本で立った時の立ち姿が素晴らしい。そこから十分な歩幅でステップし、下半身主導で楽に上から腕を振ることができるのだ。186センチの長身で体の近くで縦に腕が振れるため、ボールの角度も申し分ない。まだまだ下半身の強さ、粘りがなく、力むと高めに浮くのは課題だが、変化球のレベルも高く、素材の良さは間違いなく一級品だ。
イメージとしては先日見事な一軍デビューを飾った梅津晃大(中日)に重なる。広島の苑田聡彦スカウト統括部長も「外れ1位、あるんじゃないですかね」と語っており、そのスケールの大きさに注目している球団も多いだろう。
選抜からの連続出場組で成長を見せたのは?
前はオーバースローでありながら体の使い方が横回転する印象だったが、下半身の安定感が増してその悪癖が小さくなったことが大きい。長所は指先の感覚の良さ。ストレートのスピードは140キロ前後がアベレージだが、指のかかりが良く、打者の手元で勢いが落ちないのだ。2回戦では履正社打線につかまったが、それでも随所に力のあるストレートを投げ込み、良さは十分に見せた。